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私のスキルと災難
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まず、木の皮を煮だして、そのエキスを取り出す。
次に、そのエキスが冷えたら、すり潰し粉になった木の実を少しずつ加えて練る。
練って練って団子のような塊になったら、一晩寝かせ馴染ませる。
馴染んだそれに、みじん切りにして水に漬けたキノコから出た汁を加えて色を付ける。
密閉できる瓶に詰めて保存する。
使用するときは、必要な分だけ取り出し、高濃度の魔力水で溶く。
これが、魔法陣を描く際に使う特別なインクの作り方である。
「さあ、これで今回の依頼分を創っても余るくらいは出来た」
早速、依頼に取り掛かるべく、私はスキルを発動した。
「まずは、魔法陣を選んで」
使い慣れたパソコンを動かす。傍らには、特別製のペンが置いてある。パソコンもペンも神様が用意してくれた私専用のスキルになる。パソコンは、魔法陣を創る専用の道具で、今まで創った魔法陣が保存されている。ペンは、これがとても便利なのだ。インクをセットし、パソコンの画面にある魔法陣をペン先でタップする。そして、魔法陣を描きたいものの真ん中にそのペン先を置くとそこから自動で魔法陣が描き出されていくのだ。コピー機の進化版?紙詰まりもなく快適に作業が出来る。魔石の場合は、神様仕様の私専用の針のような魔道具に魔力を流すと、魔石の内部に魔法陣が刻まれる。まあ、チートだよね。
「100枚か。手作業で描くのは大変ね」
私は、依頼主が用意した10枚ずつ留めてある布を取り出して、1枚ずつペン先を置いていった。この程度の魔法陣なら、10秒もかからない。のんびりと作業しても1時間ほどで100枚が終わった。
「次は、氷の魔法陣か。え?この魔石にこの魔法陣で大丈夫?1回で使えなくなりそうなんだけど」
私は、依頼主が用意した魔石と指定された魔法陣を見て愕然とした。これは、ギルドに問い合わせる案件ではないだろうか?ちょっと酷すぎる。依頼を受けたギルドの職員も問題ありだと思う。氷の魔法陣なら最低でも魔石ランク2以上じゃないと受け付けないはずだった。
「ヴィーグ、ギルドに行くよ」
『分かった』
仕度を整えて、居間でコロ寝していたヴィーグに声をかけた。この依頼を受けたときは、ラフランシアが大量発生していてナーサリーも慌ただしかったから、魔石の刻印の際にランクまでは確認しなかったらしい。そもそも、依頼を受け付ける時に両方確認してあるはずなのだから、受けたギルドの職員が悪い。
「こんにちは。これ、見てほしいんだけど」
私は、依頼票と預かった魔石をギルド職員に見せた。
「は~い。・・・・えっとぉ、これがぁどうかしましたぁ?」
なんか、仕事できない子っぽいけど、大丈夫かな?
「あのね、この依頼の内容と魔石のランクが合わないの。この魔石に刻んでも1回で割れるよ。だから、」
「そんなこと言われてもぉ。依頼だしぃ。ちゃんとぉしてもらわないとぉ困りますぅ」
「え?でも、これだと」
「そういうのぉ、ミリア分かんないけどぉ、依頼受けたんだからぁ、自分でぇどうにかぁしてくださいね!次の人が待ってますからぁ、いちゃもんの人はぁ、どいてくぅださいっ」
仕方なく、窓口から離れた。この子にどれだけ話しても通じない。ナーサリーかアルバロが来るまで待とう。2人とも休みってことはないはずだ。それから、数分。アルバロが戻ってきた。
「あ、アルバロ。この依頼なんだけど」
依頼票と魔石見せた。
「なんだ、これは!この依頼受け付けたの、誰だよ。調べるから待ってて」
アルバロは、私が説明しなくてもすぐに事態を把握してくれた。普通の職員はこういう対応をしてくれる。
「ミリア!君が受けた依頼だけど、ちゃんと確認した?!」
「ええ~。何のことぉ。ミリアァ、ちゃんと受け付けましたぁ」
「これ!依頼内容と魔石のランクが合ってないじゃないか!」
「そんなことぉ。ミリア、ちゃんとみたもん!その魔石がぁ、間違ってるのぉ。ああ~っ!誰かがぁ、依頼受けた人がぁ取り替えたんだよぉ。そうだよぉ。なら、ミリア、悪くないし!」
聞こえてきた言い合いにギョッとした。私が魔石を入れ替えたと言われたのだ。
