32 / 215
近付く距離
しおりを挟む
それからも2日交代で3人とイオは一緒に過ごしていた。
~ダニー~
「イオ!今日はカードゲームをするぞ。」
「カードゲームですか?」
「何か知っている遊びはあるか?」
「ダニー様…カードゲームは1人で出来るものもあるんですか?」
そうだった…イオはずっと1人だったんだ。
つい忘れてしまっていた。
1人で出来るカードゲームもあるけど…イオが知ってるとは思えないな…
「ソリティアとかならできるけど…知ってる?」
「いいえ、知りません。」
だよな。
「じゃあ今日はダウトとかスピードとかするか?俺がまたルール教えるし。」
「頑張って覚えます。」
気合を入れるイオは楽しそうだ。
「イオは意外と負けず嫌いだよな?」
「そうですか?よく分かりません。でもダニー様がいつも教えてくれる事が面白くて、つい夢中になってしまうんですよね。」
満面の笑みでそんなこと言うなよ。
恥ずかしいだろ。
「俺も…楽しいよ。」
「そうなんですか?嬉しいです。私、何も知らないからダニー様は面白くないんじゃないかと不安だったんです。でも楽しめてるなら良かったです。」
俺もイオと過ごすのは楽しい。
最近は遊んでいた令嬢とも会っていないんだよな。
イオがきた当初は俺の担当じゃない日に遊びに行ってたんだけど…何か面白くなくて最近は行くのをやめていた。
「俺も楽しいから今日のゲームも早く覚えろよ。」
「はい。頑張ります。」
「ふっ!気合い入りすぎだよ。」
……ってか分かってる。
イオといるのが楽しいから今まで遊んでいた令嬢と遊ばなくなったんだ。
でもイオは俺のこと弟くらいにしか思ってないんだろうな…
~ハル~
「おい、新しい本持ってきたぞ。」
「ハル様。ありがとうございます。」
イオは本当に本が好きなんだよな。
「前に持ってきて頂いた本もとっても面白かったです。」
「ん?どれ?」
「勇者様がドラゴンを倒しに行く物語です。」
「あ~あれ。イオが好きそうな話だよな。」
「はい。ドラゴンを倒しに行ったのに本当は心優しいドラゴンだって分かって心通わせるまでの話が好きです。どこか切なくて…でも心が温まるんですよね。ハル様もあのお話が好きなんですよね?」
「あぁ。だからイオに勧めたんだよ。」
「ありがとうございます。」
「なぁイオ、今日は外で本を読まないか?」
いつも室内で過ごしているが、イオの怪我も良くなったから偶には気分転換もいいかなと思った。
「外で本を読んでも良いんですか?何だかピクニックみたいで楽しそうですね。」
「ピクニックみたいになるかは分からないけど偶には良いかと思って。まぁクラレンスに頼んで少しそれっぽくしてみるか。」
「良いんですか?」
「ピクニックしたかったのか?」
「そういうお出かけってした事なくて…」
「外に出るって言ってもウチの庭だぞ?」
「それでも誰かとそういう風に過ごした事がないので楽しみです。」
そうか…イオには家族とそういう風に過ごした思い出もないのか…
「よし。好きな本を用意して外に行くか。アリー、イオの支度をしてくれ。俺はその間にクラレンスにお茶の準備を頼んでくる。」
「かしこまりました。」
「ハル様!ありがとうございます!」
そう言って笑ったイオを見て提案して良かったと思った。
イオには笑っていてほしい。
ただ最近ではイオが弱音を言える存在になりたいなんて思い始めている。
何でこんな事を思うんだろうな……いや、それももう分かっているんだ。
~ダニー~
「イオ!今日はカードゲームをするぞ。」
「カードゲームですか?」
「何か知っている遊びはあるか?」
「ダニー様…カードゲームは1人で出来るものもあるんですか?」
そうだった…イオはずっと1人だったんだ。
つい忘れてしまっていた。
1人で出来るカードゲームもあるけど…イオが知ってるとは思えないな…
「ソリティアとかならできるけど…知ってる?」
「いいえ、知りません。」
だよな。
「じゃあ今日はダウトとかスピードとかするか?俺がまたルール教えるし。」
「頑張って覚えます。」
気合を入れるイオは楽しそうだ。
「イオは意外と負けず嫌いだよな?」
「そうですか?よく分かりません。でもダニー様がいつも教えてくれる事が面白くて、つい夢中になってしまうんですよね。」
満面の笑みでそんなこと言うなよ。
恥ずかしいだろ。
「俺も…楽しいよ。」
「そうなんですか?嬉しいです。私、何も知らないからダニー様は面白くないんじゃないかと不安だったんです。でも楽しめてるなら良かったです。」
俺もイオと過ごすのは楽しい。
最近は遊んでいた令嬢とも会っていないんだよな。
イオがきた当初は俺の担当じゃない日に遊びに行ってたんだけど…何か面白くなくて最近は行くのをやめていた。
「俺も楽しいから今日のゲームも早く覚えろよ。」
「はい。頑張ります。」
「ふっ!気合い入りすぎだよ。」
……ってか分かってる。
イオといるのが楽しいから今まで遊んでいた令嬢と遊ばなくなったんだ。
でもイオは俺のこと弟くらいにしか思ってないんだろうな…
~ハル~
「おい、新しい本持ってきたぞ。」
「ハル様。ありがとうございます。」
イオは本当に本が好きなんだよな。
「前に持ってきて頂いた本もとっても面白かったです。」
「ん?どれ?」
「勇者様がドラゴンを倒しに行く物語です。」
「あ~あれ。イオが好きそうな話だよな。」
「はい。ドラゴンを倒しに行ったのに本当は心優しいドラゴンだって分かって心通わせるまでの話が好きです。どこか切なくて…でも心が温まるんですよね。ハル様もあのお話が好きなんですよね?」
「あぁ。だからイオに勧めたんだよ。」
「ありがとうございます。」
「なぁイオ、今日は外で本を読まないか?」
いつも室内で過ごしているが、イオの怪我も良くなったから偶には気分転換もいいかなと思った。
「外で本を読んでも良いんですか?何だかピクニックみたいで楽しそうですね。」
「ピクニックみたいになるかは分からないけど偶には良いかと思って。まぁクラレンスに頼んで少しそれっぽくしてみるか。」
「良いんですか?」
「ピクニックしたかったのか?」
「そういうお出かけってした事なくて…」
「外に出るって言ってもウチの庭だぞ?」
「それでも誰かとそういう風に過ごした事がないので楽しみです。」
そうか…イオには家族とそういう風に過ごした思い出もないのか…
「よし。好きな本を用意して外に行くか。アリー、イオの支度をしてくれ。俺はその間にクラレンスにお茶の準備を頼んでくる。」
「かしこまりました。」
「ハル様!ありがとうございます!」
そう言って笑ったイオを見て提案して良かったと思った。
イオには笑っていてほしい。
ただ最近ではイオが弱音を言える存在になりたいなんて思い始めている。
何でこんな事を思うんだろうな……いや、それももう分かっているんだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから
えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。
※他サイトに自立も掲載しております
21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる