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第123話 【女帝】の狙い
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「君がこの屋敷の門扉の前に倒れていた理由は分かった。つまりは、ラウルに会いたい一心で、カタポレンの森から転移なしでここまで来たってことでいいか?」
それまでラウルとマキシの会話をずっと静かに見守っていたレオニスが、マキシに確認を取る。
「うん、それで間違いない、です……」
「僕、ずっとラウルに会いたくて……頑張ってここまで来たはいいけど、もとから少ない魔力も体力もほぼ尽きそうなくらいで……」
「思えばカタポレンの森から出て以降、ずっと飲まず食わずだったし」
「それに、カタポレンの森と違って外の世界には魔力補給できそうなところも全くなくて……それどころか、ノーヴェ砂漠で干物になりかけたし」
「さっき、ラウルに会うのが怖くなったって言ったけど」
「それと同時に、お腹も空き過ぎてて……実はもう門を叩く力もなかったの……」
恥ずかしそうに、両翼で顔を覆い隠すマキシ。
「……ラウル、愛されてんなぁ」
「うん、本当にラウルのことが大好きなんだね」
「さすが吾輩の師匠なだけのことはあるね!」
「う、うるさいッ!」
レオニス達が、口々にラウルの愛されっぷりに感心しながら褒め称える。
それを聞く度に顔を赤く染めていくラウル、そのうち茹でダコになってしまいそうだ。
「そしたら、次の問題だな。マキシ、君は八咫烏にしては相当魔力が少なくて苦労したようだね?」
「はい……族長一族に生まれついたのに、魔力がほとんどなくて……そのせいで、家族には迷惑をかけてばかりでした……」
レオニスが次の問題である、マキシにかけられた穢れのことについて話しだした。
「だが、ここにいるフェネセンが君の中にある穢れの存在に気づき、それを完全に祓い取り去ることに先日成功した。君の身体に魔力が戻ってきた実感はあるか?」
「えっと……ここに来る前よりも、身体が軽くて調子が良い、とは思います」
「もともと君はな、八咫烏の族長一族たるに相応しい魔力量を持っているんだ。だが、君の中に巣食う穢れに君の膨大な魔力をずっと奪われ続けてきたんだ」
「えっ……それって、どういう……」
レオニスの話を聞き、マキシは大きく目を見開き驚愕している。
確かに、俄には信じられないだろう。今までずっと、魔力が少ないのは自分自身のせいだと思い込んできたのだから。
それが実は穢れが元凶だと突然知らされたら、戸惑うのも無理はない。
「だから、君の魔力が少なかったのは生まれつきじゃない。何者かによって意図的に埋め込まれた穢れに、魔力を奪われ続けていたから魔力が少なかったんだ」
「……そんな……まさか、そんなことが……」
「そしてその穢れは、廃都の魔城の【女帝】に埋め込まれた可能性が高いが、その確証はまだない。自分に仕掛けられた穢れについて、君は何か心当たりはあるか?」
レオニスがついに、話の核心に触れる。
一方のマキシは驚き戸惑いながらも、しばらく思案してからふと何かを思い出したように顔を上げた。
「……これは、僕の父と母から聞いた話なのですが」
「僕が生まれたばかりの間もない頃に、八咫烏の里にスケルトンの集団から襲撃を受けたことがあって」
「その時に、僕はスケルトンの集団に攫われたんだそうです」
「幸いにも襲撃から三日後に、八咫烏の仲間達が逃亡したスケルトン達から奪い返してくれた、とのことですが」
「あの時は生きた心地がしなかった、と……父と母が僕によく語ってくれていました」
マキシの話を聞いたレオニスが、眉間に皺を寄せながら何やら思案している。
「ねぇ、レオ兄ちゃん……カタポレンの森に、スケルトンの集団なんて出るの?」
「ああ、俺もそこが引っかかっててな」
ライトが感じた疑問をレオニスにぶつけると、レオニスも同じくそこが疑問だと言う。
「冒険者が単独で無謀な行動をして、下手を打って野垂れ死にするなんてのはよくある話だし、そのせいで亡骸がスケルトンと化すのも普通にあり得ることだとは思うが」
