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5章 反撃の序章
40 レイラの謎
しおりを挟むイルが僕の屋敷に来た翌日、僕は朝食を食べ終わってすぐにイルの部屋に行った。
「────昨日はよく眠れた?」
「えぇ、久しぶりにぐっすり眠れたわ!」
「………なら、よかった」
『久しぶりに』か…………
サン侯爵家では何があるか分からないから、ゆっくり寝られなかったんだろうな、、、
「それと、今朝のご飯も美味しかった! グレンさんが運んできてくれたんだけど、、いい人ね」
「そっか……………。今日、イルは何がしたい?」
「う~ん………。刺繍の道具があったら、刺繍をしたいんだけど、ある?」
「あると思うよ。後で持ってくるね!」
「ありがとう」
イルに来てもらってよかったな………。
サン侯爵家にいた時は無理して笑ってるみたいな時があったけど、今のイルには自然な笑顔があるもん!
「あっ………」
「ん? どうかした?」
「えっと………今日、レイラ様が来るかもしれないなって、、」
「そっか………! もうイルが居なくなったのに気付いただろうし、『捜すのを手伝え』って来るだろうね………」
「それもあるけど、あの人は貴方と、、何故かカイル様がお気に入りなの」
────確かにあの女はいつも僕に執着してた。
理由は分からないけどね………。
「カイル兄様にも?」
「えぇ、ある意味では貴方に対するよりも強い執着だと思う」
「ある意味?」
「うん、『カイルだけは私を愛してくれるのかもしれないっ………!』って言ってたの。切羽詰まった感じで」
「『だけは』か…………」
「えぇ、不思議よね?」
「うん………」
だって、レイラ様はいつも優れた容姿で人を惹き付けていたし、〝魔術が存在した世界〟とこの世界では、魔術を使って人を惹き付けているもん。
どちらかというと、誰からも愛されてる存在だよね?
「───カイル様だけ魔術が解けていないんでしょう?」
「そうだけど………何か関係してるのかな?」
「おそらくね……」
調べたいところだけど、難しいだろうな………。
─────コンコンコン
「ラストル様、イリス様、よろしいですか?
「いいよ」
考えていたらグレンが来た。
「レイラ様がいらっしゃったようで、カイル様とラストル様をお呼びです」
「………分かった。イルはここにいてね?」
「うん……。気を付けてね」
「ありがとう」
「──ラストル様、私はここに残りイリス様の警護をしましょう」
「ありがたいけど、大丈夫?」
グレンも結構な歳だよね?
「安心してお任せくだされ、これでも武術は嗜んでおりますし、最悪の場合は魔術も使いましょう」
「じゃあ、お願いね」
「グレンさん、ありがとうございます」
また、グレンの謎(?)が増えたな…………
――――――――――――――
エントランスに行くと、カイル兄様とレイラ様が話し込んでいた。
「レイラ様、カイル兄様、お早うございます! 今日はどうしました?」
「お早ございます、ラストル。………今、カイルとも話していたのですが、あれが逃げましたわ」
「本当ですか!?」
「あぁ、あれだけレイラに迷惑を掛けたのに逃げるなんて………! 絶対に見つけ出してレイラに謝らせらせてやる!」
………イルがカイル兄様に見つかったらヤバいな、、
絶っ対に隠さなきゃ………!
「どうやって逃げたのか分かりませんの……。私の屋敷には使用人もたくさんいますし、あれの部屋は上の方ですから、不可能なはずですわ!」
「僕もイリス嬢を捜すお手伝いをします!」
「もちろん、私も手伝うよ!」
「まぁ、二人ともありがとうございます!」
「当然だよ」
「はい、カイル兄様の言うとおりです!」
レイラ様はイルが魔術を使う可能性は考えてないっぽいね。
イルが今世でも〈空間〉属性の魔術をって、使えるって気付かれたら少し厄介だからね。
魔術に対する対策をされちゃうかもしれないし、、
「何かあてはないのですか?」
「それが、、何もないんですの」
「そうか………」
「そうですか………」
「少し前なら、ラストルが匿っていると考えたでしょうけどね!」
「ははは! 何故ですか?」
「ラストルはあれを大切にしていましたもの!」
「そうでしたか? 僕にとっての最優先はレイラ様ですよ?」
「嬉しいですわ!」
────危なかった…………!
レイラ様の魔術にかかった振りをしててよかった。
レイラ様は冗談みたいに言ってるけど、シャレにならないよ……………。
僕の反応、怪しくなかったよね………?
「私は騎士達に協力してもらって、サン侯爵家の近辺を捜索するよ。私がいる騎士団にはレイラを慕う者も多いから、協力者が集まると思うよ」
「まぁ!」
カイル兄様、、他の騎士もだけど、それってやっていいの?
やっちゃダメだよね…………?
「僕はどうしましょう?」
「ラストルはあれに『冷たくして悪かった。昔みたいに仲良くしたい』って内容の手紙を書いてくださいな」
「でも、イリス嬢はいないんですよね?」
「そこは大丈夫ですわ! 私が『ラストルが会いたがっているらしい』と噂を流しますわ!」
「私も協力して噂を流そう!」
「そうしたら、あれはレイ伯爵家に来るでしょうから、報告してほしいですわ」
「分かりました」
もし、イルが街にいたとしたら、この作戦に引っ掛かっちゃっただろうな、、、
彼女はあんなことがあっても人を信じることを完全には止めてないから………。
「それでは二人ともお願いします!」
「任せて!」
「お任せください」
レイラ様はその後すぐに帰っていった。
カイル兄様はすごく残念そうだった…………。
~~~~~~~~~~~
読んでくださりありがとうございます(^^)
次はグレン視点になります!
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