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122.2ヶ月

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「あ~2人はマホーティス家の姉弟で姉のセシリア嬢と弟のアルバート君だよ。」

「あのオフィーリア様…思い出させて申し訳ございません。ですが、母と姉がしたことをこの場で謝罪させて下さい。」

「やめて‼︎」

「やっぱり嫌ですよね…ごめんなさい。」

「違うの。助けてくれたのはお2人なのですよね?私の方がお礼を言いたいのに謝らないで下さい。」

「お礼だなんて…」

「お2人は私の感謝の気持ち受け取っていただけませんの?」

『そんな事ありません』

「それならお2人も気に病まないで下さいね?良いですわね!」

「あっはい。」

ー策士フィアにかかれば2人は簡単だったか…


そこからの日々は怒涛の毎日だった。
フィアの傷はオリヴィア夫人の治療と光の羽やベールの影響か1ヶ月ほどでほぼ完治した。
ただ式のための準備期間が足りないと言われ2ヶ月後に式を挙げるように半月だけ伸ばした。
それでも短いと文句を言われたがこれ以上伸ばす事は得策ではないと判断した。
婚約式の出来事はそれだけ社交界に大きな波紋を残した。
そこため出来るだけ早く王家に問題ない事、この結婚に問題ない事を示さなければならない。
時間をかけてそれを示していく方法もあった。
だけど時間をかけるより結婚して2人で示していく道を私達は選んだんだ。
あの日、勢いだけで結婚を決めたわけではない。
そんな短すぎる準備期間でも今回もたくさんの人達が協力してくれたお陰で準備は間に合った。
特にバンガス侯爵の協力は大きかった。
彼は心配性なのか、両親の時に余程苦労したのだろうか"お世継ぎを~"と言いながら朝から晩まで動き回っていた。
仕事ができる有能な臣下がいる私は恵まれていると思う。


またこの間に王国議会でキラデル侯爵に裁きを行なった。
話を聞くことは出来ない程に精神状態に異常をきたしており本人から詳しいことを聞けなかった。
ただ終始父への恨み言と母への執着を示していた。
彼の処遇は墓守の処刑人に委ねることとなった。
なぜキラデル侯爵はそれほどまでに狂ってしまったのか…私には理解出来なかったがそれはフィアが私の想いに応えてくれたからだろうな。
王国議会が終わってからフィアが言った言葉を今でも時々思い出しては考えてしまう。

「侯爵はサラエン夫人を心のどこかで愛していたと思うの。でもリズベットさんとの間に子供が出来てサラエン夫人を裏切ってしまった。そのサラエン夫人は子供を流産してしまった。子供が産まれたらサラエン夫人と家族になれたかもしれないと侯爵は思っていたのかも。だから侯爵は有りもしないお義母様との子供に執着した。本当に欲しかったのはサラエン夫人との子供だったのに…その事に段々と心のバランスが取れなくなってそして狂ってしまった。そんな風に思ってしまうの。全部私の想像なんだけどね。」

サラエン夫人はいまだ目覚めないままだが、キラデル侯爵が墓守の処刑人の地に移送される日に涙を流していたと聞いた。
もしフィアの言った通りなら…とどうにもならない事を偶に考えてしまう。



そんな事もありながらも今日、私とフィアの結婚式が執り行われる。
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