「集団となると、話は別だ」
「マキシ、君は今何歳だ?その襲撃はマキシが生まれたばかりの頃って話だから、襲撃事件が起きたのは君の年齢とほぼ同じということになるはずだが」
レオニスがマキシにその年齢を問うた。
その意図は、八咫烏の里の襲撃事件が起きた時期を特定するためである。
「僕の年齢ですか?今年で120歳になります」
「すると、その襲撃事件は120年前に起きたのか……さすがの俺も120年前のことは分からんが、それでも軍隊規模のスケルトンが発生するような大量死事件がカタポレンの森で起きたとは、今まで一度も聞いたことがないな……」
「それも奴等の―――【女帝】のやり口だよ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
スケルトンの集団の出処が分からず、頭を悩ませていたレオニスにフェネセンが解答を告げる。
思わぬところからの思わぬ解答に、レオニスはフェネセンの方に振り返る。
「フェネセン、それは本当か?」
「うん。レオぽんも廃都の魔城の討滅戦に参加したことがあるなら分かると思うけど、あすこの魔物の中にはスケルトンもアホほどいるでしょ?」
「ああ、確かにスケルトンもよく出てきたな」
「あすこのスケルトンは普通に単独行動もするけど、軍を成して集団行動する『死霊兵団』を組織することも可能なんだ」
「ああ……階層が下に行く毎に、スケルトンが束になって襲いかかってくることが増えたが、そういうことか……あれはフェネセン、お前が言うところの死霊兵団ってやつか」
レオニスは、自身が参加した廃都の魔城の討滅戦のことを思い出しながら、フェネセンとの話を続けていた。
「そう。そして廃都の魔城の深奥部に潜む四帝、特に【女帝】は死霊兵団を使って小細工するのを好む奴でね」
「魔城の外の世界で工作活動を行う尖兵として、死霊兵団を各所に送り込んでいるんだろう。おそらく八咫烏の里の襲撃は、その氷山の一角に過ぎないはず」
「死霊兵団に八咫烏の里を襲わせて、その隙に魔力の高い者を攫い……穢れを埋め込んでから、里に戻すように仕向けたんだろうね」
「そうすることでその里の不和も招けるという、二重の罠の算段も透けて見える」
確かに、高い魔力を持っていて当然の八咫烏の一族の子が魔力無しとなれば、その家族や周囲に不信感を植え付けて不和を煽ることができるだろう。現にマキシはそのせいで、里の中ではずっと蔑まれてきた。
廃都の魔城に巣食う四帝、特に【女帝】の狡猾さが伺える。
「魔城の外の世界での工作において、特にカタポレンの森はうってつけだろうね」
「例えば、もしスケルトンが都市部や平地で動いたら、目立ちまくってすぐに人間側に討伐されてお終いだけど」
「人間が滅多に入ることのない魔の森カタポレンの中ならば、誰に咎められることなく存分に動き回れるだろうからね」
「しかし、そうなると……」
レオニス達にも分かるように解説しながら、他の可能性にも言及しつつ思案するフェネセン。
「魔の森カタポレンに限らず、人の手が入りにくいシュマルリ山脈やノーヴェ砂漠なんかにも、魔の手が伸びている可能性は大いに高いな……」
「こりゃ吾輩、本当に大陸の隅々まで調べ尽くさなきゃならんかな……」
「いや、大陸どころか海の孤島や天空島まで足を伸ばさなきゃならんぞぃ……」
眉を顰め半目になりながら、フェネセンが実に忌々しげに呟く。
だが、フェネセンの口から漏れた何気ないその呟きの中に、ライトにとって聞き捨てならない言葉が紛れ込んでいた。
「天空島?フェネセン、天空島に行くの?」
ライトは目をキラキラと輝かせながら、フェネセンに問うた。
天空島―――それは、ライトがブレイブクライムオンラインの中で、好んで出かけていた冒険フィールドのひとつであった。
「ン?え、あー、うん、多分ね、そのうち行かなきゃなんないかなー、とは思うよ?」
「本当に!?そしたらその時に、僕もいっしょに連れてって!」
「え?ライトきゅん、天空島に行きたいの?」
「うん!いつかは絶対に行きたい場所のひとつなの!」
