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15【元令息の記憶】
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プローポス家は百年続く侯爵家だった。領土は山と湖を含む自然豊かな土地で、広大な農地が広がっていた。
侯爵家の三男として生まれたマレクは、周りからは何不自由ない生活を送っているように見えた。
その実、父や次兄から折檻を受けて、愛情とは程遠い家で育った。
母のエミーリエは、早くに病で亡くなった。母に似ていたマレクを父のホンザは憎悪の対象として見ていた。
顔の原型が崩れるまで殴りたかったに違いないが、金の指輪が血で汚れるのを何よりも嫌がった。肩や背中を短い足で蹴りつけるのがお決まりだった。
マレクには長兄のルジェクの他に、次兄のフベルトがいた。
フベルトは軟弱で、いつも部屋にこもっていた。科学的な実験を好んだ。ある日、爆発事故を起こして、部屋を焼け焦がしてしまう。
父もひどく腹を立てて、フベルトの部屋にあった実験道具を捨てさせた。それからというもの、マレクへの当てつけは、さらにひどくなった。
フベルトは父に従順だった。父から褒められるためならば、平気で弟を殴りつけた。弱い弟を痛めつけているときには笑っていた。
それをルジェクに見つかると、逆にぶん殴られて、半泣き状態にされていた。
対象的なふたりの兄はいつも対立していた。領民や使用人に人気の高いルジェクと、父のご機嫌伺いしか能のないフベルトとでは、まったく相手にならなかった。
結局、フベルトは自分の力ではどうにもならないから、ルジェクに殴りつけられたと父に告げ口した。
自分ではできないくせに、父親に制裁をくわえてもらうのを良しとしていた。ルジェクはすべての蹴りを身体に受け止めて、耐え続けた。
突然、ルジェクが母と同じ病で倒れた。病の前兆はなかった。母の死と兄の病を比べると、どうも似ている気がした。一つほころびを感じると、マレクはすべてを疑い始めた。
母と同じように、ルジェクは塔に隔離された。母が寝ていたとされる寝台に寝かされたルジェクは、虫の息だった。
父のお抱えの医師から、手の施しようがないと言われたときも信じられなかった。
まだ、七歳のマレクには何もできなかった。手を握って声をかけることしかできなかった。「兄さん、死なないで」とすがったときのルジェクの切なそうな顔は忘れられない。記憶がぼやけても、その瞬間に見た自分の胸の痛みは未だに残っている。
たったひとりの弟に看取られながら、ルジェクは息を引き取った。
マレクは母と同じように殺されたのではないかと、疑うようになった。
それでもまだ未来はあった。ルジェクが死に際に残した言葉――「どうか、自分の矜持を、これからもずっと、守り続けて、生きてほしい」が、頭から離れなかったからだ。
しかし、十二歳になった頃、未来は潰えた。
父に連れられて、親戚の侯爵家から帰る道すがらだった。父はマレクだけを家に帰そうとした。まだ自分は用が残っているからと、屋敷にとどまったのだ。
そして、マレクは馬車を襲撃されて、誘拐された。
死神と呼ばれるその男は、くちばしのついたマスクで顔を覆っていた。馬車を襲撃して、マレクを誘拐した。馬の上は不安定で、いつ落とされるかわからないほど、身体はぐらついた。目隠しをされて、死神がどこを目指しているのかもわからなかった。
冷たい空気が顔中に纏わりつくまでになって、馬の動きが止まった。
「ここで降りろ」
くぐもった声で話した。馬から降りるように言われて、おぼつかない足取りで地面に降り立った。
目隠しを外すと、辺りは木々で囲まれていた。
重く白い霧で立ち込めたそこは死の森として、恐れられている場所だった。この時のマレクは自分がどれだけ危険な場所に捨てられたのか、知らずにいた。知っていたならば、取り乱していただろう。
「手頃な魔物は……あいつでいいだろう」
そう言って死神は、辺りにいた魔物の首を掻っ切った。吹き出した血をマレクの顔にかけた。錆びたような臭いが鼻を突く。
いつ魔物が獲物の血の臭いを嗅ぎつけてくるか、わからない。茂みや森の奥から魔物の足音が忍び寄ってきてもおかしくない。恐怖でマレクの奥歯は噛み合わずに音を立てた。
「命じられたのはお前を攫って、ここに捨て置くだけ。殺せとは言われてない。ここで生き延びるか、魔物に食われるかはお前次第だ。餞別にこの短剣をやる」
マレクの足元に血の付いた短剣が投げ出された。
「忠告しておくが、腹が減ってもこの森の魔物を食うのはやめておくんだな。一度食うと、魔物の血肉を食い続けないと生きていけなくなる。いや、その前に臭気にやられちまうか」
答えを要しない話し方は、一方的にはじまり、唐突に終わった。話の内容を理解するのに、時間がかかった。
自分は試されているのではない。むごい死に方を望まれているのだと気づいたとき、足先から冷気が伝わってきた。血の気が引いて、身体が震えてくる。
死神は最後にマレクを足蹴にして地面に転がしてから、自分だけ馬上の人となった。
「じゃあな、ぼっちゃん。恨むなら自分の運命を恨め」
呼び止めようとしても、無駄だった。すでに馬の脚では先に行っている。死神が遠ざかっていくのを呆然と見送った。
◆
短剣を握って、死の森を彷徨うのは正気の沙汰ではなかった。何度も魔物に襲われ、殺されかけた。どうにか震える手をいさめて、短剣を突き立てた。魔物は血を吹き出して、地面に倒れ落ちた。
洗い流す水もなく、乾いた血が皮膚にへばりついていた。
四脚の獣のようなのに、頭から角が生えていたり、どくどくしい色をしていることもあった。剣先は服の裾で拭って、また血の臭いが重なった。
どれほどの日数が経ったのかわからないまま、森の中を彷徨い歩いた。マレクは腹を抱えながら、歩く。
腹が空いていた。胃に痛みがあったのは数日だけで、今は何も感じない。ただ朦朧とした中で足を進めている。目もかすんでいた。
おぼろげな意識の中で、死んだほうがマシだ、と思った。
足を止めれば、二度と歩き出せないかもしれない。
寝てしまえば、そのまま起き上がれないかもしれない。何度も魔物の肉を口にしようと思ったかしれない。
しかし、心が揺れるときほど、兄の顔と声が語りかけてくる。
――「どうか、自分の矜持を、これからもずっと、守り続けて、生きてほしい」
呪いのようだと思った。矜持など、腹の足しにはならないのに。今ここで、飢え死にするかもしれないのに。
マレクは袖を噛み締めて、叫ばないようにした。その辺りに生えていた樹木の皮を口に押し込み、無理やり咀嚼する。空腹を紛らわそうとした。
鉄の錆びたような味が口内に広がった。ささくれた皮が歯茎を傷つけたのだ。
マレクは血とともに吐き出すと、そのまま地面に崩れ落ちた。身体が重く地面に吸い込まれるようだった。もう駄目だと弱気を吐いた時には、意識が遠のいていった。
――そこからの記憶はない。
どうやってたどり着いたのか、川辺でうつ伏せに寝ていた。
森の妖精のおかげだとは思わない。きっと、自分の他にも死の森に連れてこられていた人がいたのだろう。その人がおそらく自分を川にまで運んでくれた。
助け出してくれた人の気配はどこにもなかった。ふらつきながらも立ち上がった。
水流の音に吸い寄せられるように近づいてしゃがみこむ。両手で川水をすくって口に含んだ。一気に飲むと、喉が渋滞して、むせるのはわかっていた。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと浸透させるように飲む。
乾いた唇はところどころ切れていた。染みたものの、久しぶりの水に生き返る心地がした。
それにしても、どうやってこの川まで歩いてきたのだろうか。もし、誰かが助けてくれたとして、どうしてその姿はないのだろうか。考えることはいくらでもある。
何を差し置いても、一番に考えるべきことは、これからどうするのかだった。いつ魔物に襲われて死ぬかもしれない。何かを食べなければ、飢え死にするかもしれない。
