(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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兄弟③

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「本題ですか?」

今まで話してた話が本題だったのでは?

「あれが本題な訳ないだろうが!」

いつもはそれが本題なんだから分かるわけないじゃないですか!
なんて言ったら話が長くなるんで我慢しましょう。

「それは…すいません。」

「もう少し構ってくれても良いんだが?」

そんな事してたら話が進まないでしょう?

「良いですから本題‼︎」

「ははっ。」

この兄はこうやって政務の鬱憤を私を揶揄うことで晴らしている節があるんですよね…
兄はデスクワークより体を動かす方が好きですからね…

「さて本題だが、ジェダイナ公爵夫妻が夜会を開く。そこにネイオウミを招待するとの情報が入った。」

急に真面目な顔で話だす兄は本当に格好いいんですけどね…これを常時出来ないものなんですかね?
それにしてもジェダイナ公爵夫妻が夜会を開くのか…まだ夜会を開くには時期が早いと思うんですけどね?
しかも社交界に知られていないイオを招待するだと?

「その情報元は?」

「確かな情報筋だよ。」

「私に勿体ぶった話し方しなくて良いですよね?」

「ククッ雰囲気は大事だろう?俺の子飼いの密偵からだ。」

今そんな雰囲気作りいりませんから‼︎

「確実に罠だがあいつらが動いた。この機会にあの狸親父を追い詰めるぞ。」

罠を仕掛けられていようと相手の領分だろうと、兄は好機を逃さないし常に好戦的なんですよね。
こういう事への判断というか嗅覚は鋭いですからね。
ただ、こちらの手持ちのカードがまだ足りないですかね…

「その夜会の招待状は我が家にも来るんですか?」

「いくら奴等でも王弟に招待状を出さないわけにはいかないだろう?」

「ではその夜会までに使えるカードを増やす必要がありますね?」

「あぁ。そのためにも一度イザベル嬢と会っておきたいんだよな。何とかなるか?流石に俺が動くわけにはいかないからな。」

「レナイト侯爵経由で会うのは難しいですよね?イオに事情を話して頼むのは…」

「ダメだ。」

ですよね。

「参りましたね…」

イザベル嬢だけを呼び出す方法がありませんね…
これは流石の兄も困っていますね。

「拐っちまうか!」

シリアスな場面で何を明るく誘拐計画なんか立ててるんですか⁉︎
珍しく本気で考えているかと思えば…騒ぎになったら困るじゃないですか!
さっきまでのクールな兄さんは何処に行ってしまったんですか?

「な!何を言ってるんですか!そんな事ダメに決まってるじゃないですか!」

「手っ取り早くないか?」

手っ取り早い?だから拐うっていうんですか?今、とても大事な話をしているんですよね?

「面倒くさがらず他の案を考えてください!」

「分かった、分かった。1日だけ考えさせてやる。ただ相手に遅れを取るわけにはいかないからな。1日考えて良い案が出なければ拐うからな。」

あ~もう!考えさせてやるって…私に丸投げしましたね?
良い案が出なければ本当に拐う気ですね?

「どうする?」

「………分かりました。考えますよ。でも兄さんも考えてくださいよ!」

「分かってる、分かってる。政務の片手間に考えてやるから!それから明日は登城しなくていいぞ。存分に考えてこい。」

兄さんは絶対に考えませんよね?
まぁ1日時間を頂けるようなので考えてきますよ。
ここで頑張れなければ男が廃りますからね。

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