ライトは更に目をキラキラと輝かせながら、フェネセンを見つめた。
だが、フェネセンは何故かそわそわと落ち着かず、気が気ではない様子だ。
その原因は、ライトの背後でその毛を逆立てながら今にも噴火しそうな仁王像(レオニス)がいたからである。
「ヒョエッ……えーっとねぇ、ライトきゅん?今すぐ行く、訳じゃあない、よ?」
「そうなの?でも、いつかは天空島に行くんだよね?」
「う、うん、いつかはね?いつかは行くよ?【女帝】の罠が仕掛けられているかどうか、確かめなくちゃなんないし、ね?」
「ライト!天空島なんて危険な場所、普通の人間なら近づくことすら不可能なんだぞ!」
レオニスが堪えきれずに、ライトにきつい口調で釘を刺した。
だが、そんなことでへこたれるライトではない。
「えー、でもフェネぴょんは行けるし、レオ兄ちゃんも行ったことあるんでしょ?」
「ん……そりゃまぁ、俺は冒険者だしな?」
「なら、ぼくが冒険者になったら、行ってもいいでしょ?」
「うぐっ……そ、それは……」
「ぼく、いつかレオ兄ちゃんとフェネぴょんといっしょに、天空島に行くんだ!」
これ以上ないくらいに、キラキラとした瞳で将来の夢を語るライト。その眩さに、思いっきり胸を射抜かれるレオニス。
仰け反るレオニスの、クアアァァッ!という小さな呻き声とともに、ドギューーーン!という効果音がどこからともなく聞こえてきた、気がする。
そしてその横で、何故かフェネセンまでレオニス同様射抜かれ仰け反っている。
「ハァ、ハァ……ま、まずはお前が自分で自分の身を、ちゃんと守れるくらいに強くなってから、だな……」
「ハァ、ハァ……そ、そうだねぃ、ライトきゅん、吾輩その日を楽しみにしてるから、修行頑張ってねぃ……」
「うん、毎日の修行、もっともっと頑張る!!」
息も絶え絶えのレオニスとフェネセンを他所に、ライトはフンスと鼻息も荒く張り切っていた。
====================
マキシ君、今年で御歳120歳。
その親友のラウル、今のところ具体的な年齢は明かしていませんが、多分そんな変わらないくらい。
彼らの出会いもいつかSSで書けたらいいなー、とか思いつつ。日々減りゆく予約投稿のストックを溜め直すのに日々手一杯で、なかなか思うようにはいかないもんです。
それまでラウルとマキシの会話をずっと静かに見守っていたレオニスが、マキシに確認を取る。
「うん、それで間違いない、です……」
「僕、ずっとラウルに会いたくて……頑張ってここまで来たはいいけど、もとから少ない魔力も体力もほぼ尽きそうなくらいで……」
「思えばカタポレンの森から出て以降、ずっと飲まず食わずだったし」
「それに、カタポレンの森と違って外の世界には魔力補給できそうなところも全くなくて……それどころか、ノーヴェ砂漠で干物になりかけたし」
「さっき、ラウルに会うのが怖くなったって言ったけど」
「それと同時に、お腹も空き過ぎてて……実はもう門を叩く力もなかったの……」
恥ずかしそうに、両翼で顔を覆い隠すマキシ。
「……ラウル、愛されてんなぁ」
「うん、本当にラウルのことが大好きなんだね」
「さすが吾輩の師匠なだけのことはあるね!」
「う、うるさいッ!」
レオニス達が、口々にラウルの愛されっぷりに感心しながら褒め称える。
それを聞く度に顔を赤く染めていくラウル、そのうち茹でダコになってしまいそうだ。
「そしたら、次の問題だな。マキシ、君は八咫烏にしては相当魔力が少なくて苦労したようだね?」
「はい……族長一族に生まれついたのに、魔力がほとんどなくて……そのせいで、家族には迷惑をかけてばかりでした……」
レオニスが次の問題である、マキシにかけられた穢れのことについて話しだした。
「だが、ここにいるフェネセンが君の中にある穢れの存在に気づき、それを完全に祓い取り去ることに先日成功した。君の身体に魔力が戻ってきた実感はあるか?」
「えっと……ここに来る前よりも、身体が軽くて調子が良い、とは思います」
「もともと君はな、八咫烏の族長一族たるに相応しい魔力量を持っているんだ。だが、君の中に巣食う穢れに君の膨大な魔力をずっと奪われ続けてきたんだ」
