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続編
仲直り
しおりを挟むこの話のサブタイは“シスコン爆誕”です。
~~~~~~~~~
「おとうさま!そふぃーも!」
「まだえるのばん」
言葉を発するようになったのはついこの間のことのように思えるのに、もう2年が経つのですね。
ウィルに高い高いをされて嬉しそうな声を挙げるエリオットと、自分もとうったえるソフィア……二人とも順調に成長し、少し前に3歳の誕生日を迎えました。
二人とも喋るのが上手で、言語の習得も平均より早いようです。
「ソフィー、こっちにいらっしゃい。それとも、お母様のだっこは嫌?」
「ううん! だいすき!」
「あっ!そふぃーっ」
「こらエル、危ないぞ」
パアッと破願して私の方へと駆け寄ってくるソフィアは抱き上げると嬉しそうに私の肩に顔を埋めています。
ふふっ、今度はエリオットがソフィアを羨ましくなってしまったようです。ウィルの腕の中でジタバタしています。
ソフィアの気が済んだところで私とウィルが交代したのですが、エリオットは拗ねてしまったようで顔を上げてくれません。
最近では二人に性格の違いが出てきました。
エリオットは少し内気で、私とウィルを独占したいという気持ちが強いようです。今のように、ソフィアが私達両親に構われているのを見ると、機嫌が悪くなってしまうのです。幸いなことにソフィアがあまり気にしない性格なので大きな喧嘩にはなっていないのですが……ソフィアは活発で怪我をしそうになることが多いというのが問題ですかね。
「エル、お父様のだっこも好きでしょう?」
「……うん」
「ソフィーと順番ではだめなの?」
「だめっ」
育児は難しいですね……乳母や世話係も雇っていて、仕事中はその者達に二人の世話をしてもらっているのですが、その者達からの報告にはソフィアの世話をしていたらエリオットが泣いてしまったというものもありました。
先日、四年ぶりにマチルダさん……お母さんに会いに行くことが出来て、二人の事を相談してみたのですが、『話を聞く限り、今はソフィアに嫉妬しているみたいだけど、そのうちにソフィアのことを誰よりも大切な妹として守るお兄ちゃんになる気がするよ』と言われました。そうなってくれると良いのですが……
……この間会ったばかりなのに、もうお母さんに会いたくなってしまいました。四年ぶりに会った時には、久しぶりに会う私を温かく迎えてくれたお母さんに感極まって泣いてしまいました。
妊娠がわかってからは安全のために生活拠点を公爵邸に移し、外に出ることも控えるようになりましたが、爵位を継いでからも数年間は生活の拠点をお母さんの食堂にしていました。
……私やウィルの立場を考えれば危険で、多くの者に迷惑をかける向こう見ずな行為だという認識はありましたし、私達のことが敵対している者達に知られてしまえば、お母さんまで危険に晒してしまうとこうことも理解していました。
それなのに市井での生活を続けた理由は、お母さんがそれらの事を理解した上で『リーナのしたいようにしていい。アタシとしてはリーナがいてくれた方が嬉しいよ』と言ってくれたからです。
お母さんは私が公爵邸で過ごした過去の事を気に掛けてくれたのでしょう。
皆に危険が及ばないよう、視察や社交で出かける以外には公爵邸にいるというように見せかけました。……何故かウィルがこういった工作が上手だったので助かりました。
二人が生まれてからも私の体調や事業の関係でなかなか時間をつくることが出来なくて、なかなか会うことが出来ずにいましたが、変わらずに接してくれたお母さんに母の愛というものを感じました。
日々の生活の中で、マチルダさんが母の愛情というものを教えてくださったお陰で、手探りながらもエリオットとソフィアの母親になっていけていると感じています。
お母さんの言っていたようにエリオットとソフィアの関係がよくなると良いのですが……
* * *
「える~おにわであそぼう!」
ある日の昼下がり、ソフィアがエリオットを庭での遊びにさそっていました。私とウィルも休憩時間が終わろうとしていたので、ちょうど良いかと思っていたのですが……
「やだっ、おとうさまとおかあさまといる」
「なんで? いっしょにあそぼうよ」
「エル、お父様もお母様もお仕事に戻らなければならないんだ。ソフィーと一緒に遊んできたらどうだ?」
