(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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今日のうちには… ハル視点

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イザベル嬢はエドと話した後、レナイト侯爵家に帰っていった。
帰り際のイオは瞳に涙を溜めていたが笑顔で見送っていた。

「お義姉様とまた今日のように過ごす事は出来ますよね?」

そう話すイオには期待が見れた。
もうイオは修道女になるとは言わないかもしれないと…俺も期待してしまう。
修道女にならないとしてもこの邸を出て行くつもりなのだろうとは思うが…
イザベル嬢を見送った後はイオは部屋に戻っていった。
今週はイオとは会わなくても良いと親父は言ったが俺もダニーも会いに行くつもりだ。だから別れ際に明日も会いに行くと伝えると頷いた。
ただ今週はは俺の日にもエドもダニーも会いに来れるから恐らく2人も明日会いに行く事は間違いないと思う。
さて、俺ももう休もうかなと思い部屋に戻ろうとしたところで親父に呼び止められる。

「お前達、何を部屋に戻ろうとしている?私は言ったよな?後で俺と話し合おうと…忘れたわけじゃないよな?」

忘れたわけではないがまさか今日だとは思っていなかった。
でもここで素直にそれを認めるとまた面倒な事になるから分かっていた体をとるが…

「今日とは言ってなかっただろう?」

エド…

「えっ?今日なの?」

ダニーまで…

「ハルはどうなんだ?」

ここで取り繕ってもまずいか…

「いつかは分からなかったから戻ろうと思っていた。それに親父は母さんと話もあるかと思っていたんだけど?」

「もちろんヴィッキーとも話はあるけれど彼女が扇子を折らなければならない程お前達は彼女を怒らせたんだ俺と話すのが先だろう?」

さっきから親父が俺と呼称していることからもかなり怒っているのが分かる。
顔は穏やかなのにこんなに怒っていると分かるんだから親父もなんだかんだ言って狸親父達と渡り合っているだけあるのだろうな…俺は諦めて親父にお伺いを立てる。

「すいませんでした。今からお時間よろしいですか?」

「エドとダニーは?」

「マジでこれから?」

「分かりました…」

2人は親父の事が怖くないのか分からないのか…
エドは前者でダニーは後者かもしれないな…いや逆か?
そんなどうでもいい事を考えながら2人の様子を伺う。

「エドとダニーは?」

うん、親父が激昂する前に態度を改めて貰えないだろうか…無理か…

「お手を煩わせて申し訳ありませんが3人で伺いたいのですが宜しいですか?」

「ハル、お前は賢いがそうやって2人を甘やかすのはいけないよ。それは時に2人の成長の機会を奪う事になるのだから。」

「申し訳ありません。」

これは長丁場になるな…
今までのダニーならこの辺で察していただろうが今は無理だろうな…
俺は今日のうちに自室に戻れない覚悟をそっと固めた。
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