「分かった。ギルド長立ち会いの元、魔石の鑑定をする。君の言い分が間違っていた場合、犯罪行為にあたるからな?」
「どうぞぉ、ご勝手にぃ」
「君も立ち合うんだ!悪いな、サイカ。一緒に来てくれ」
「分かった。でも、間違っていたら、ミリアさん、あなたには、名誉棄損で損害賠償の請求をするから。こんな大勢いる中で濡れ衣を着せられたんだから、当然よね?」
「ああ。構わない。ギルド長にもそう伝える」
ホント。お互いに信用第一なのに。普段温厚なアルバロのいら立つ様子から、他にもいろいろとやらかしたんだろうと分かってしまう。
そして、ギルド長立ち会いの下行われた検証で、魔石の入れ替えはないことが立証された。依頼主から預かったものには、こういったトラブルを防ぐためにも、ギルドで特別な印が入れられる。それを知らなかったミリアの全面敗訴である。職員なら誰でも知っているし、ギルド員ですら常識となっている。職務怠慢。
「なんでぇ!ミリアァ、知らなかったしぃ。意地悪しないでよぉ」
「知らなかったじゃ済まされない。受付に配属される前の研修で伝えてある。お前は、ギルドの信用を損なったんだ!」
「あんなのぉ、難しすぎてぇミリア、分かんないよぉ!」
「その時点で、ギルド職員の資格はないことが分からないのか!領主の紹介だから、今まで大目に見てきたが、このギルドの評価にかかわる。明日、領主に君の処遇は伝えておくから、聞きに行くといい」
取りあえず、私は、ギルド長を証人として、名誉毀損で損害賠償を請求した。ギルドからも信用を著しく低下させたとして、損害賠償の請求をするそうだ。依頼の方は、ギルド側の不備で取り消された。やれやれだな。
次に、そのエキスが冷えたら、すり潰し粉になった木の実を少しずつ加えて練る。
練って練って団子のような塊になったら、一晩寝かせ馴染ませる。
馴染んだそれに、みじん切りにして水に漬けたキノコから出た汁を加えて色を付ける。
密閉できる瓶に詰めて保存する。
使用するときは、必要な分だけ取り出し、高濃度の魔力水で溶く。
これが、魔法陣を描く際に使う特別なインクの作り方である。
「さあ、これで今回の依頼分を創っても余るくらいは出来た」
早速、依頼に取り掛かるべく、私はスキルを発動した。
「まずは、魔法陣を選んで」
使い慣れたパソコンを動かす。傍らには、特別製のペンが置いてある。パソコンもペンも神様が用意してくれた私専用のスキルになる。パソコンは、魔法陣を創る専用の道具で、今まで創った魔法陣が保存されている。ペンは、これがとても便利なのだ。インクをセットし、パソコンの画面にある魔法陣をペン先でタップする。そして、魔法陣を描きたいものの真ん中にそのペン先を置くとそこから自動で魔法陣が描き出されていくのだ。コピー機の進化版?紙詰まりもなく快適に作業が出来る。魔石の場合は、神様仕様の私専用の針のような魔道具に魔力を流すと、魔石の内部に魔法陣が刻まれる。まあ、チートだよね。
「100枚か。手作業で描くのは大変ね」
私は、依頼主が用意した10枚ずつ留めてある布を取り出して、1枚ずつペン先を置いていった。この程度の魔法陣なら、10秒もかからない。のんびりと作業しても1時間ほどで100枚が終わった。
「次は、氷の魔法陣か。え?この魔石にこの魔法陣で大丈夫?1回で使えなくなりそうなんだけど」
私は、依頼主が用意した魔石と指定された魔法陣を見て愕然とした。これは、ギルドに問い合わせる案件ではないだろうか?ちょっと酷すぎる。依頼を受けたギルドの職員も問題ありだと思う。氷の魔法陣なら最低でも魔石ランク2以上じゃないと受け付けないはずだった。
「ヴィーグ、ギルドに行くよ」
『分かった』
仕度を整えて、居間でコロ寝していたヴィーグに声をかけた。この依頼を受けたときは、ラフランシアが大量発生していてナーサリーも慌ただしかったから、魔石の刻印の際にランクまでは確認しなかったらしい。そもそも、依頼を受け付ける時に両方確認してあるはずなのだから、受けたギルドの職員が悪い。
「こんにちは。これ、見てほしいんだけど」
私は、依頼票と預かった魔石をギルド職員に見せた。
「は~い。・・・・えっとぉ、これがぁどうかしましたぁ?」
なんか、仕事できない子っぽいけど、大丈夫かな?
