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22【次兄との再会】
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独身の貴族のために開放された庭園は、背の高い街灯が辺りを照らしていた。明かりに群がる蛾のように、ちらほらと逢引する男女の姿がある。
マレクはあくまで通行人役を演じた。目撃した男女の睦み合いには、黙って目をそらすのが作法というものだ。
マレクは夜風を顔に受けながら、庭園の中を足早に回った。いくつかのアーチを潜り、奥まった場所まで行くと、ベンチに座る次兄が見えた。落ち着き無く首を振っているのは、警戒を強めているからだろう。
子供の頃は自分を見下ろしてくる次兄が恐ろしかった。一方的に振るわれた暴力のせいで、体が大きく見えていたのだろう。
今のマレクは二十歳となり、身体も成長した。戦場にも出て、生きているのが奇跡に近いほどの経験をした。自分の身も自分で守れる。
すべてを踏まえると、次兄の体格は良くない。むしろ、成人男性のなかでは小柄な方だ。こんなちっぽけな存在に怯えていたのかと、マレクは自嘲する。
今なら、昔の自分がされたように蹴りつけることもできる。簡単に忍び寄って、首を切りつけることもできる。
いつでも殺せるが、まだ殺す時ではない。やらなければならないことがある。
マレクは堂々と近づいた。わざと枝木を踏み抜いて、知らせた。
フベルトはベンチから立ち上がって、一歩後退する。不躾にマレクの方を指しながら、口を開閉しているが、声にはならないようだ。
焦った人間を前にすると、逆に冷静になってくる。マレクは笑みをこぼした。
「お元気そうで何よりです、兄上」
「マレク、お、お前は死んだものと思っていた。ち、父上もそうお考えだった」
緊張すると吃る癖は、治っていないようだ。父から叱責を受けて、言い訳するときにはよく吃っていた。
「馬車を襲撃され、攫われてから、死の森に捨てられました。死んでもおかしくない状態でしたが、どうにか生きのびました」
死の森の話をしたとき、明らかにフベルトは目を泳がせた。体が震えている。自分が死の森に捨てられたかのように、怯えているのがおかしい。
このフベルトにとって、実の弟が生きていたことは喜ばしくないのだろう。だから、今まで探しもしなかった。死んでいて当然の存在だった。
「い、生き延びたお前が、なぜ、敵国の騎士の隣にいる? し、しかも恋仲などと」
グロッスラリアを敵国と呼ぶのは懐かしい響きだった。アラバンドが滅びてこの国に来てからは、敵国とはすっかり聞かなくなっていた。
「それもすべて、行方知れずになった兄上と父上を探し出すためです」
「わ、私たちのためだというのか」
「はい、幸いあの男は私に騙されているとは知りません。これを利用しない手は無いでしょう」
「ふ、ふむ」
フベルトの灰青の瞳は揺れ動き、心情をたやすく見せていた。貴族らしからぬ感情的な姿は、憎らしいほどに変わっていない。いつも挙動不審で、父がいなければ真っ直ぐに立てない。
顔を合わせたら聞きたいことが、いくつかあった。
「それにしても、父上はあれほどアラバンドに尽くしたというのに不敬罪となるなんて、なぜです?」
「父上は悪くない! あれは、な、何者かに謀られたのだ!」
フベルトは目を見開き、唾を飛ばす勢いで叫んだ。
「ぶ、武器の横流しなんて、誰でもやっていることだろう。そ、それを、理由に、過去の行いを洗いざらい調べられた。結果的に領土は取り上げられて、爵位は奪われた。い、今の私達はアラバンドを、か、完全に、み、見限っている」
夜逃げ同然で領土を明け渡し、しばらくはアラバンドの僻地に潜伏していたそうだ。身分を偽り、屋敷から持ち出した金品を元手に商いをしているのだというから、たくましいといえばたくましい。
その後、アラバンドの雲行きが怪しくなったところで、グロッスラリアに亡命してきたのだと言う。
父と次兄は金を積み、爵位を買い、男爵家となった。
まもなくして、アラバンドは滅んだ。現在は屋敷に居候させてもらいながら、(兄の言う)慎ましく生活しているという。
「そ、それで、お前は本当に、わ、私たちの力になる心づもりがあるのか?」
マレクは間髪入れずに「もちろんです」と、うなずく。
「兄上と父上の知りたい情報があれば、私にお任せください。騎士から有益な情報を得てみせます」
「しかし」と、マレクは首を傾げた。思案する仕草は、わざとだ。舞踏会にもフベルトの周りにも父の姿はなかった。
「父上はどこにいますか? もしや、お亡くなりに?」