「えっ……それって、どういう……」
レオニスの話を聞き、マキシは大きく目を見開き驚愕している。
確かに、俄には信じられないだろう。今までずっと、魔力が少ないのは自分自身のせいだと思い込んできたのだから。
それが実は穢れが元凶だと突然知らされたら、戸惑うのも無理はない。
「だから、君の魔力が少なかったのは生まれつきじゃない。何者かによって意図的に埋め込まれた穢れに、魔力を奪われ続けていたから魔力が少なかったんだ」
「……そんな……まさか、そんなことが……」
「そしてその穢れは、廃都の魔城の【女帝】に埋め込まれた可能性が高いが、その確証はまだない。自分に仕掛けられた穢れについて、君は何か心当たりはあるか?」
レオニスがついに、話の核心に触れる。
一方のマキシは驚き戸惑いながらも、しばらく思案してからふと何かを思い出したように顔を上げた。
「……これは、僕の父と母から聞いた話なのですが」
「僕が生まれたばかりの間もない頃に、八咫烏の里にスケルトンの集団から襲撃を受けたことがあって」
「その時に、僕はスケルトンの集団に攫われたんだそうです」
「幸いにも襲撃から三日後に、八咫烏の仲間達が逃亡したスケルトン達から奪い返してくれた、とのことですが」
「あの時は生きた心地がしなかった、と……父と母が僕によく語ってくれていました」
マキシの話を聞いたレオニスが、眉間に皺を寄せながら何やら思案している。
「ねぇ、レオ兄ちゃん……カタポレンの森に、スケルトンの集団なんて出るの?」
「ああ、俺もそこが引っかかっててな」
ライトが感じた疑問をレオニスにぶつけると、レオニスも同じくそこが疑問だと言う。
「冒険者が単独で無謀な行動をして、下手を打って野垂れ死にするなんてのはよくある話だし、そのせいで亡骸がスケルトンと化すのも普通にあり得ることだとは思うが」
「集団となると、話は別だ」
「マキシ、君は今何歳だ?その襲撃はマキシが生まれたばかりの頃って話だから、襲撃事件が起きたのは君の年齢とほぼ同じということになるはずだが」
レオニスがマキシにその年齢を問うた。
その意図は、八咫烏の里の襲撃事件が起きた時期を特定するためである。
「僕の年齢ですか?今年で120歳になります」
「すると、その襲撃事件は120年前に起きたのか……さすがの俺も120年前のことは分からんが、それでも軍隊規模のスケルトンが発生するような大量死事件がカタポレンの森で起きたとは、今まで一度も聞いたことがないな……」
「それも奴等の―――【女帝】のやり口だよ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
スケルトンの集団の出処が分からず、頭を悩ませていたレオニスにフェネセンが解答を告げる。
思わぬところからの思わぬ解答に、レオニスはフェネセンの方に振り返る。
「フェネセン、それは本当か?」
「うん。レオぽんも廃都の魔城の討滅戦に参加したことがあるなら分かると思うけど、あすこの魔物の中にはスケルトンもアホほどいるでしょ?」
「ああ、確かにスケルトンもよく出てきたな」
「あすこのスケルトンは普通に単独行動もするけど、軍を成して集団行動する『死霊兵団』を組織することも可能なんだ」
「ああ……階層が下に行く毎に、スケルトンが束になって襲いかかってくることが増えたが、そういうことか……あれはフェネセン、お前が言うところの死霊兵団ってやつか」
レオニスは、自身が参加した廃都の魔城の討滅戦のことを思い出しながら、フェネセンとの話を続けていた。
「そう。そして廃都の魔城の深奥部に潜む四帝、特に【女帝】は死霊兵団を使って小細工するのを好む奴でね」
「魔城の外の世界で工作活動を行う尖兵として、死霊兵団を各所に送り込んでいるんだろう。おそらく八咫烏の里の襲撃は、その氷山の一角に過ぎないはず」
「死霊兵団に八咫烏の里を襲わせて、その隙に魔力の高い者を攫い……穢れを埋め込んでから、里に戻すように仕向けたんだろうね」
「そうすることでその里の不和も招けるという、二重の罠の算段も透けて見える」
