マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜

潟湖

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第122話 マキシの思い

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「ただいまー!!」

 学園から帰ってきたライトが、勢い良く屋敷に入ってきた。
 バタバタと二階に上がる騒がしい音がして、しばらくしてからレオニス達のいる居間にライトが飛び込んできた。

「おう、おかえり、ライト」
「待たせてごめんね!…………ん?皆何か顔が暗いけど、どうしたの?何かあったの?」

 ライトが敏感に三人の表情を読み取り、何事かと問いかける。

「いや、たいしたことじゃないさ」
「そうそう、ライトが気にするほどのことじゃない」
「ライトきゅん、聞いてッ!あのね、レオぽんがね、吾輩にデコピンしたの!ラウルっち師匠まで、吾輩のほっぺたをムニるの!二人ともしどいよね!?」
「……それ、フェネぴょんが先に何かしたんじゃないの……?」
「ライトきゅんが一番しどかった件」

 フェネセンが懸命にライトに訴えるも、あえなく撃沈する。

「さ、ライトも帰ってきたことだし。予定通りマキシに話を聞きにいくか」

 レオニスの鶴の一声で、一行は二階の寝室に移動する。
 件の部屋に入ると、そこにはベッドの上に横たわるマキシがいた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「マキシ、具合はどうだ?」
「ラウル……うん、もう大丈夫だよ」
「そうか……マキシ、そろそろお前から話を聞きたいんだが、いいか?」
「うん……僕が話せることなら、何でも答えるよ」

 まずラウルがマキシに話しかけ、マキシの了承を得る。

「その前に、まずはここにいる人達の紹介をしようか」
「まずはこちら、レオニス・フィア。この屋敷の持ち主で、俺の雇い主だ。金剛級冒険者としても、世界中にその名を知られている」
「その横がフェネセン。今回お前にかけられていた穢れを取り除いてくれた、こちらも世界有数の大魔導師だ」
「フェネセンの横はライト。レオニスの養い子だ。雇い主の養い子だから、俺にとっては小さなご主人様ってとこだ。この子が屋敷の門扉の前に倒れていたお前を見つけて、連れてきてくれたんだ」

 ラウルが三人のことを、簡単にではあるが順々に紹介していく。
 ざっと紹介を済ませた後、ラウルは改めてマキシの方に向き直る。

「この三人だけじゃないが、皆お前を助けるために力を尽くしてくれたんだ」
「そうだったの……皆さん、ありがとうございます」

 マキシはベッドに座った姿勢?で、レオニス達の方に向き頭をペコリと下げた。
 目が覚めた直後のマキシは『起きたくなかった』と言っていたが、命の恩人に対してちゃんと礼を言えるくらいには常識を弁えているようだ。

「マキシ君?体調も良さそうで、本当に良かった!」
「吾輩、超ーーー頑張っちゃったからね?元気になってくれなきゃ困るよ?」
「そうそう。君が目覚めてくれないと、うちのラウルが一生落ち込んだまま立ち直れなくなるからな?」
「ちょ、ご主人様よ、余計なことは言わんでいい!」

 レオニスがニヤニヤとしながらラウルに絡む。
 それに対し、ラウルが若干慌てながら反論する。

「……コホン。で、マキシ。一体何があった?」

 ラウルがマキシの方に向き直り、改めてマキシの真意を問うた。

「……僕、ずっとラウルに会いたくて……」
「だってラウル、突然いなくなっちゃうんだもん……」
「僕、ずっとずっとラウルを探してたんだよ?」

 マキシは目を伏せ、俯きながら呟く。

「でも僕、身体が弱いし勇気もないから、なかなか遠くまで探しに行けなくて……」
「それでもずっと、カタポレンの森の中を探し続けて、目ぼしい場所をほぼ探し尽くしたんだけど……」
「どうしても見つからないから……初めて、森の外に出たんだ」

