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坊っちゃんのヒーロー
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「こっちだ、アミア」
ヴァン少年のお導きで、洞窟風の場所から外に出られたみたい。
本当に……見回しても全く判らないわ。此処は何処なのかしら。見知らぬ場所までどうやって歩いて……夢遊病って健脚になるのかしら。
その割に、足が痛くないようね。
この前街歩きした際には、翌日以降も疲れが取れなかったけれど……。今の足取りは軽いわ。
「俺の家は、……侯爵家の隅の使用人用の建物なんだ」
「まあ、そうなんですのね」
……どうしましょう。
どちらの侯爵家か聞こえ損ねたようだわ。
また、堂々と適当に返事してしまった……! 私の悪い癖なのよ! 肝心な所をスルーしてしまうの!
「ヴァン!」
「あっ、坊っちゃん! あっ! 大丈夫ですか!?」
向こうから、竜巻のような勢いで走ってきた子供がいるわ……。
あら、柵を飛び越え……損ねたみたい。
どこかの誰かを彷彿とする猪突猛進さね……。
いえ、子供ってあんなものなのかしら。
「また大人に苛められたのか!? アレほど! この偉い私に何でもかんでもチクって来いと言ったのに……! この、遠慮しがちいさんめ!」
「そ、それよりもお怪我が」
「痛い!」
……何なのかしら、この子供……。取り敢えず、ヴァン少年が大好きなのは伝わったけれど。
悪い子では無さそうね。擦り傷だらけの粗忽者みたいだけれど。
ポケットに傷薬有ったかしら。
「何だこのヴァンにそぐわんヘラヘラした年増は」
前言撤回。クソガキだったわ。
何だかお祖父様のお名前みたいね。ま、そんなにマイナーなお名前でもないし……。
「グラハム様!」
「何故私と遊ばずにこんな一般令嬢を誘ってるのだ! ヴァンの浮気者!」
変な修羅場をいきなり作り出すし! 何て勝手な子供なの!
「一般令嬢……で、すみませんねえ。私はアミ……」
「アミアという方です。迷子なんです。お助けしないと、ホラ、グラハム様。人助けですよ」
「人助け……」
急に目が輝き出したわね……。
「ええ、か弱い姫を守れるヒーローみたいですよ!」
「ヴァンも一緒なら、やる……!」
半べそで言われても迫力有りませんわね。でも、この子供……何処ぞの侯爵家のお力をお借りしたい所では有るわね。
正直、ヴァン少年に頼りたい所だけれど。
「それで、何処の放浪令嬢だ」
「この方は魔女姫じゃないかと……」
「……ヴァン、魔女姫ってヨーエンなお色気お姉さんなんだぞ。顔はまあ可愛い方だが、ヨーエンじゃない」
「坊っちゃん……」
はて、ヨーエン……って何かしら?
ヨーエン、ようえん、妖艶……じゃ、ない!?
だっ、誰が色気無しですって!
「失礼な!
確かにメリハリボディじゃありませんが、儚くもミステリアス可愛い系って、前に殿方達に噂されたんですから!」
「うわ吃驚した……。アミア、大声出せるんだ」
「ええ、まあ……」
「こ、怖い……全然儚くない……」
この坊っちゃん、お祖父様と同じノリのウザさが有るわね……。
名前が同じだと、人格も似るのかしら。
「……全く! 貴方も高位貴族のご令息ならレディに失礼な物言いは避けてくださいな!」
「家庭教師みたいな事を言い出すな、お前は……」
「アミア、高位貴族なのか?」
「えっ……」
「ヴァン、流石に私にも分かるぞ。
高位貴族の令嬢は無傷で洞窟内にいない。もし拐われたら、普通に殺されて見つかる」
「それもそうですね」
……うう、そうだけれど!
さっきまでフワフワしてたのにこの子達、私よりも現実を知りすぎているわ……。
「だとしたら、何だっていうんですの?」
「いや、本当に魔女かもな……。こんな格好で洞窟にいるなんて……。不思議な力というか人外魔境というか異次元と言うか……」
「じ……人外じゃありません!」
ぼ、坊っちゃんまでそんな事を言い出したわ!
「そうですよ、魔女も人ですよ」
「そりゃそうか。取り敢えず迷い魔女として届けを出そう」
「うう……」
上手く状況を話せない今、抗議も出来やしない……。
保護して貰えるのは助かるけれど……。
さっきから喉が詰まるわ。
家のことも、何だか上手く話せる気がしない。
風邪でも引いたのかしら……。こんな時に……!
