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婚約話 ダニー視点
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ハル兄とイオが出かけたと知り心の内は荒れていた。
早く帰ってこいと思い自室の中や邸の中…果ては庭までうろついた。
こんな思いをするようになるなんて思っていなかった。
自分を守るためとはいえ女性を弄ぶような真似をした事を今更ながらに深く反省する。
俺がした事は俺がされた事を関係ない人間に仕返ししただけなのだと…
イオと出会って好きだと思って…自分の気持ちに気付くのにも時間がかかって…ハル兄がライバルで…これが初恋なら散々だ…でもまだ負けた訳じゃない‼︎
イオの気持ちが誰かに向くまでは俺は諦めない‼︎
そんな事を考えながら邸の中を行ったり来たりしていた。
庭から邸の中に戻り自室へ向かう途中で何やら慌ただしくなる。
母さんとクラレンスが慌ててエントランスへ向かうと親父が入ってきた。
こんな時間にどうしたのだろう?
俺は階段の上からその様子を見ていた。
「ヴィッキー、ジェダイナ公爵家がハルに婚約を申し込んできた。」
ジェダイナ公爵家って…しかもハル兄に婚約話?
ライバルになるハル兄への婚約話は本来なら喜ぶべきだろう。
だってライバルが減るのだから。
でも俺は嫌だと思った。
ジェダイナ公爵家はイオやエド兄の想い人であるイザベル嬢を狙っている家だ。
そんな家からの婚約話なんて良いことない。
「ロビン!どういうこと?相手は?」
そうだ相手は誰なんだ?
イザベル嬢にもシャーロット嬢にも婚約者がいる。
でも、ジェダイナ公爵家に連なる年頃の女性は2人しかいない。
一体誰と?
「シャーロット嬢だ。」
シャーロット嬢?何で?シャーロット嬢はイオの婚約者を奪ったんじゃやかったのか?
「待ってロビン。シャーロット嬢には婚約者がいるはずだわ。」
母さんも同じ事に疑問を持ったらしく俺が聞きたかった事を聞いてくれる。
「ジェダイナ公爵家から送られた封書には婚約話が流れた哀れな孫のためにと書かれていた。」
婚約話が流れた?絶対に嘘だ。
「そんな嘘までついて…エドがイオから聞いたと言って私に確認してきたのだけどシャーロット嬢はイオから婚約者を寝取ったらしいわよ。そんな女を我が家に迎える気はありませんからね。」
寝取った?待て待て…何でイオはそれを知っているんだ?シャーロット嬢は妊娠でもしたのか?まさか情事を見たとか?と、とにかくハル兄がライバルでも大事な兄貴がそんな女の夫になるなんて、ありえない。
「私も同じ考えだ。」
親父も同じ考えで良かった。
「それで?どうするの?もちろん断るわよね?」
そうだろうな。
「そのつもりだが、ハルに確認してからだな。」
「あの子が受けるはずないでしょう?イオが好きなんだから。」
絶対に受けないだろな。
「私も最終的には断ると思っているさ。ただ私なら直ぐに返事はしない。ジェダイナ公爵家を泳がせる。だからハルに確認する。イオへのフォローも必要だからヴィッキー頼めるかい?」
公爵家を泳がせるか…確かに情報は欲しいな。
「そういう事なら…でもハルの気持ちは伝えられないのに、どう言えば…」
「ジェダイナ公爵家の情報を引き出すためだと本当の事を言えば良いさ。」
「そうね。」
「ダニーもそこで聞いているのだろう?どう動くかは任せるが後悔しないようにしろよ。」
「わ、分かってるよ!」
俺は盗み聞きしていた事がバレて恥ずかしかったのと、親父から暗にイオを諦めろと言われたのだと気付き苦しくなったのとで投げ捨てた言葉と共にその場を逃げ出したのだった。
早く帰ってこいと思い自室の中や邸の中…果ては庭までうろついた。
こんな思いをするようになるなんて思っていなかった。
自分を守るためとはいえ女性を弄ぶような真似をした事を今更ながらに深く反省する。
俺がした事は俺がされた事を関係ない人間に仕返ししただけなのだと…
イオと出会って好きだと思って…自分の気持ちに気付くのにも時間がかかって…ハル兄がライバルで…これが初恋なら散々だ…でもまだ負けた訳じゃない‼︎
イオの気持ちが誰かに向くまでは俺は諦めない‼︎
そんな事を考えながら邸の中を行ったり来たりしていた。
庭から邸の中に戻り自室へ向かう途中で何やら慌ただしくなる。
母さんとクラレンスが慌ててエントランスへ向かうと親父が入ってきた。
こんな時間にどうしたのだろう?
俺は階段の上からその様子を見ていた。
「ヴィッキー、ジェダイナ公爵家がハルに婚約を申し込んできた。」
ジェダイナ公爵家って…しかもハル兄に婚約話?
ライバルになるハル兄への婚約話は本来なら喜ぶべきだろう。
だってライバルが減るのだから。
でも俺は嫌だと思った。
ジェダイナ公爵家はイオやエド兄の想い人であるイザベル嬢を狙っている家だ。
そんな家からの婚約話なんて良いことない。
「ロビン!どういうこと?相手は?」
そうだ相手は誰なんだ?
イザベル嬢にもシャーロット嬢にも婚約者がいる。
でも、ジェダイナ公爵家に連なる年頃の女性は2人しかいない。
一体誰と?
「シャーロット嬢だ。」
シャーロット嬢?何で?シャーロット嬢はイオの婚約者を奪ったんじゃやかったのか?
「待ってロビン。シャーロット嬢には婚約者がいるはずだわ。」
母さんも同じ事に疑問を持ったらしく俺が聞きたかった事を聞いてくれる。
「ジェダイナ公爵家から送られた封書には婚約話が流れた哀れな孫のためにと書かれていた。」
婚約話が流れた?絶対に嘘だ。
「そんな嘘までついて…エドがイオから聞いたと言って私に確認してきたのだけどシャーロット嬢はイオから婚約者を寝取ったらしいわよ。そんな女を我が家に迎える気はありませんからね。」
寝取った?待て待て…何でイオはそれを知っているんだ?シャーロット嬢は妊娠でもしたのか?まさか情事を見たとか?と、とにかくハル兄がライバルでも大事な兄貴がそんな女の夫になるなんて、ありえない。
「私も同じ考えだ。」
親父も同じ考えで良かった。
「それで?どうするの?もちろん断るわよね?」
そうだろうな。
「そのつもりだが、ハルに確認してからだな。」
「あの子が受けるはずないでしょう?イオが好きなんだから。」
絶対に受けないだろな。
「私も最終的には断ると思っているさ。ただ私なら直ぐに返事はしない。ジェダイナ公爵家を泳がせる。だからハルに確認する。イオへのフォローも必要だからヴィッキー頼めるかい?」
公爵家を泳がせるか…確かに情報は欲しいな。
「そういう事なら…でもハルの気持ちは伝えられないのに、どう言えば…」
「ジェダイナ公爵家の情報を引き出すためだと本当の事を言えば良いさ。」
「そうね。」
「ダニーもそこで聞いているのだろう?どう動くかは任せるが後悔しないようにしろよ。」
「わ、分かってるよ!」
俺は盗み聞きしていた事がバレて恥ずかしかったのと、親父から暗にイオを諦めろと言われたのだと気付き苦しくなったのとで投げ捨てた言葉と共にその場を逃げ出したのだった。
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