 何と、マキシはラウルに会いたい一心でカタポレンの森を飛び出してきたらしい。

「でね、人族の集落のことなんて僕全然分かんないけど、森の外に出てしばらくしたら、何か大きな建物が見えてきて」
「僕、すごく怖かったけど……でも、このままじゃいつまで経ってもラウルに会えない、そう思って……建物に入ったの」
「あ、入る前に真ん中の足だけは隠したよ?でないと僕が八咫烏ってこと、すぐにバレちゃうし」
「魔力が少なくて人化とか長く変化できない僕でも、足に隠蔽魔法をかけて見た目だけ隠すことならできたから」

 やはりマキシは自分で意図的に、真ん中の足を隠したようだ。
 確かに、カタポレンの森の外で八咫烏がその姿のまま出歩くのは危険過ぎるだろう。
 マキシの判断は賢明であり、マキシ自身かなり聡いことが伺える。

「そしたらね、そこに人族のお姉さん?がいたんだ」
「眼鏡をかけていて、淡い紫色の長い髪で、丸くて平らな帽子をかぶった、ほぼ全身淡紫色のお姉さん」

 …………ん?
 何かどこかで、よーく見たことのある人の特徴と一致しているような気が……??

「そのお姉さんね、僕のことを見てもちっとも驚かなくてね?」
「それどころか、『んまぁぁぁ。何とも綺麗で素晴らしい羽毛をお持ちの、立派なカラスさんですねぇ』って、僕のこの姿を褒めてくれたんだ」

 マキシは少しだけ照れ臭そうに、はにかみながら話す。
 この時、ラウルはともかくライトとレオニスの脳内には、某ラベンダーカラーに染まる某人物がぎっしりみっちりどっかりたっぷり浮かび上がっていた。

「他の人間もいなかったから、僕、そのお姉さんとしばらくお話していたの」

 そのラベンダーカラーの某人物以外に、人っ子一人いない閑散とした、カタポレンの森から近い場所にある大きな建物。
 こんなニッチな条件に当てはまる場所など、あすこしかあるまい。

「でね、そのお姉さんと話しているうちに、気づいたの」
「そのお姉さんから……本当にすっごく僅かなんだけど、ラウルの気配がしたんだ」

 何と、某人物からラウルの気配が漂っていたというではないか。

「僕がラウルの気配を間違えるなんて、絶対にないから」
「思いきってそのお姉さんに、ラウルのこと知ってるか、尋ねてみたの」
「ラウルという名の、黒髪巻き毛の青年の妖精を知りませんか?って……」
「そしたらね、お姉さんが教えてくれたんだ」
「『あー、それ多分レオニスさんのところの執事さんですね』って」

 ラウルとその某人物が直接会ったことはないはずだが、レオニスと交わす会話の中でラウルのことを話したことは何度かあったかもしれない。
 それに、マキシがその建物に入ったというのが、どうやらライトとレオニスがディーノ村のお墓参りに行った頃より少し後らしい。

 確かにその時に、ライトとレオニスは某人物と会話を交わした。
 おそらくは、ラウルの雇い主であるレオニスを介して某人物の周辺にラウルの気配が微かに残っていたのを、マキシは敏感に感じ取ったのだろう。

「そのお姉さんに『レオニスって人は、どこにいますか?』って聞いたら」
「『普段はカタポレンの森に住んでいますが、執事さんがいるのはラグナロッツァのお家の方だと思いますよ?』って教えてもらったの」
「僕、もういてもたってもいられなくなって、すぐに飛び出しちゃったんだ」
「だって……ずっと何年もかけてラウルを探し続けてきて、ようやく初めて掴んだ手がかりだったから……」

