巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?

紅子

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国を出ることになりました

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鑑定って、こんなに詳しく教えてくれるものだったんだ。もっと早く気付いていれば・・・・。

『サイカのは、生き抜くことを前提とした特別仕様だ。あちらでの寿命を全うするまでは、死んでもらっては、我らも困るからな。普通は、特筆事項などというものはないし、練度や習熟度、魔力量なんかで開示される情報は異なる。それに、貴族階級や魔法師の鑑定は容易ではない。そもそも魔力量が自分より高い奴は鑑定できないし、そういった者たちほど、鑑定を阻害する魔道具を身に付けている』

そうだよね。神様もちゃんと私が生き残れるように気を遣ってくれてたんだ。ありがとう~!

「じゃあ、クライスターもその魔道具を身に着けてて、違和感を感じたってこと?」

『そうだ。例え魔力量に差があっても許可も得ずに鑑定するのは歓迎されない。サイカの鑑定に魔道具は通用せぬがな』

ここでも特別仕様らしい。

「私も身に着けた方がいい?」

『既に身に付けておるだろう?その真珠の耳飾りがそうだ。神仕様だぞ?外すなよ』

「えっ?!知らなかった・・・・。クライスターはさ、私だとは思わなかったのかな?」

『今更、サイカが鑑定するとは思わなかったんだろう。するなら、もっと早くにしているからな。鑑定持ちとは思ってもいないだろう』

「怪我の功名。でも、どうしようか。監禁なんて冗談じゃないよ」

『当たり前だ。サイカが寿命を全うできないではないか!我がついているのにそのようなことを許すはずがなかろうて』

「頼りになるぅ。さすが、神様の眷族!」

『フンッ!』

胸を張ってちょっと得意げなヴィーグが可愛い。




それから数日後、私はギルド長を訪ねてクライスターのことを相談することにした。

「なるほどな。つけ回されていると」

「うん」

「勘違いということは?」

「ない」

「だよな。ハルシュバーンの弟子を囲いたい奴は多い。特に貴族の魔法師なら、なおさらな。いつからだ?」

「弟子じゃない。えっと、ラフランシアの騒ぎがあって、少ししたくらいから。・・疑わないんだ?」

クライスターは、こう言ってはなんだが、外面がいい分、信用度も高い。

「サイカは、魔法陣描きなら、手に入れたいと思う逸材だからな。あのクライスター様だって例外じゃないだろう。領主様にもらったメダルを使う気はないんだよな?うぅむ」

領主様権力者に借りを作りたくはない。私は、コクコクとうなずいた。さすがに貴族相手だとギルド長でも難しいのかもしれない。

「そうだ!」

ポンと手を打ち、いいことを思いついたというように私を見た。

「隣国ルクセンバルグ王国の王都に出張してこい」

「は?出張?」

会話が飛びすぎて、話が見えない。

「ああ。魔法ギルドの会合があるんだ。今回、うちの国からは、レンフール副ギルド長が行くんだが、それにくっついて行け。移動も含めると2月ってところだ」

2月か。それだけの期間不在なら、諦めるかな?少なくとも、私の精神的負担は軽くなる。

「悪い話じゃないだろう?旅費はギルド持ちだ」

「行く!」

「出発は8日後。クライスター様に気付かれるなよ?」

こうして、私は、いつもと変わらない日常生活を心掛けつつ、旅の準備に励んだ。テントや寝袋などの自分で買うと怪しまれる物は、ナーサリー頼みで買ってきてもらった。それをギルドで受け取る。テントに結界や防音や内部を拡張する魔法陣を仕込んだり、寝袋には温度調整の魔法陣を施した。他にも、ギルド所有の長距離用の馬車には、ぴょこぴょこ跳ねないように、急遽、揺れ防止と振動吸収の魔法陣を創って車輪の連結部分に組み込んだ。座面もフカフカ。あんな馬車に20日近くも乗っていたら私のお尻が死んでしまう。