「ぶ、物騒なことをぬかすな! 生きてはいるが、公の場には出ずに潜んでいる」
「では、父上の滞在先を教えていただいても?」
フベルトは顔を曇らせた。次兄が自身で物事を決めることはない。一度、持ち帰り、父の判断を仰ぐだろう。ただ、この好機を逃がすわけにはいかない。
「兄上の居場所だけでも教えてくだされば、こちらからうかがいます。手紙はきっと、監視されているでしょうから」
フベルトに考える暇を与えない。畳み掛けて、それしか答えられないように相手を誘導する。
「わ、わかった。しかるべき時に話をしよう。父上の居場所はその時に。私が今いるのは……」
居候中の屋敷はアラバンド国の領土ではあるが、町外れにあるという。その一軒しか屋敷がないので、向かえばわかるとのことだった。
次兄はマレクの肩越しに何かを見つめ、怪訝な顔をした。そして、目を見開いたかと思うと、「わ、私はこれで」と逃げるように庭園を去っていった。
マレクの肩に誰かの手が置かれた。話しながらも背後の気配には気づいていたが、ここまでたやすく距離を詰めてくるとは思わなかった。
久しぶりに再会した兄弟の会話を邪魔してくるほど、野暮だとは知らなかった。それくらいの分別ができると思っていたし、大人であるはずだ。
おもしろくないのはマレクだった。振り向こうとしたところで、太い腕が背中から回された。胸の辺りで交差して、固く抱きしめられる。耳の後ろにはバルトルトの吐息がかかって、こそばゆい。
「マレク、あれは誰だ?」
敬称もない、単なる“あれ”と表現するバルトルトに苦笑が漏れた。
「次兄のフベルトだよ」
「あいつが、俺のマレクを」
下顎から歯ぎしりが聞こえてくる。血管の浮き出た手がますます力を込めてきた。
「昔の話だよ」
「昔だろうが、許したくはない」
バルトルトは熱量を持って怒ってくれる。それが自分のことながら嬉しかった。マレクもその手に自分の手を重ねる。
「それで、何の話をしていた?」
「フベルトと約束を取り付けたんだ。有益な情報を流すとか何とか言って」
「もしかして、俺がお前に騙されていると思っているのか?」
「たぶんね。でも簡単には信じないと思う」
警戒心の強い次兄だ。そこに狡猾な父が加わると、冷酷な決断ができてしまう。たとえそれが血の繋がった親族でさえも、手にかけてしまう。次兄はそういう人間だ。
「だから、信じさせるために、丸腰でフベルトの住む家を訪ねようと思う」
一人で行けば、多少は信じるだろう。信じなくても父にたどり着けるなら何でもいい。何なら最終的には脅してもいい。
バルトルトならうなずくと思った。マレクがやり遂げると信じてくれると思っていたのに、返ってきたのは「駄目だ」の一言だった。
「どうして?」
「危険すぎる。俺も行く」
さすがに騎士をつけるわけにはいかない。それにバルトルトほどの人間を護衛につけたら、怪しまれる。警戒心を解くために赴くのに、まったく意味がない。
「だめだよ。そんなのできない」
「別にお前が動かなくても、俺の部下にフベルトだか何だかを探らせる。お前の父親もすぐに見つかるだろう」
指の先が白くなるほどの力で腕を外したいのに、できない。否定するために、首を振った。
「そんなことしなくていいよ」
「いや、する。お前の力になりたい」
バルトルトにそこまでしてもらう所以はない。マレクはいつだってひとりで生きてきた。家に捨てられて、殺されかけても、どうにか生き抜いて来れた。
今更、誰かに頼ることなどできない。バルトルトが大切な存在であるからこそ、巻き込みたくないと思った。
震える胸を誤魔化すように、大きく息を吸った。
「本当に大丈夫だから。バルトルトは何もしなくていいよ。ルジェク兄さんのために、僕がしたいだけなんだ」
相づちを打たれる前に「それに」と、強調して素早く続けた。
「この件が済んだら、お屋敷から出ていくから」
言い終えてから、時間が止まったように静まり返った。
バルトルトはため息をつく。
「お前に俺は必要ないのか」
「違う」と言いたいのに言えない。
ずっと考えていた。これから先もバルトルトといられるとは思っていない。手を取り合って、死ぬまで生きていくなんてことは、できない。
出ていくなら早い方がいい。取り返しの付かないことになる前に、手を打つべきだ。
外せなかった腕が簡単に解かれた。後ろを振り返ると、バルトルトの顔が俯いていた。いつも前だけ向いて、照れるときには横にそらす顔が、俯いている。牢獄の中だろうと死ななかったその目が、マレクの方を見ようともしない。
「今まで、すまなかった。もう邪魔しない。フベルトに会うのも反対しない。出ていくまでの間も、屋敷は好きに使ってくれていい」