死の森にも川が流れているのなら、沿って行けば、下流につくかもしれない。同じような風景に向かって歩くより、指標がある方が目標にしやすい。
その予想が当たって、死の森をようやく出られた。よって、バルトルトに嘘はついていない。
侯爵家の三男として生まれたマレクは、周りからは何不自由ない生活を送っているように見えた。
その実、父や次兄から折檻を受けて、愛情とは程遠い家で育った。
母のエミーリエは、早くに病で亡くなった。母に似ていたマレクを父のホンザは憎悪の対象として見ていた。
顔の原型が崩れるまで殴りたかったに違いないが、金の指輪が血で汚れるのを何よりも嫌がった。肩や背中を短い足で蹴りつけるのがお決まりだった。
マレクには長兄のルジェクの他に、次兄のフベルトがいた。
フベルトは軟弱で、いつも部屋にこもっていた。科学的な実験を好んだ。ある日、爆発事故を起こして、部屋を焼け焦がしてしまう。
父もひどく腹を立てて、フベルトの部屋にあった実験道具を捨てさせた。それからというもの、マレクへの当てつけは、さらにひどくなった。
フベルトは父に従順だった。父から褒められるためならば、平気で弟を殴りつけた。弱い弟を痛めつけているときには笑っていた。
それをルジェクに見つかると、逆にぶん殴られて、半泣き状態にされていた。
対象的なふたりの兄はいつも対立していた。領民や使用人に人気の高いルジェクと、父のご機嫌伺いしか能のないフベルトとでは、まったく相手にならなかった。
結局、フベルトは自分の力ではどうにもならないから、ルジェクに殴りつけられたと父に告げ口した。
自分ではできないくせに、父親に制裁をくわえてもらうのを良しとしていた。ルジェクはすべての蹴りを身体に受け止めて、耐え続けた。
突然、ルジェクが母と同じ病で倒れた。病の前兆はなかった。母の死と兄の病を比べると、どうも似ている気がした。一つほころびを感じると、マレクはすべてを疑い始めた。
母と同じように、ルジェクは塔に隔離された。母が寝ていたとされる寝台に寝かされたルジェクは、虫の息だった。
父のお抱えの医師から、手の施しようがないと言われたときも信じられなかった。
まだ、七歳のマレクには何もできなかった。手を握って声をかけることしかできなかった。「兄さん、死なないで」とすがったときのルジェクの切なそうな顔は忘れられない。記憶がぼやけても、その瞬間に見た自分の胸の痛みは未だに残っている。
たったひとりの弟に看取られながら、ルジェクは息を引き取った。
マレクは母と同じように殺されたのではないかと、疑うようになった。
それでもまだ未来はあった。ルジェクが死に際に残した言葉――「どうか、自分の矜持を、これからもずっと、守り続けて、生きてほしい」が、頭から離れなかったからだ。
しかし、十二歳になった頃、未来は潰えた。
父に連れられて、親戚の侯爵家から帰る道すがらだった。父はマレクだけを家に帰そうとした。まだ自分は用が残っているからと、屋敷にとどまったのだ。
そして、マレクは馬車を襲撃されて、誘拐された。
死神と呼ばれるその男は、くちばしのついたマスクで顔を覆っていた。馬車を襲撃して、マレクを誘拐した。馬の上は不安定で、いつ落とされるかわからないほど、身体はぐらついた。目隠しをされて、死神がどこを目指しているのかもわからなかった。
冷たい空気が顔中に纏わりつくまでになって、馬の動きが止まった。
「ここで降りろ」
くぐもった声で話した。馬から降りるように言われて、おぼつかない足取りで地面に降り立った。
目隠しを外すと、辺りは木々で囲まれていた。
重く白い霧で立ち込めたそこは死の森として、恐れられている場所だった。この時のマレクは自分がどれだけ危険な場所に捨てられたのか、知らずにいた。知っていたならば、取り乱していただろう。
「手頃な魔物は……あいつでいいだろう」
そう言って死神は、辺りにいた魔物の首を掻っ切った。吹き出した血をマレクの顔にかけた。錆びたような臭いが鼻を突く。
いつ魔物が獲物の血の臭いを嗅ぎつけてくるか、わからない。茂みや森の奥から魔物の足音が忍び寄ってきてもおかしくない。恐怖でマレクの奥歯は噛み合わずに音を立てた。