「あのね、この依頼の内容と魔石のランクが合わないの。この魔石に刻んでも1回で割れるよ。だから、」
「そんなこと言われてもぉ。依頼だしぃ。ちゃんとぉしてもらわないとぉ困りますぅ」
「え?でも、これだと」
「そういうのぉ、ミリア分かんないけどぉ、依頼受けたんだからぁ、自分でぇどうにかぁしてくださいね!次の人が待ってますからぁ、いちゃもんの人はぁ、どいてくぅださいっ」
仕方なく、窓口から離れた。この子にどれだけ話しても通じない。ナーサリーかアルバロが来るまで待とう。2人とも休みってことはないはずだ。それから、数分。アルバロが戻ってきた。
「あ、アルバロ。この依頼なんだけど」
依頼票と魔石見せた。
「なんだ、これは!この依頼受け付けたの、誰だよ。調べるから待ってて」
アルバロは、私が説明しなくてもすぐに事態を把握してくれた。普通の職員はこういう対応をしてくれる。
「ミリア!君が受けた依頼だけど、ちゃんと確認した?!」
「ええ~。何のことぉ。ミリアァ、ちゃんと受け付けましたぁ」
「これ!依頼内容と魔石のランクが合ってないじゃないか!」
「そんなことぉ。ミリア、ちゃんとみたもん!その魔石がぁ、間違ってるのぉ。ああ~っ!誰かがぁ、依頼受けた人がぁ取り替えたんだよぉ。そうだよぉ。なら、ミリア、悪くないし!」
聞こえてきた言い合いにギョッとした。私が魔石を入れ替えたと言われたのだ。
「分かった。ギルド長立ち会いの元、魔石の鑑定をする。君の言い分が間違っていた場合、犯罪行為にあたるからな?」
「どうぞぉ、ご勝手にぃ」
「君も立ち合うんだ!悪いな、サイカ。一緒に来てくれ」
「分かった。でも、間違っていたら、ミリアさん、あなたには、名誉棄損で損害賠償の請求をするから。こんな大勢いる中で濡れ衣を着せられたんだから、当然よね?」
「ああ。構わない。ギルド長にもそう伝える」
ホント。お互いに信用第一なのに。普段温厚なアルバロのいら立つ様子から、他にもいろいろとやらかしたんだろうと分かってしまう。
そして、ギルド長立ち会いの下行われた検証で、魔石の入れ替えはないことが立証された。依頼主から預かったものには、こういったトラブルを防ぐためにも、ギルドで特別な印が入れられる。それを知らなかったミリアの全面敗訴である。職員なら誰でも知っているし、ギルド員ですら常識となっている。職務怠慢。
「なんでぇ!ミリアァ、知らなかったしぃ。意地悪しないでよぉ」
「知らなかったじゃ済まされない。受付に配属される前の研修で伝えてある。お前は、ギルドの信用を損なったんだ!」
「あんなのぉ、難しすぎてぇミリア、分かんないよぉ!」
「その時点で、ギルド職員の資格はないことが分からないのか!領主の紹介だから、今まで大目に見てきたが、このギルドの評価にかかわる。明日、領主に君の処遇は伝えておくから、聞きに行くといい」
取りあえず、私は、ギルド長を証人として、名誉毀損で損害賠償を請求した。ギルドからも信用を著しく低下させたとして、損害賠償の請求をするそうだ。依頼の方は、ギルド側の不備で取り消された。やれやれだな。
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