ヴァン少年のお導きで、洞窟風の場所から外に出られたみたい。
本当に……見回しても全く判らないわ。此処は何処なのかしら。見知らぬ場所までどうやって歩いて……夢遊病って健脚になるのかしら。
その割に、足が痛くないようね。
この前街歩きした際には、翌日以降も疲れが取れなかったけれど……。今の足取りは軽いわ。
「俺の家は、……侯爵家の隅の使用人用の建物なんだ」
「まあ、そうなんですのね」
……どうしましょう。
どちらの侯爵家か聞こえ損ねたようだわ。
また、堂々と適当に返事してしまった……! 私の悪い癖なのよ! 肝心な所をスルーしてしまうの!
「ヴァン!」
「あっ、坊っちゃん! あっ! 大丈夫ですか!?」
向こうから、竜巻のような勢いで走ってきた子供がいるわ……。
あら、柵を飛び越え……損ねたみたい。
どこかの誰かを彷彿とする猪突猛進さね……。
いえ、子供ってあんなものなのかしら。
「また大人に苛められたのか!? アレほど! この偉い私に何でもかんでもチクって来いと言ったのに……! この、遠慮しがちいさんめ!」
「そ、それよりもお怪我が」
「痛い!」
……何なのかしら、この子供……。取り敢えず、ヴァン少年が大好きなのは伝わったけれど。
悪い子では無さそうね。擦り傷だらけの粗忽者みたいだけれど。
ポケットに傷薬有ったかしら。
「何だこのヴァンにそぐわんヘラヘラした年増は」
前言撤回。クソガキだったわ。
何だかお祖父様のお名前みたいね。ま、そんなにマイナーなお名前でもないし……。
「グラハム様!」
「何故私と遊ばずにこんな一般令嬢を誘ってるのだ! ヴァンの浮気者!」
変な修羅場をいきなり作り出すし! 何て勝手な子供なの!
「一般令嬢……で、すみませんねえ。私はアミ……」
「アミアという方です。迷子なんです。お助けしないと、ホラ、グラハム様。人助けですよ」
「人助け……」
急に目が輝き出したわね……。
「ええ、か弱い姫を守れるヒーローみたいですよ!」
「ヴァンも一緒なら、やる……!」
半べそで言われても迫力有りませんわね。でも、この子供……何処ぞの侯爵家のお力をお借りしたい所では有るわね。
正直、ヴァン少年に頼りたい所だけれど。
「それで、何処の放浪令嬢だ」
「この方は魔女姫じゃないかと……」
「……ヴァン、魔女姫ってヨーエンなお色気お姉さんなんだぞ。顔はまあ可愛い方だが、ヨーエンじゃない」
「坊っちゃん……」
はて、ヨーエン……って何かしら?
ヨーエン、ようえん、妖艶……じゃ、ない!?
だっ、誰が色気無しですって!
「失礼な!
確かにメリハリボディじゃありませんが、儚くもミステリアス可愛い系って、前に殿方達に噂されたんですから!」
「うわ吃驚した……。アミア、大声出せるんだ」
「ええ、まあ……」
「こ、怖い……全然儚くない……」
この坊っちゃん、お祖父様と同じノリのウザさが有るわね……。
名前が同じだと、人格も似るのかしら。
「……全く! 貴方も高位貴族のご令息ならレディに失礼な物言いは避けてくださいな!」
「家庭教師みたいな事を言い出すな、お前は……」
「アミア、高位貴族なのか?」
「えっ……」
「ヴァン、流石に私にも分かるぞ。
高位貴族の令嬢は無傷で洞窟内にいない。もし拐われたら、普通に殺されて見つかる」
「それもそうですね」
……うう、そうだけれど!
さっきまでフワフワしてたのにこの子達、私よりも現実を知りすぎているわ……。
「だとしたら、何だっていうんですの?」
「いや、本当に魔女かもな……。こんな格好で洞窟にいるなんて……。不思議な力というか人外魔境というか異次元と言うか……」
「じ……人外じゃありません!」
ぼ、坊っちゃんまでそんな事を言い出したわ!
「そうですよ、魔女も人ですよ」
「そりゃそうか。取り敢えず迷い魔女として届けを出そう」
「うう……」
上手く状況を話せない今、抗議も出来やしない……。
保護して貰えるのは助かるけれど……。
さっきから喉が詰まるわ。
家のことも、何だか上手く話せる気がしない。
風邪でも引いたのかしら……。こんな時に……!
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