「それ、固定魔法陣に登録しないか?」

魔石に刻まれた魔法陣は、外周だけが見えている状態になっている。魔法陣には、誰でも使える固定魔法陣と個人が所有する創作魔法陣があって、創作魔法陣は大体こんな感じで、本人以外には分からない仕様にするのが通例だ。新しく固定魔法陣に登録すると、登録料と使用料が生きている間振り込まれるから、解読されないように必死になる。自分の創った魔法陣に使用料なんて払いたくないよねぇ。

「これ?ん~。簡易的に創ったからなぁ。この旅で試運転しつつ、改良してからならいいかな」

魔石の保ちとか吸収率とかね。

「改良できるのか?」

「まあ。もう少し、簡素化出来ると思う」

「すげぇな。さすがにハルシュバーンの弟子なだけある。だから、狙われるんだろうがな」

「違うから。弟子じゃないから!」

そこは、きっちり否定する。変な噂が立つと厄介だし、これ以上のトラブルはいらない。

「そう思ってるのはサイカだけだろうがな」

認めるのと認めないのは大きな違いがあると思う。

そして、翌日のまだ日も昇らない早朝、私たちは出発した。

「快適ですね。振動が殆ど感じられません」

眠りを誘うカタカタという軽い振動が、朝早かった私を気持ちよく包んでくれる。座面もお尻に優しい。ふかふかのクッションがいい仕事をしてくれている。

「こんな馬車、初めてだ。お尻が辛くないなんて!感動~」

感心しきりのこの人は、隣国に行くにあたり、護衛としてついてきた魔法ギルドの中でも、魔物の討伐や護衛を専門に行うパーティー《肉追い人》のひとり。他の人は外で馬に乗っている。ヴィーグもその中に紛れているはずだ。ヴィーグがいれば、大抵の魔物はよってこないと思う。なんたって、神獣様だから。

「これから行くルクセンバルグ王国は、代々狼族が国王を務める国です。この近辺の国では1番統率力があり、そのせいか軍事力もずば抜けて高い。治安はいい方でしょう。従魔を従えている者も多いですから、滞在中は、出席が必要な会議以外は王都を散策するといいですよ」

やった!ヴィーグも目立たずに観光できる!

「副ギルド長は、観光したことあるの?」

「観光ね。近くにあるダンジョンに。3ヶ所ありますよ?」

え?ダンジョン?それは、魔法剣士や魔術師が行くところであって、私のような魔法陣描きが行くようなところじゃないような?

「副ギルド長は、今回も、そちらへ、行かれる?」

「ええ。会議の合間の息抜きに」

ええ、ええ。そりゃ、攻撃手段を持ってるなら、そりゃ楽しいでしょうが!私は、しがない魔法陣描きですから!

「ほ、他には?」

「さて。王都は広いですし、それなりに何かはあるでしょう」

あっ。ダメだ。副ギルド長って、脳筋じゃないけど、戦闘民族だった。魔法騎士とか攻撃専門の魔術師に違いない。鍛えられた肉体を持っているのは、そのためか!ギルド長と同類だったわ。ショックなんだけど・・・・。

「ルクセンバルグの王都なら、屋台巡りとかお薦めだよ。カフェやレストランより種類が豊富だし、東の屋台街と西の屋台街で競ってるから、値段の割に美味しい。あとは、フリーマーケット。第2第4の太陽の日に中央広場でやってる」

太陽の日は、元の世界の日曜日にあたる。

「よく行くの?」

「まあ。護衛で年1では行くからな。街道が整備されてるからね、時間的な拘束を気にしないなら美味しい依頼だよ」

私は、これから先の道のりを思い浮かべた。たしかに、大体馬車で一日毎に大きめの街がある。野宿になるのは、峠を越える時だけだったはずだ。そこだけは、魔物にも野盗にも警戒が必要になる。討伐しても討伐しても、そこを根城にする野盗は後を絶たない。不滅のゴキのように沸き出てくるのだ。こうして、和やかに何事もなく馬車は進み、件の峠で野営することになった。
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