普段のバルトルトは、こんなにいっぺんに話さない。本心ではない証拠だったが、指摘する気にはなれない。
マレクが黙っていると、「帰るか、用事は済んだしな」とバルトルトは何でもないように言った。
マレクはあくまで通行人役を演じた。目撃した男女の睦み合いには、黙って目をそらすのが作法というものだ。
マレクは夜風を顔に受けながら、庭園の中を足早に回った。いくつかのアーチを潜り、奥まった場所まで行くと、ベンチに座る次兄が見えた。落ち着き無く首を振っているのは、警戒を強めているからだろう。
子供の頃は自分を見下ろしてくる次兄が恐ろしかった。一方的に振るわれた暴力のせいで、体が大きく見えていたのだろう。
今のマレクは二十歳となり、身体も成長した。戦場にも出て、生きているのが奇跡に近いほどの経験をした。自分の身も自分で守れる。
すべてを踏まえると、次兄の体格は良くない。むしろ、成人男性のなかでは小柄な方だ。こんなちっぽけな存在に怯えていたのかと、マレクは自嘲する。
今なら、昔の自分がされたように蹴りつけることもできる。簡単に忍び寄って、首を切りつけることもできる。
いつでも殺せるが、まだ殺す時ではない。やらなければならないことがある。
マレクは堂々と近づいた。わざと枝木を踏み抜いて、知らせた。
フベルトはベンチから立ち上がって、一歩後退する。不躾にマレクの方を指しながら、口を開閉しているが、声にはならないようだ。
焦った人間を前にすると、逆に冷静になってくる。マレクは笑みをこぼした。
「お元気そうで何よりです、兄上」
「マレク、お、お前は死んだものと思っていた。ち、父上もそうお考えだった」
緊張すると吃る癖は、治っていないようだ。父から叱責を受けて、言い訳するときにはよく吃っていた。
「馬車を襲撃され、攫われてから、死の森に捨てられました。死んでもおかしくない状態でしたが、どうにか生きのびました」
死の森の話をしたとき、明らかにフベルトは目を泳がせた。体が震えている。自分が死の森に捨てられたかのように、怯えているのがおかしい。
このフベルトにとって、実の弟が生きていたことは喜ばしくないのだろう。だから、今まで探しもしなかった。死んでいて当然の存在だった。
「い、生き延びたお前が、なぜ、敵国の騎士の隣にいる? し、しかも恋仲などと」
グロッスラリアを敵国と呼ぶのは懐かしい響きだった。アラバンドが滅びてこの国に来てからは、敵国とはすっかり聞かなくなっていた。
「それもすべて、行方知れずになった兄上と父上を探し出すためです」
「わ、私たちのためだというのか」
「はい、幸いあの男は私に騙されているとは知りません。これを利用しない手は無いでしょう」
「ふ、ふむ」
フベルトの灰青の瞳は揺れ動き、心情をたやすく見せていた。貴族らしからぬ感情的な姿は、憎らしいほどに変わっていない。いつも挙動不審で、父がいなければ真っ直ぐに立てない。
顔を合わせたら聞きたいことが、いくつかあった。
「それにしても、父上はあれほどアラバンドに尽くしたというのに不敬罪となるなんて、なぜです?」
「父上は悪くない! あれは、な、何者かに謀られたのだ!」
フベルトは目を見開き、唾を飛ばす勢いで叫んだ。
「ぶ、武器の横流しなんて、誰でもやっていることだろう。そ、それを、理由に、過去の行いを洗いざらい調べられた。結果的に領土は取り上げられて、爵位は奪われた。い、今の私達はアラバンドを、か、完全に、み、見限っている」
夜逃げ同然で領土を明け渡し、しばらくはアラバンドの僻地に潜伏していたそうだ。身分を偽り、屋敷から持ち出した金品を元手に商いをしているのだというから、たくましいといえばたくましい。
その後、アラバンドの雲行きが怪しくなったところで、グロッスラリアに亡命してきたのだと言う。
父と次兄は金を積み、爵位を買い、男爵家となった。
まもなくして、アラバンドは滅んだ。現在は屋敷に居候させてもらいながら、(兄の言う)慎ましく生活しているという。
「そ、それで、お前は本当に、わ、私たちの力になる心づもりがあるのか?」
マレクは間髪入れずに「もちろんです」と、うなずく。
「兄上と父上の知りたい情報があれば、私にお任せください。騎士から有益な情報を得てみせます」
「しかし」と、マレクは首を傾げた。思案する仕草は、わざとだ。舞踏会にもフベルトの周りにも父の姿はなかった。
「父上はどこにいますか? もしや、お亡くなりに?」
「ぶ、物騒なことをぬかすな! 生きてはいるが、公の場には出ずに潜んでいる」
「では、父上の滞在先を教えていただいても?」
フベルトは顔を曇らせた。次兄が自身で物事を決めることはない。一度、持ち帰り、父の判断を仰ぐだろう。ただ、この好機を逃がすわけにはいかない。
