奇跡まであと一歩

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実 version

公園と遊園地 9

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「何なら、もう一度入って、寄って行こうか?忘れ物したって言えば……。」

実は入場口に向かおうとする誠の手を握って、首を振った。

「いい。まぁちゃんの気持ちだけで十分だから、帰ろうぜ?」

絵画展など、この先いくらだって見られる。そんなことより、実は誠の体の方が心配だった。

膝の痛みに加えて熱もあるとなると、立っているだけでもつらいだろう。

早く帰って横になってもらいたいと切に願う。

「せっかく、無い金出してここまで来たのに。」

「無い金は余計だっつーの。」

『歯に絹を着せぬ』とはよく言ったもので、誠はけっこう毒舌だ。

金が無いのは事実だけど、そんな事をはっきり言われて嬉しいはずもない。

実は慣れているから、さほど気にならないが。

「ひょっとして、まぁちゃん、彼女にもそんな風にしゃべってた?
あんま、はっきり言っても、嫌われるだけだぜ?」

誠には悪いが、嫌われてくれた方が実にとってはありがたい。

いっそ、彼女が誠を振ってくれればいいのにと思う。

そうしたら、傷心の誠を慰め、『見る目の無い女』と嘲笑ってやるのに。

「それは、みのの経験?だったら余計なお世話。」

誠は実を故意に無視して歩きだす。
…どうやら、実は地雷を踏んでしまったようだ。

「待って!まぁちゃんっ!!」

熱があるのに。

膝が痛いのに、いつもより心なしか誠の歩みは速い。

それだけ機嫌が悪いのだろう。

「まぁちゃん。無理すんなよ。ゆっくり行こう、な?」

速いと言っても、実にとっては普通に歩いただけで追い付ける程度の速さでしかない。

「まぁちゃんって。」

「みの。煩い。」

「まぁちゃんが無視するからだろ?図星刺されたぐらいで怒んなよ!」

口に出してから、しまったと思った。

言い過ぎた。

誠が立ち止まる。

怒られると思った実は、反射的に身をすくませた。
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