(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

ネイオウミが見た３人の姿

今日はサミュエル公爵家の御子息が誰も来ない日です。
代わりに今日はヴィクトリア・サミュエル公爵夫人が私の住まわせて頂いてるお部屋に来られました。

「ネイオウミ嬢、休んでいるところお邪魔してごめんなさいね。調子はどうかしら？」

「いえ。私も奥様にお会いしてお礼を言いたかったので嬉しいです。本来なら私から伺うべきなのに…すみません。体調もとても良くなったと思います。ヘンリー先生にはもう1週間は様すを見ようと言われましたが。」

「そう良かったわ。それからそんなに他人行儀にしないで頂戴…と言っても難しいわよね。そうねぇ…先ずは呼び方からよね。ロビンも息子達もイオって呼んでいるんでしょう？私もイオちゃんって呼んでいいかしら？」

「はい。皆様にそう呼んでいただけるの凄く嬉しいです。」

「そう、それは良かったわ。それから私のことはお義母様って呼んで頂戴。」

「えっ？ですがそれは…」

「ダメ？うちには娘がいないから女の子が居るならそう呼んでもらいたいのよ。お願い。今は家の中だけでいいから。外ではそうねぇ…ヴィッキーって呼んで頂戴。」

「分かり…ました。お…お義母様。」

朗らかな雰囲気の奥様にそう言われてしまうと断れず照れながらもお義母様と呼ばせて頂きました。
でも今は？ってどう言う事でしょう…

「イオちゃん、この1週間はどうだった？息子達はイオちゃんに優しくしていたかしら？ほら、あの子達が色々と言われている事は私も知っていたから。全部が本当の事ではなくても間違いでもないから心配だったのよ。本人達に聞いても教えてくれなくて…まぁエドは話してくれたんだけどイオちゃんからも聞きたくて。それで今日は私がお邪魔しちゃったわ。息子達はどう？正直に教えてくれる？」

「優しくして頂いてます。皆様は有名なので社交の場に出たことのない私でも噂は知っていました。正直に言って噂の話だけを信じるなら怖い人達だと思っていたのですが、実際はとても優しい方達でした。」

「そう。エドと話した印象はどう？」

「エド様は、私の事を義妹だと仰って下さいました。私にもお義兄ちゃんと呼ばせて下さって。いつでも頼りにして良いと言ってくださったのが嬉しかったです。」

「そう…それじゃあハルは？」

「ハル様は、落ち着きます。失礼だとは分かっているんですが…何処か似ていると思うというか…本の話をしている時も、側で本を読んでいる時も安心する人です。」

「ハルが…そうなのね。それじゃあダニーは？」

「ダニー様は、私の知らないことを教えて下さいました。私にも弟が居るんですが一緒に遊んだりした事がなくて。だから一緒に遊ぶ事ができて楽しかったです。」

「あら、そうなの。」

「お義母様が聞きたいことには答えられてましたでしょうか？」

「ふふっ。聞けたわよ。それから、そんなに畏まらないで頂戴。もっと楽に気軽に本当の母娘の様に過ごしたいわ。だからイオちゃん、こうやって息子達のことを今後も教えてくれる？」

「お義母様が良ければ…」

「それじゃあイオちゃんの体調が良くなったら今度は庭でお茶会してお話ししましょうね。」

お義母様にそう誘って頂けて、私は嬉しくて何度も頷いていました。