 マキシがどれほどラウルに会いたかったか―――ラウルはもちろん、ライト達にもひしひしと伝わってくる。
 一同はマキシを見つめながら、じっと話を聞き続ける。

「でも、勢い良く飛び出したはいいものの……カタポレンからラグナロッツァは遠くて……」
「途中通ったノーヴェ砂漠では、本当にカラスの干物になるかと思った……」

 その時の記憶が甦ったのか、両翼の羽の先で顔を覆いさめざめと涙ぐむマキシ。

「それでも何とかノーヴェ砂漠を越えて、このラグナロッツァという名の人族の集落に辿り着いたの」
「ここまで来れば、ところどころでラウルの気配が感じられて探しやすくなったから、絶対にこの集落にラウルがいるのが分かった」
「そしてあちこち探し回って、ラウルの気配を一番強く感じたのがこのお家で」
「もう絶対に、ここにラウルがいる!と思ったんだけど……」

 もじもじしながら、若干言い淀むマキシ。

「だったら、どうして門扉の前で倒れていたんだ?俺がここにいるって確信してたなら、そのまま訪ねてくれれば良かったのに」
「うん……そうなんだけどさ……」

 マキシが悲しげな声音で、消え入るような声で呟く。

「ラウルが、もう僕のこと覚えてなくて、忘れられてたらどうしようって……僕、急に怖くなってきて」
「黙って家を飛び出してきたのに、ラウルが僕のことなんてすっかり忘れて、今は面白おかしく楽しく暮らしているとしたら」
「僕が会いに行く必要なんて、全くないんじゃないか」
「そう思ったら……」
「この屋敷の門を叩く勇気が、出なかった……」

 俯きながら、しょんぼりとするマキシ。

「そんな自分に嫌気が差して……それに、僕は誉れ高き八咫烏の首長の一族なのに、自分だけ魔力がなくて家族の皆に恥をかかせてばかりで……本当にもう嫌で嫌で仕方なくて、自分で自分のことがすごく憎くて……」
「もう、どうでもいいやって……思ったんだ」
「そこから先のことは、全然記憶になくて……次に目が覚めた時に一番先に見えたのは、ラウルの顔だった」

 ずっと俯いたまま、涙をポロポロと流すマキシ。
 そんなマキシを、ラウルは悲しそうな目で見つめる。……と思ったら、徐に手を伸ばし―――マキシの額にデコピンをした。

「ふぎゃっ!」
「マキシのバーカ。俺がマキシのことを忘れるなんて、そんなことある訳ないだろうが」
「んだって……そんなの分かんないじゃん……ていうか、ラウルのデコピン痛いよぅ」

 涙目になりながら、羽の先で額をさするマキシ。
 ラウルの突然のデコピンが、かなり効いたようだ。
 ラウルは小さなため息をつきながら、マキシに問うた。

「じゃあ聞くが、お前もいつか俺のことを忘れる日が来るのか?」
「!!そんなこと、絶対にある訳ないよ!!」
「俺だって同じだよ」
「…………!!」

 マキシは目を大きく見開いた。
 自分自身のことには全く自信が持てないマキシだが、マキシがラウルに寄せる思いや友情には絶対に自信があるらしい。
 それと同じだ、とラウルから言われれば、ラウルも自分に対して同様の思いを持ってくれている、ということがようやく伝わったようだ。

 そこでまた、ラウルがマキシに向けてゆっくりと手を伸ばす。
 すわ、またデコピンされるのか!?と気構えてビクッ!としたマキシだったが、ラウルはデコピンなどせずにマキシの頬をそっと優しく撫でた。

「お前は俺の親友で、俺もお前の親友、だろ?」
「うん……」
「もしかして、そう思ってたのは俺だけで、お前は違ってたのか?」
「ううん、違わない……」
「だったら、俺の言うことを信じろ。他の誰が何と言おうと、俺はお前の親友で味方だ。それは絶対に変わらない」
「うん……ありがとう、ラウル……」

 目尻に滲んだ涙を拭いながら、照れ臭そうに微笑むマキシだった。




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 某村に駐在している某何でもできるスーパーウルトラファンタスティックパーフェクトレディーの某○○○さん。
 こんなところでも人知れず暗躍しているようです。
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