【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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105.夜会❷

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会場に着くと同じ年齢の筈の皆の華やかな装いに足が竦む。
こういう場が慣れているのだろう、臆することもなく振舞う人達に怯えてしまう。
今日の夜会は私達新入生の歓迎の会になる。
先輩達と会い交流を深める場になる。
入学してから2ヶ月の間に基本的な学園のマナーを学び今日を迎えた。
王太子とその婚約者が通う今代は特に令息・令嬢の気合いが違う。
私はそんな事に興味はなく、私の興味はグロリア嬢を陰ながら見ることだ。
だが彼女の姿はいくら探しても見つからない。

ー体調でも悪くして不参加なのだろうか?だとしたら心配だ。

彼女を心配する私の気持ちとは裏腹に会場は熱気が増していく様だった。
そして、その時はきた…

「ジェイド・ガル・ラディウス王太子殿下、並びにグロリア・リリム・レナトス公爵令嬢のご入場です。」

聞き間違いかと思った。
でも入場してきた2人は間違いなくあの日教室で見た男と彼女だった。

……ポタッ…………

何かが落ちる音がした。
相思相愛だと思っていた2人は政略結婚のために仲良くしていただけなんだと思った。

ーあぁ…あの2人も何れ愛人を作り歪な家庭を作るんだ。その時、彼女が私を選んでくれたら良いのに…

自分の世界の物差しでしか測ることが出来ない位に幼かった。
その世界しか知らなかった。
だから私の中に渦巻いた想いは気付かないうちにドス黒く大きな“シミ”を作る。

ー私にも彼女に触れるチャンスがあるんだ。彼女の白い肌に触れることが許されるんだ。彼女は私に向けてあの美しい…可愛い笑顔を見せてくれるんだ。彼女は…グロリアは私の腕に抱かれるんだ。私を愛するんだ。グロリアが愛しているのは王太子じゃない…私だ。そうだグロリアは“本当は私を愛している“んだ…

その時から私の恋人はグロリアになった。
本当は私を愛しているのに、愛の無い政略結婚をしなければならない。
それはこの国で最高の権力を持っている王族がグロリアの婚約者だから…
だから逆らうことは許されない…
可哀想なグロリア…
可哀想な私達…

その思いに支配された私はその日を境に変わった。
グロリアに相応しい者になるために学業も体術も身につけた。
領地経営のノウハウも身につけた。
全て独学で学んだ。
学校の図書館に通い詰め閉館時間まで過ごした。
図書館にはグロリアもよく来ていた。
暫くするとクラスも一緒の私に彼女は話しかけられる様になった。

「クリストフさんは今日も熱心に勉強しているのね。偉いわね。」

私が頑張る姿を応援してくれるグロリア。
恋人同士なのに不自然に見えないように今は僅かにしか話せない事がもどかしい。
グロリアに寂し思いをさせているかと思うと辛かった。
私達の関係は秘密の関係だったから図書館でも近くに座ることはない。
夕暮れ時彼女を迎えに王太子が来る。
私を訝しげに見てくる。
憎々しい王太子…。
私のグロリアを権力を使って婚約者にした非道の王太子。
グロリアは王太子ジェイドが来ると義務的に笑顔で迎える。

ーその笑顔も…グロリアも私のものなのに…

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