【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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90.専属執事改め補佐官②

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問題なく夜会が進む中、ダバルは更に行動を起こした。

「国王に取り入ろうとしているのか?無能な者が考えそうな事だ。……うわぁ~」

わざとらしい声と共に並々に注がれたグラスの中身をダニーにかける。
頭からシャンパンをかぶったため髪からポタポタとしずくが落ちる。
周りにいる令嬢が僅かに悲鳴をあげる。
給仕係が慌ててダニーに駆け寄った。

「大丈夫ですか?」

「何だお前は?そんな奴に構うなよ。先ずは俺だろう?気の利かない奴だ。大体この男が絡んできたんだ。迷惑だよ本当に!」

それでもダニーは気にせず給仕からタオルを受け取ると私の元に来る。

「酒も滴る良い男だなダニー。そのままではなんだから着替えてこい。」

「陛下…この位平気ですよ。」

「私はこの席からは動かないから安心しろ。私の側にはウィルが控えている。それに、そのままで風邪をひいてマリーベル夫人と子供にうつす事になったらどうするつもりだ。ここは大丈夫だから早く着替えてこい。」

「それは大変だ!お心遣い感謝します。」

そう言うとダニーは着替えに下がった。
ダニーが下がったのを見てダバル伯爵子息は薄ら笑いを浮かべ去っていく。
それを確認し大公が私のもとにやって来る。

「ダバル伯爵家の者はマナーを知らない無知と見える。父親も碌でもなかったが息子は更に碌でもないな。」

「大公よ。怒りを鎮めろとは言わないがダニーが何も言わないのだから見守れよ。私も我慢しているのだから。ただ今までの経緯があるからな…王位継承権を持つ者に無知だからと言ってあの言動は許せるものではない。何らかの対策は今後とる。」

「御意に。」

そう言うとダニーが戻るまで私の側に控えていた。

「戻りました陛下。大公もお手間を取らせ申し訳ありません。」

ーこういう時に公私をしっかりと分けるから余計にああいう輩に絡まれるのだろうな。優秀だが不器用なんだよな。だからたまにマリーベル夫人を怒らせてしまう訳で…まぁ夫人もそんなダニーが良いようだが。

「良い。不都合はないか?」

「問題ありません。」

「そうか。」

そう言い大公を見ると何も言わず会釈をし自分の席に戻った。

「ダバル伯爵子息とは因縁でもあるのか?」

「ありませんよ。大体私の事を知らないと思われるのでただの無知で無能の穀潰しかと。」

「何だ思ったよりも腹を立てていたんだな。」

「始めはなんとも思っていませんでしたよ。でも、先程陛下に言われて私に何かあれば2人はどうなるのかと思うと…その沸々としたものが湧き上がりまして。」

ー風邪をうつすかもしれないと言った話か?あれだけで怒りが沸いたと。あれはダニーを着替えさせるための話のつもりだったんだがな。でもまぁ…

「良いのではないか?怒りを全面に出せと言っている訳ではなく、大切な者を守るために自分自身を大切にする。私はそれで良いと思っている。私はフィアのためにそうする。」

「そうですね。」

「それにしても今日は別の目的で参加したのに、とんだ夜会になってしまったな。まぁ本来の目的のため私はそろそろ退席をする頃合いだろうから、もう少しだけ付き合ってくれ。」
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