「命じられたのはお前を攫って、ここに捨て置くだけ。殺せとは言われてない。ここで生き延びるか、魔物に食われるかはお前次第だ。餞別にこの短剣をやる」
マレクの足元に血の付いた短剣が投げ出された。
「忠告しておくが、腹が減ってもこの森の魔物を食うのはやめておくんだな。一度食うと、魔物の血肉を食い続けないと生きていけなくなる。いや、その前に臭気にやられちまうか」
答えを要しない話し方は、一方的にはじまり、唐突に終わった。話の内容を理解するのに、時間がかかった。
自分は試されているのではない。むごい死に方を望まれているのだと気づいたとき、足先から冷気が伝わってきた。血の気が引いて、身体が震えてくる。
死神は最後にマレクを足蹴にして地面に転がしてから、自分だけ馬上の人となった。
「じゃあな、ぼっちゃん。恨むなら自分の運命を恨め」
呼び止めようとしても、無駄だった。すでに馬の脚では先に行っている。死神が遠ざかっていくのを呆然と見送った。
◆
短剣を握って、死の森を彷徨うのは正気の沙汰ではなかった。何度も魔物に襲われ、殺されかけた。どうにか震える手をいさめて、短剣を突き立てた。魔物は血を吹き出して、地面に倒れ落ちた。
洗い流す水もなく、乾いた血が皮膚にへばりついていた。
四脚の獣のようなのに、頭から角が生えていたり、どくどくしい色をしていることもあった。剣先は服の裾で拭って、また血の臭いが重なった。
どれほどの日数が経ったのかわからないまま、森の中を彷徨い歩いた。マレクは腹を抱えながら、歩く。
腹が空いていた。胃に痛みがあったのは数日だけで、今は何も感じない。ただ朦朧とした中で足を進めている。目もかすんでいた。
おぼろげな意識の中で、死んだほうがマシだ、と思った。
足を止めれば、二度と歩き出せないかもしれない。
寝てしまえば、そのまま起き上がれないかもしれない。何度も魔物の肉を口にしようと思ったかしれない。
しかし、心が揺れるときほど、兄の顔と声が語りかけてくる。
――「どうか、自分の矜持を、これからもずっと、守り続けて、生きてほしい」
呪いのようだと思った。矜持など、腹の足しにはならないのに。今ここで、飢え死にするかもしれないのに。
マレクは袖を噛み締めて、叫ばないようにした。その辺りに生えていた樹木の皮を口に押し込み、無理やり咀嚼する。空腹を紛らわそうとした。
鉄の錆びたような味が口内に広がった。ささくれた皮が歯茎を傷つけたのだ。
マレクは血とともに吐き出すと、そのまま地面に崩れ落ちた。身体が重く地面に吸い込まれるようだった。もう駄目だと弱気を吐いた時には、意識が遠のいていった。
――そこからの記憶はない。
どうやってたどり着いたのか、川辺でうつ伏せに寝ていた。
森の妖精のおかげだとは思わない。きっと、自分の他にも死の森に連れてこられていた人がいたのだろう。その人がおそらく自分を川にまで運んでくれた。
助け出してくれた人の気配はどこにもなかった。ふらつきながらも立ち上がった。
水流の音に吸い寄せられるように近づいてしゃがみこむ。両手で川水をすくって口に含んだ。一気に飲むと、喉が渋滞して、むせるのはわかっていた。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと浸透させるように飲む。
乾いた唇はところどころ切れていた。染みたものの、久しぶりの水に生き返る心地がした。
それにしても、どうやってこの川まで歩いてきたのだろうか。もし、誰かが助けてくれたとして、どうしてその姿はないのだろうか。考えることはいくらでもある。
何を差し置いても、一番に考えるべきことは、これからどうするのかだった。いつ魔物に襲われて死ぬかもしれない。何かを食べなければ、飢え死にするかもしれない。
死の森にも川が流れているのなら、沿って行けば、下流につくかもしれない。同じような風景に向かって歩くより、指標がある方が目標にしやすい。
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