美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ

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続編

大切な妹(エリオット視点)

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 前話からさらに一年経ったお話です。
 エリオットは4歳ですが、読みにくくなってしまうので漢字に変換して書いています。

~~~~~~~~~



 僕はエリオット・カトル。カトル公爵家の長男で、この間4歳になった。
 僕には双子の妹がいて、毎日一緒に本を読んでもらったり、おいかけっこしたりしてるんだ。

 でも僕は最初、妹のソフィーが好きじゃなかったの。お父様とお母様をとられたように感じるし、僕なんかいなくても楽しそうにしてたから。
 誰だって嫌でしょう?自分の親が自分以外の子供に構っていたら。僕のお父様とお母様なのにって。 
 
 僕はお父様とお母様が大好き。
 お父様はだっこすると高い高いしてくれるし、一緒にかけっこしてくれるんだ。お父様は大きくて、とっても強くてカッコイイ。
お母様のだっこは温かくていい匂いがするんだよ?お母様が本を読んでくれる時の優しい声も大好き。

 だけど、僕がお父様とお母様のどちらかに構ってもらっていたら、ソフィーも構われてる。二人が僕だけを見てくれることはない。
 それが悔しかったんだ。僕だけを見てほしかった。

 一年前のことはあんまり覚えてないけど、それでも、よく覚えてる日がある。その日僕はソフィーに『嫌い』って言っちゃったんだ。
 僕はお父様とお母様と一緒にいたかったのに、ソフィーが遊びに誘ってきて、お父様とお母様もお仕事に戻るからいってらっしゃいって言ったんだ。 
 ソフィーがそんな事言わなきゃ、少しだけでもお父様とお母様と過ごせる時間は長かったはずなのにって思ったんだ。
 
 それでソフィーは部屋を出ていっちゃって、僕はお父様とお母様を引き留めたけど、お母様はソフィーを追いかけて行っちゃった。


『おかあさまはぼくがきらいなんだ!』

『エル、お母様がお前のことを嫌っているはずがないだろう?』

『でも、おかあさまはそふぃーについてったじゃん!』

『お前はソフィーが怪我をしたり、泣いてしまったりしてもいいと思っているのか?』

 そのお父様の質問に僕は答えられなかった。
 いいことではないとわかっていたけど、ソフィーをよく思っていなかったから。

『エルはなんでソフィーに嫌いなんて言ったんだ?』

『……そふぃーがおとうさまとおかあさまといるのをじゃまするんだもん』

『二人で遊ぶのではいけないのか?』

『おとうさまとおかあさまがいい……』

『……エリオット、お前もソフィーも私達の大切な大切な子なんだ。ソフィーは生まれる前から一緒にいる大切な妹だろう?』

『……いもうとなんかじゃないもんっ』

『エル! なんでそんな事を言うんだ!?』

『おとうさまもそふぃーのほうがだいじなの?』

 お父様は自分で言った言葉に傷ついて泣いてしまった僕の肩に手を置いて、目を合わせて語りかけてくれた。

『エル、どちらが大事などあるはずないだろう?私もお母様も、二人の事が大好きで大切に思っているんだ』

『でもっ』

『エルはお父様とお母様がソフィーだけを構っていたら嫌じゃないのか?』

 その言葉に止まらない涙をこぼしながらに頷いた。
 だって、お父様とお母様がソフィーに構うこと、それが一番嫌なことだったから。
 わかってくれているなら、どうして僕だけを構ってくれないの?って。

『ソフィーだって私達がエルだけを構っていたら悲しくなってしまうんだぞ?』

 考えたこともなかった。その頃の僕は自分のことしか考えていなかったから。
 でも、お父様の言葉を聞いて確かにその通りだって思ったんだ。ソフィーだって同じ事を思っているかもしれないと初めて気がついた。

『エル、ソフィーに謝れるな?』

 泣いてたせいで上手く答えられなかったけど、ちゃんと頷いた。
 お父様は僕がある程度落ち着くまでだっこして、話を聞いてくれた。お父様とお母様が大好きなこと、ソフィーをずるいと思っていたこと、それで嫌いなんて言っちゃったこと、でもちゃんとごめんねって言いたいこと……全然言葉にならなかったけど、それでもしっかり聞いてくれた。

 僕が謝りに行った時、ソフィーは仲直りの印って言って四つ葉のクローバーをくれた。ソフィーの手は泥だらけで、酷いことを言った僕なんかのために頑張って探してくれたことがわかった。

 その後ソフィーと追いかけっこをした。
 お父様とお母様は離れたところで見てるだけの二人だけの追いかけっこ。2人だけなのは初めてだったけど、とっても楽しかった。
 僕が転んじゃった時、ソフィーはとっても心配して起こしてくれた。ソフィーの手はお母様よりもはるかに小さかったけど、同じくらい優しかった。
 追いかけっこの間中握りしめてたクローバーがしおしおになっちゃって泣いちゃった時に慰めてくれた手も。

 ソフィーがくれた四つ葉のクローバーは今でも大切な宝物。お母様が本を読む時に使う栞を作ってくれた。
 まだ難しい本は読めないけど、いつか本を読む時に使うんだ。

 
 あの時はいっぱい泣いちゃったけど、僕はソフィーのお兄ちゃんなんだ。
 僕はまだまだ弱いけど、ソフィーを守ってあげたい。
 お父様に鍛えてもらって、強い男になる。それで、今度は僕がソフィーを守ってあげるんだ。

 この間メイド達が話しているのを聞いたんだ。
 この世には悪い男って言うのがいるんだって。悪い男に捕まったら幸せになれないって言ってた。
 だから僕は良い男になってソフィーを幸せにしてあげるんだ!









~~~~~~~~~~

 読んでくださりありがとうございます(*^^*)
 
 ……3、4歳の子ってこんな考え方しますっけ?
 書いていて『あれ? 大人びすぎてない?』と何度思ったことか(・・?
 ま、まぁ、エルはウィルの子ですもんね?


【オマケ~メイド達の会話~】

「私の妹がさ、東の方にある子爵家で働いてたんだけど、そこの旦那様に目をつけられちゃったのよ」
「東の子爵家?……それってまさかリック様じゃないわよね?」
「そのまさかよ」
「うわ、婿入りだったよね?」
「そのはずなんだけどね……。まぁ、そのせいで妹は子爵家で働きずらくなっちゃったらしくて……」
「大変だけど、子爵家で働き続けるよりはよかったかもね」
「私も手紙にそう書いたわ。リック様みたいな人の側にいたら大変な目に会うもの」
「ホントにね。私達も悪い男に捕まらないようにしないとね」
「えぇ、不幸になりたくないものね。……ま、私達はもうしばらく仕事が恋人でしょ?」
「ふふっ、そうね! リーナ様もウィリアム様も使用人にまでお優しいし、待遇もいいし…ここで働けて幸せだわ」
「ね。あっ、妹も仕事一筋でね、今はキース候爵家で働いてるの」
「子爵家から候爵家に!?」
「なんでも、リック様の奥様が旦那の不始末を気にして、幼馴染みの関係であった候爵家に紹介状を書いてくださったみたい」
「そうだったの。よかったと言っていいの?」
「もちろんよ」

 ※リック様はリーナの元婚約者のクズ男です。



 新作の方も更新しておりますのでお時間のある方は是非よろしくお願いします(*^^*)



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