確かに、高い魔力を持っていて当然の八咫烏の一族の子が魔力無しとなれば、その家族や周囲に不信感を植え付けて不和を煽ることができるだろう。現にマキシはそのせいで、里の中ではずっと蔑まれてきた。
廃都の魔城に巣食う四帝、特に【女帝】の狡猾さが伺える。
「魔城の外の世界での工作において、特にカタポレンの森はうってつけだろうね」
「例えば、もしスケルトンが都市部や平地で動いたら、目立ちまくってすぐに人間側に討伐されてお終いだけど」
「人間が滅多に入ることのない魔の森カタポレンの中ならば、誰に咎められることなく存分に動き回れるだろうからね」
「しかし、そうなると……」
レオニス達にも分かるように解説しながら、他の可能性にも言及しつつ思案するフェネセン。
「魔の森カタポレンに限らず、人の手が入りにくいシュマルリ山脈やノーヴェ砂漠なんかにも、魔の手が伸びている可能性は大いに高いな……」
「こりゃ吾輩、本当に大陸の隅々まで調べ尽くさなきゃならんかな……」
「いや、大陸どころか海の孤島や天空島まで足を伸ばさなきゃならんぞぃ……」
眉を顰め半目になりながら、フェネセンが実に忌々しげに呟く。
だが、フェネセンの口から漏れた何気ないその呟きの中に、ライトにとって聞き捨てならない言葉が紛れ込んでいた。
「天空島?フェネセン、天空島に行くの?」
ライトは目をキラキラと輝かせながら、フェネセンに問うた。
天空島―――それは、ライトがブレイブクライムオンラインの中で、好んで出かけていた冒険フィールドのひとつであった。
「ン?え、あー、うん、多分ね、そのうち行かなきゃなんないかなー、とは思うよ?」
「本当に!?そしたらその時に、僕もいっしょに連れてって!」
「え?ライトきゅん、天空島に行きたいの?」
「うん!いつかは絶対に行きたい場所のひとつなの!」
ライトは更に目をキラキラと輝かせながら、フェネセンを見つめた。
だが、フェネセンは何故かそわそわと落ち着かず、気が気ではない様子だ。
その原因は、ライトの背後でその毛を逆立てながら今にも噴火しそうな仁王像(レオニス)がいたからである。
「ヒョエッ……えーっとねぇ、ライトきゅん?今すぐ行く、訳じゃあない、よ?」
「そうなの?でも、いつかは天空島に行くんだよね?」
「う、うん、いつかはね?いつかは行くよ?【女帝】の罠が仕掛けられているかどうか、確かめなくちゃなんないし、ね?」
「ライト!天空島なんて危険な場所、普通の人間なら近づくことすら不可能なんだぞ!」
レオニスが堪えきれずに、ライトにきつい口調で釘を刺した。
だが、そんなことでへこたれるライトではない。
「えー、でもフェネぴょんは行けるし、レオ兄ちゃんも行ったことあるんでしょ?」
「ん……そりゃまぁ、俺は冒険者だしな?」
「なら、ぼくが冒険者になったら、行ってもいいでしょ?」
「うぐっ……そ、それは……」
「ぼく、いつかレオ兄ちゃんとフェネぴょんといっしょに、天空島に行くんだ!」
これ以上ないくらいに、キラキラとした瞳で将来の夢を語るライト。その眩さに、思いっきり胸を射抜かれるレオニス。
仰け反るレオニスの、クアアァァッ!という小さな呻き声とともに、ドギューーーン!という効果音がどこからともなく聞こえてきた、気がする。
そしてその横で、何故かフェネセンまでレオニス同様射抜かれ仰け反っている。
「ハァ、ハァ……ま、まずはお前が自分で自分の身を、ちゃんと守れるくらいに強くなってから、だな……」
「ハァ、ハァ……そ、そうだねぃ、ライトきゅん、吾輩その日を楽しみにしてるから、修行頑張ってねぃ……」
「うん、毎日の修行、もっともっと頑張る!!」
息も絶え絶えのレオニスとフェネセンを他所に、ライトはフンスと鼻息も荒く張り切っていた。
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マキシ君、今年で御歳120歳。
その親友のラウル、今のところ具体的な年齢は明かしていませんが、多分そんな変わらないくらい。
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