「いやっ」
そう言ってウィルの足にしがみつき、その状態で伸ばした片方の手で私のドレスの裾を掴むエル。
「エル、お父様とお母様はとても大切なお仕事をしているの。だから寂しくても、ずっと遊んではあげられないのよ? お父様とお母様がいない時だけでもソフィーと一緒に遊んだらどう?」
「やだあっ」
「……えるは、そふぃーのこときらいなの?」
「っきらい!」
「……わかった」
「っ、ソフィーっ!」
ソフィアはエリオットからの拒絶を聞いて部屋を駆け出してしまいました。
部屋にいたメイドがすぐに後を追ってくれたので大丈夫だとは思いますが、すぐに向かった方がいいでしょう。
「エル、一緒に来てソフィーにごめんなさいしなさい」
「……やだ」
「……リーナ、エルは私が連れていくから先に行ってくれないか?」
「ウィル……えぇ、エルをお願いね」
* * *
「リーナ様、あちらです」
なんとかドレスの裾からエルの手をはずし、メイドの案内で庭園にやってきました。
「ありがとう。ソフィアは?」
「それが、お庭で何かを探しておられるようでして、お声がけもしたのですが離れているように言われてしまい……」
庭園の入り口である生け垣の陰に立っていた、ソフィアに着いていってくれたメイドの言葉を受けてしゃがみ込んでいるソフィアを見ると、確かに何かを探している様子でした。
「いかがなさいますか?」
「……しばらく様子を見ましょう」
「──あったー!」
三十分程経った頃でしょうか?ずっと庭園の芝生を探っていたソフィアが唐突に嬉しそうな声を上げて立ち上がりました。
同時に後ろからエリオットのすすり泣く声も聞こえてきました。……ウィルとしっかり話してきたみたいですね。
「すまない、遅くなってしまった」
「大丈夫よ。エルは?」
「少しきつく言ってしまったんだ」
「そう……エル、ソフィーにごめんなさい出来る?」
「……んっ」
少し屈んでウィルに抱かれたエリオットと目を合わせて言うと、鼻声ながらも返事をし、頷いてくれました。
「あっ、える!」
「さぁエル、行っておいで」
ソフィアがこちらに気付いたので、ウィルがエリオットを下ろして優しく背中を押します。
「あれ……? どうしてないてるの? なかないで?」
「……そふぃー、きらいっていって、ごめんね」
「そふぃーのこときらいじゃない?」
「うん……」
「よかった~じゃあ、これはなかなおりのしるし!」
そう言ってエリオットに向けられたソフィアの小さな手のひらには四つ葉のクローバーがのっていました。
「よつばのくろーばー!」
「そうだよ、あげる!」
少し前に二人に読んであげた絵本に『うさぎさんとくろーばー』というものがありました。ソフィアは本の中で四つ葉のクローバーが仲直りのプレゼントとして使われていたのを覚えていて、探していたのでしょう。
「える、おいかけっこしよ?」
「うん!」
二人は代わる代わる追いかけたり逃げたりし始めました。
とちゅうでエリオットが転んでしまった時にはソフィアが駆け寄って起こしてあげて……大丈夫そうですね。
「仲直りできたみたいで良かったな」
「えぇ……そういえば、ウィルからの始めてのプレゼントもクローバーの髪飾りだったわね」
「あぁ。今でも使ってくれていて嬉しいよ」
「ふふっ」
四つ葉のクローバーはエリオットが握りしめていて萎れてしまいましたが、水に浸けた後で押し花にし、栞を作ってあげました。
萎れてしまったクローバーを見た時に焦って泣いてしまったエリオットをソフィアが慰めているのが印象深かったです。
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お久しぶりです(^^)
無事、私生活の方が落ち着きましたので少しずつ投稿を再開していこうと思います!!
投稿頻度など詳しいことは近況ボードにて_(..)_
それと、明日の19:40に二年間温めた新作を投稿させていただきます!
タイトルは
『妹しか見ない家族と全てを諦めた私 ~全てを捨てようとした私が神族の半身だった~』
現代ファンタジーの恋愛小説になります。
お時間があり、興味があるという方がいらっしゃいましたら是非読んでいただければと思います_(..)_
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