(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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お茶会① イザベル視点

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「初恋ですか?」

「子供の頃の話よ…それに憧れのようなものなのよ。でもあの花を見る度に私は頑張ろうと思えるの。だから今もガーベラの花は好きなの。」

「そうだったんですね!」

オレンジのガーベラは、あの日…あの雨の日に見た人が置いていった花だった。
あれは初恋と呼べるかも分からない思い出…でもきっと初恋…あの日、私は確かに恋をして…そしてネイオウミを守らなきゃと決意した。

「それに私に今、好きな人がいようと婚約している身だもの…」

初恋の人の事は思い出として薄れ、今は別の人に恋をしている…その人を好きになってもう9年経った…私の好きな人は恐らく私を覚えていないわ…
そう思いチラリとエドガード様を伺う。
さっきも素っ気なかったもの…私ったら自分で婚約者がいる身だと言っておきながら…会えると思っていなかったから舞い上がってしまっているのね…


エドガード様と出会ったのは私が9歳の時…ネイオウミと過ごせなくなって2年が過ぎていた。
その日はお父様についてパーティーに来ていました。
パーティーと言っても夜ではなく昼間に開催されているもので子供の私には退屈だったから庭に出ました。
そこにいたのがエドガード様でした。
その頃のエドガード様は今よりも小さくて少し頼りない男の子でした。
でもその男の子は自分が弱いって事を知っていました。
私は自分は強い負けないって思っていたけど結局ネイオウミを守れないままで情けなくなっていて、でも弱い自分を認められないでいました。
その男の子のおかげで私は私を受け入れられました。
弱くても大切な人を守れる強い人になりたいって…弱くても大切な人を守れる人になりたいって思ったんです。
だから今日までネイオウミを守れず悔しい日があっても折れずにいられました。
エドガード様が私の支えでした。
でもその後の夜会でお見かけしてもエドガード様は私の事を忘れているのか全く興味がないのか目が合うこともありませんでした。

そして私は婚約しました…
シオドア様が叔母と関係ある人のため警戒したお父様と私は婚約者を私に変える事でネイオウミから遠ざけることにしたのです。
でも直ぐに叔母はレイモンド様をネイオウミの婚約者にしてしまい私達のした事は無駄になってしまいました。
まさかシャーロットがネイオウミから婚約者を奪うとは思っていなかったからから、あの時はネイオウミには申し訳ないけど喜ばしい事でした。
その隙にお父様はある方とお話する事が叶ってサミュエル公爵家との縁談話を含めネイオウミを助ける話を進めて頂けたのです。
ネイオウミに事情を話す事もできず…話しても自身を犠牲にしかねないネイオウミ…
今日この一時だけはエドガード様と過ごせる事を喜んでも許されるかしら…
そんな事を思っていた私にエドガード様が思いも寄らない質問をされました。

「それは今、婚約者以外に好きな人がいるという事ですか?初恋の人では…ないですよね?」

「えっ…あっ…その…」

私は何て答えるのが正解かしら?
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