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31.レオンの報告①

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アルバートの話を聞くのはレオンの報告を待ってからにした。
話を聞くにもこちら側に少しでも情報がある方が良いからだ。

各貴族は領地の他に王都内にも邸を保有している。
マホーティス家も保有しているが王都の郊外に位置しており、学園に通うには不便なためアルバート達姉弟は学園保有の寮に入っている。
レオンが戻るまで日が空く事を考えウィルとゼノスにアルバートをフォローするよう指示する。

ーウィルを付けることに不安がない訳ではないがゼノスもいるし大丈夫だろう。

残ったダニーとルドには私と共に政務を片付けるよう指示した。
今後マホーティス領へ行くことも視野に入れての行動だ。
マホーティス領に行ってから2週間後、執務室にレオンの気配がすると声がかかる。

「陛下、レオンハルト只今戻りました。」

「思ったより早かったな。」

「陛下の指示でしたので。」

「そうか…レオンは暫し休め。ルドはウィルとゼノスを呼び戻せ。夕刻に談話室にて報告を聞く。大公と宰相にも同席してもらうからダニーはそれまでに2人に詳しく説明しておくように。」

『御意に。』

それぞれが私の命令で動く。

「さて何が分かったかな。報告が楽しみだ。」

1人になった執務室で歪んだ笑みを浮かべ呟く私はひどく歪に感じた。
7年かけて作った王という名の仮面があの頃よりも冷静に、あの頃よりも冷酷に、きっとあの頃よりも残虐に私に王らしい言動をさせる。
早くフィアを取り戻さなければ私はこの仮面を外せなくなり非道な愚王になるのかもしれない。


数刻後、応接室に皆が集まる。

「大公も宰相も急な呼びかけにも関わらずよく時間を作ってくれた。」

軽く頷き視線を合わせてくる。
その視線の強さに今回のことが緊急性が高いと2人が判断したことが分かる。

「レオンはゆっくり休めたか?」

「はい陛下。ご配慮感謝致します。」

「そうか。早速だが報告を。」

「はい。マホーティス領内は以前から報告があった通り特に異常は見当たりませんでした。領主についても不審な点は見つかりませんでした。ですが、マホーティス侯爵家が貧窮しているのは領主の手腕だけの問題ではないようです。勿論それが1番の原因ですが、だからと言ってセシリア嬢とアルバート殿の2人がデビュタントにも出れない程ではありません。」

「他の問題とは?」

「侯爵夫人と長女のカルディナ嬢です。」

「今の話からするとリズベット夫人とカルディナ嬢に資金が使われていると?」

「どうもその様です。」

「ネイト宰相はリズベット夫人と昔馴染みだったな。宰相から見た夫人はどの様な人物だ?」

「私から見たリズベット夫人は控えめで大人しい性格だった様に思います。ただ…」

「何かあるのか?」
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