【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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42.細い指

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扉が開く。
ぐったりと壁に凭れ掛かり鎖に繋がれた女性が見える。
プラチナピンクの髪が揺れ、女性がこちらの気配に気付いたのが分かる。
うっすらと目を開けると、ぼんやりとこちを見る。
アメジストとアクアマリンの瞳が私を捕らえると、次第に焦点がしっかりと合いその瞳が驚きに大きく見開かれる。

「ジ……ク……」

掠れる声で私を必死に呼び、大きく見開かれた瞳から大粒の涙が溢れた。

「フィア‼︎」

私は駆け寄りそっと触れる。

「フィア……。リズベット夫人‼︎直ぐにフィアの鎖を外せ‼︎」

「私は知らない…私は知らないわ…私は関係ないもの…」

夫人はブツブツとそう言い続けたがレオンが夫人の部屋から鍵を持ってくる。

「どうして…見つけられるわけないのに…私の部屋に勝手に入るなんて‼︎使用人の分際でなんて真似を‼︎」

無意識に発した言葉だろうが今回の事に関わりが深くあると認める発言だった。
突然怒り出した夫人の形相に侯爵は驚く。

「リズ…君はなんて事を…」

「セシー違うわ!私じゃない!私は何も知らない!これは陰謀よ!あの女の陰謀だわ!助けてセシー!」

意味不明な事を喚き散らす夫人を騎士が取り押さえる。
レオンから鍵を受け取りフィアを拘束する鎖を外すと、フィアは自分で立つ事ができず倒れそうになる。
フィアのやせ細った体を優しく受け止める。
ルドとウィルも側に控える。
夫人はまだ喚き散らしていた。
セシル侯爵は理解が追いつかないのか何も言わず立ち尽くしている。

「フィア…フィア…」

何度か呼びかけるとフィアの折れそうな程細い指が力強く私の服をギュッと握った。
「ジ…ク…ジー…ク…」
か細い力ない声で私を一生懸命呼ぶフィアに私は謝ることしか出来ない。

「ごめんフィア。ごめん…迎えにくるのが遅くなって…待たせてごめんフィア。」

「むか…え来て…くれ…た…やく…そくまもっ…てくれた…よ…たす…けてく…れてあり…がと…う…ジーク」

そう言うとニコッと笑うフィア。
痩せほそり傷だらけのフィアは辛い目にあったはずなのに、それでもあの頃と同じ笑顔を私に向けてくれる。
気がつくと私の目から涙が流れていた。
ルドとウィルも泣いていた。
涙を拭い優しくフィアを抱き上げる。

「セシル侯爵。私の婚約者を休ませたい。部屋の用意は出来るな?」

「………」

呆然とする侯爵にルドが声を荒げる。

「セシル侯爵‼︎」

「はい‼︎」

「私の婚約者を休ませたい。部屋の用意は出来るか?」

「ぎょ 御意に。」

石造の廊下をフィアに負担がないようでも出来るだけ早く進む。
フィアは意識が朦朧としているのか意識がはっきりしてない様に見える。
廊下を出ると侯爵の案内で客室にフィアを寝かせると、同行していた医師の診察と治療を受けさせる。
勿論女性医師を連れてきていた。
女性医師は少ないが騎士団に所属していたため今回の同行と相成った。

夫人は王都まで護送するが、今は騎士の監視下で部屋に軟禁している。
侯爵は生気をなくしたように執務室のソファに座り動かないとレオンからの報告で知り、フィアが治療を受けている間に侯爵と話をする事に決めた。
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