(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

レナイト家に起きた事① イザベル視点

「お義姉様…おやめ下さい。どうしてお義姉様が謝られるのですか？」

「貴女を助けられなかったから…守れなかったから…」

私は異母妹であるネイオウミが可愛くて仕方なかった。
そのネイオウミを私が守れなかったのは公爵家との確執のせいだった。


私にはお母様と呼べる人が2人いる…
1人目は産んでくれたクリスティーンお母様…私が1歳の時に亡くなったから記憶にはないけど私を産んでくれた大切な人。
2人目は育ててくれたパトリシアお義母様…6年間本当の娘の様に私を育て、ネイオウミを産んでくれた大切な人。
今の書類上の義母である叔母とは11年間と1番長く母娘ではあるが母とは絶対に呼びたくない人。
シャーロットは好きでも嫌いでもない…ただ関わりたくない子だ。
なのに叔母もシャーロットも私達の人生に土足で関わってくる。
それは私にジェダイナ公爵家の家督を継ぐ権利があったからだ…


ジェダイナ公爵家は本来であれば叔父が継ぐはずだった…
年の離れた弟である叔父がいたからお母様とお父様は結婚する事になった…でもそれは先代国王の王命による結婚だったという。
この時のお父様にはパトリシアお義母様という恋人がいたが王命による結婚であったため別れる事になったそうです。
それを聞いた時の私は申し訳ない気持ちになりました。
でもお父様はお母様の事も大切だったと…だから私の事も大切だと仰って下さいました。
お母様が亡くならなければ生涯お母様だけだったと。
王命でお母様と結婚する事になった事情はパトリシアお義母様にあるそうですがお父様も詳しくは知らないそうです。
叔父は私が産まれる少し前にお母様に会いに来た帰りに野盗に襲われ亡くなった。
お父様は懐かしそうに『2人は本当に仲の良い姉弟だったんだよ。』と言っていました。
叔父は結婚前のため跡継ぎがいませんでした。
叔父以外に息子のいなかった公爵家の家督は長女であるクリスティーンお母様が受け継ぐ事になり、いずれお父様と共に公爵家に戻る予定だったそうです。
ですがお母様が事故で亡くなったため現在は私が家督を継ぐ事になっています。
でも祖父母は叔父が亡くなる原因になったのがお母様だと思い込みお母様を嫌い私の事も疎ましく思っていて、逆に元々溺愛し甘やかしていた叔母には今まで散々我儘を許してきました。
叔母はお父様とお母様の結婚式で初めてお父様を見て一目惚れをしたそうです。
お母様が亡くなった後にお父様と結婚しようとしましたが、お父様はパトリシアお義母様と結婚してしまいます。
パトリシアお義母様が亡くなった後で祖父母は誰とも結婚する気のなかったお父様に叔母と結婚するよう強要しました。
お父様も初めは断っていたそうですが、私が公爵家の家督を継げる事を理由に『直ぐに引き取っても良い。でもイザベルは幼いから"事故"や"病気"で万が一の事があるかもしれないがね…』と脅されたそうです。
お父様はその時になってやっと分かったそうなんです。