「兄上の居場所だけでも教えてくだされば、こちらからうかがいます。手紙はきっと、監視されているでしょうから」
フベルトに考える暇を与えない。畳み掛けて、それしか答えられないように相手を誘導する。
「わ、わかった。しかるべき時に話をしよう。父上の居場所はその時に。私が今いるのは……」
居候中の屋敷はアラバンド国の領土ではあるが、町外れにあるという。その一軒しか屋敷がないので、向かえばわかるとのことだった。
次兄はマレクの肩越しに何かを見つめ、怪訝な顔をした。そして、目を見開いたかと思うと、「わ、私はこれで」と逃げるように庭園を去っていった。
マレクの肩に誰かの手が置かれた。話しながらも背後の気配には気づいていたが、ここまでたやすく距離を詰めてくるとは思わなかった。
久しぶりに再会した兄弟の会話を邪魔してくるほど、野暮だとは知らなかった。それくらいの分別ができると思っていたし、大人であるはずだ。
おもしろくないのはマレクだった。振り向こうとしたところで、太い腕が背中から回された。胸の辺りで交差して、固く抱きしめられる。耳の後ろにはバルトルトの吐息がかかって、こそばゆい。
「マレク、あれは誰だ?」
敬称もない、単なる“あれ”と表現するバルトルトに苦笑が漏れた。
「次兄のフベルトだよ」
「あいつが、俺のマレクを」
下顎から歯ぎしりが聞こえてくる。血管の浮き出た手がますます力を込めてきた。
「昔の話だよ」
「昔だろうが、許したくはない」
バルトルトは熱量を持って怒ってくれる。それが自分のことながら嬉しかった。マレクもその手に自分の手を重ねる。
「それで、何の話をしていた?」
「フベルトと約束を取り付けたんだ。有益な情報を流すとか何とか言って」
「もしかして、俺がお前に騙されていると思っているのか?」
「たぶんね。でも簡単には信じないと思う」
警戒心の強い次兄だ。そこに狡猾な父が加わると、冷酷な決断ができてしまう。たとえそれが血の繋がった親族でさえも、手にかけてしまう。次兄はそういう人間だ。
「だから、信じさせるために、丸腰でフベルトの住む家を訪ねようと思う」
一人で行けば、多少は信じるだろう。信じなくても父にたどり着けるなら何でもいい。何なら最終的には脅してもいい。
バルトルトならうなずくと思った。マレクがやり遂げると信じてくれると思っていたのに、返ってきたのは「駄目だ」の一言だった。
「どうして?」
「危険すぎる。俺も行く」
さすがに騎士をつけるわけにはいかない。それにバルトルトほどの人間を護衛につけたら、怪しまれる。警戒心を解くために赴くのに、まったく意味がない。
「だめだよ。そんなのできない」
「別にお前が動かなくても、俺の部下にフベルトだか何だかを探らせる。お前の父親もすぐに見つかるだろう」
指の先が白くなるほどの力で腕を外したいのに、できない。否定するために、首を振った。
「そんなことしなくていいよ」
「いや、する。お前の力になりたい」
バルトルトにそこまでしてもらう所以はない。マレクはいつだってひとりで生きてきた。家に捨てられて、殺されかけても、どうにか生き抜いて来れた。
今更、誰かに頼ることなどできない。バルトルトが大切な存在であるからこそ、巻き込みたくないと思った。
震える胸を誤魔化すように、大きく息を吸った。
「本当に大丈夫だから。バルトルトは何もしなくていいよ。ルジェク兄さんのために、僕がしたいだけなんだ」
相づちを打たれる前に「それに」と、強調して素早く続けた。
「この件が済んだら、お屋敷から出ていくから」
言い終えてから、時間が止まったように静まり返った。
バルトルトはため息をつく。
「お前に俺は必要ないのか」
「違う」と言いたいのに言えない。
ずっと考えていた。これから先もバルトルトといられるとは思っていない。手を取り合って、死ぬまで生きていくなんてことは、できない。
出ていくなら早い方がいい。取り返しの付かないことになる前に、手を打つべきだ。
外せなかった腕が簡単に解かれた。後ろを振り返ると、バルトルトの顔が俯いていた。いつも前だけ向いて、照れるときには横にそらす顔が、俯いている。牢獄の中だろうと死ななかったその目が、マレクの方を見ようともしない。
「今まで、すまなかった。もう邪魔しない。フベルトに会うのも反対しない。出ていくまでの間も、屋敷は好きに使ってくれていい」
普段のバルトルトは、こんなにいっぺんに話さない。本心ではない証拠だったが、指摘する気にはなれない。
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