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夢と現
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赤茶色の髪の女性と今よりも若い父と小さなお義姉様が笑い合っている。
3人が満面の笑みでこちらを…私を見ている。
私がいつも夢見ていた光景?それとも…
幸せな景色が歪み最後は粉々に砕け散った。
幸せな光景が砕け散った後は身体中に痛みが走る。
その痛みで思い出す。
あれが夢で今が現実なんだと。
瞼をうっすらと開けていく。
目の前には抜けるような青い空…
痛みの走る腕をあげて空に触れようと手を伸ばした時だった。
パシッ
腕を誰かに取られる。
意識がハッキリしてきて、やっとここが室内だと理解する。
腕に触れている先を見るとハロルド様と目が合う。
さっき空だと思ったのはハロルド様の髪の色だったようだ。
「目が覚めたんだな。気分はどうだ?痛みは?」
「…全身が…痛いです。」
「頭は?」
「ぼん…やりします。」
「そうか。今、ヘンリー医師を呼ぶから待っていろ。」
私の腕をベッドにそっと置くとハロルド様は部屋を出ていった。
〔次男のハロルド様って本当に性格が悪くて冷徹で血も涙もない非道な魔王っ言われている方なのでしょうか?それにしても何故こんな事になっているのかしら?確か本邸でお父様と話した後で義母とシャーロットに会ったんだったかしら?それで………ダメだわ。何があったか記憶がハッキリしないわ。〕
「お嬢様…お助けできず申し訳ございません。」
声を掛けてくれたのはアリーさんだった。
「アリーさん。私…何があったのかしら?記憶が曖昧で…。」
「それは…」
ガチャ
音のした方を向くとハロルド様が白髪の男性を連れて戻られる。
他にもサミュエル公爵様と上品な女性が立っていた。
「目が覚めたと聞いてね。彼女は私の妻のヴィクトリアだ。それから彼はヘンリー医師だ。」
「ネイオウミお嬢様、診察させて頂いてもいいですかな?」
「…はい。」
「あのヘンリー医師。お嬢様はご記憶が曖昧だと話してまして…。」
「そうですか…。」
そう言うとヘンリー医師は側に置いてある椅子に座り私の目を見て話を続けます。
「お嬢様は記憶が曖昧ということですが、どの様に?」
「どうしてこんな状態なのか分からないのです。侯爵邸の…本邸のお父様の書斎でお話をして、お義母様と義妹と話をして…それから…何があったのか分からないんです。」
「ヘンリー医師お嬢様は大丈夫なのでしょうか?」
「問題ないと思いますよ。ただ頭部への衝撃があったために記憶が混濁した状態なのでしょう。」
「私に何があったのですか?」
「階段から落ちられたのです。」
「そうだったんですね。階段から落ちるだなんて…私の不注意でご迷惑をお掛けし申し訳ありません。」
「お嬢様のせ「アリー!」……。」
ハロルド様がアリーさんの言葉を遮られます。
「ネイオウミ嬢、今は何も気にせず休んだら良い。」
「ありがとうございます。」
「それでは診察をするので旦那様とハロルド坊ちゃんは外に出てください。」
「ネイオウミ嬢…そうだな今日からは我が家で暮らすから…イオと呼ぼうか。イオ、何か必要なものがあればアリーに言いなさい。それじゃあヘンリー頼んだぞ。」
公爵様はそう言うとハロルド様と部屋を出られました。
3人が満面の笑みでこちらを…私を見ている。
私がいつも夢見ていた光景?それとも…
幸せな景色が歪み最後は粉々に砕け散った。
幸せな光景が砕け散った後は身体中に痛みが走る。
その痛みで思い出す。
あれが夢で今が現実なんだと。
瞼をうっすらと開けていく。
目の前には抜けるような青い空…
痛みの走る腕をあげて空に触れようと手を伸ばした時だった。
パシッ
腕を誰かに取られる。
意識がハッキリしてきて、やっとここが室内だと理解する。
腕に触れている先を見るとハロルド様と目が合う。
さっき空だと思ったのはハロルド様の髪の色だったようだ。
「目が覚めたんだな。気分はどうだ?痛みは?」
「…全身が…痛いです。」
「頭は?」
「ぼん…やりします。」
「そうか。今、ヘンリー医師を呼ぶから待っていろ。」
私の腕をベッドにそっと置くとハロルド様は部屋を出ていった。
〔次男のハロルド様って本当に性格が悪くて冷徹で血も涙もない非道な魔王っ言われている方なのでしょうか?それにしても何故こんな事になっているのかしら?確か本邸でお父様と話した後で義母とシャーロットに会ったんだったかしら?それで………ダメだわ。何があったか記憶がハッキリしないわ。〕
「お嬢様…お助けできず申し訳ございません。」
声を掛けてくれたのはアリーさんだった。
「アリーさん。私…何があったのかしら?記憶が曖昧で…。」
「それは…」
ガチャ
音のした方を向くとハロルド様が白髪の男性を連れて戻られる。
他にもサミュエル公爵様と上品な女性が立っていた。
「目が覚めたと聞いてね。彼女は私の妻のヴィクトリアだ。それから彼はヘンリー医師だ。」
「ネイオウミお嬢様、診察させて頂いてもいいですかな?」
「…はい。」
「あのヘンリー医師。お嬢様はご記憶が曖昧だと話してまして…。」
「そうですか…。」
そう言うとヘンリー医師は側に置いてある椅子に座り私の目を見て話を続けます。
「お嬢様は記憶が曖昧ということですが、どの様に?」
「どうしてこんな状態なのか分からないのです。侯爵邸の…本邸のお父様の書斎でお話をして、お義母様と義妹と話をして…それから…何があったのか分からないんです。」
「ヘンリー医師お嬢様は大丈夫なのでしょうか?」
「問題ないと思いますよ。ただ頭部への衝撃があったために記憶が混濁した状態なのでしょう。」
「私に何があったのですか?」
「階段から落ちられたのです。」
「そうだったんですね。階段から落ちるだなんて…私の不注意でご迷惑をお掛けし申し訳ありません。」
「お嬢様のせ「アリー!」……。」
ハロルド様がアリーさんの言葉を遮られます。
「ネイオウミ嬢、今は何も気にせず休んだら良い。」
「ありがとうございます。」
「それでは診察をするので旦那様とハロルド坊ちゃんは外に出てください。」
「ネイオウミ嬢…そうだな今日からは我が家で暮らすから…イオと呼ぼうか。イオ、何か必要なものがあればアリーに言いなさい。それじゃあヘンリー頼んだぞ。」
公爵様はそう言うとハロルド様と部屋を出られました。
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