(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

私の可愛いお嬢様

～ネイオウミ視点～

『イオが綺麗で見惚れてた。』

そうハル様が行った言葉を何度も何度も反芻しては恥ずかしさと嬉しさで気持ちがおかしくなりそうになります。
アリーさんの前では平静に…出来ていると思うのですが平静にしていても1人になると気持ちの動揺が抑えられません。
私用に用意していただいたお部屋のベッドの上でゴロゴロと転がっています。
こんなはしたない姿は侍女であるアリーさんであってもお見せできません。
ハル様の言葉を思い出しては恥ずかしさでゴロゴロと転がり、止まっては熱くなった頬を抑えまた思い出してゴロゴロ転がるを繰り返しています。
こんな時にはアリーさんは私を部屋に1人にして下さいます。
そう考えると私が今こうしていることもアリーさんにはお見通しなのかもしれないと思うとソワソワしてしまいます。
そんな事を私は毎日繰り返している今日この頃です。

～アリー視点～

先日、ネイオウミお嬢様は夜会に出るための準備のためドレスなど一式を着てみました。
普段からお可愛らしい方だと…特に最近は本当に仕草や表情が可愛らしくて…なのにその時はお綺麗な女性の姿でした。
しかも、ハロルド様に綺麗だと言われてお顔を真っ赤にしていらっしゃっていたのです。
ネイオウミお嬢様がお可愛らしくお綺麗になられたのは、恐らく“恋“をされていらっしゃるからだと思うのですが…お相手はハロルド・サミュエル様でいらっしゃると思います。
思いますと言いますか…ヴィクトリア奥様が先日、私に話しかけて下さったのですがその言葉が『イオはあんなにわかりやすいのに、なぜうちの男達は気付かないのかしら？どうしてだと思うアリー？』と言われまして…そうなんです。
ネイオウミお嬢様は非常に分かりやすい方なんです。
レナイト家にいた時には我慢をしていらっしゃったのか、ここまで分かりやすくはなかったのですが今ではとても分かりやすくなぜ男性陣は気付かないのか私も気になるところでございます。
唯一ご理解されているのはクラレンス執事長だけではないかと思います。
とにかくネイオウミお嬢様はお可愛らしく、そしてお綺麗で愛らしいと思います。
そのお嬢様を見て綺麗だと言われた日から私は暫くの間、お嬢様には自室でお一人で過ごして頂く時間を設けるようにしています。
何故かですか？
この時間、ネイオウミお嬢様はベッドで転がっているのだと思うのです。
これは私の想像と言いますか妄想なのですがお嬢様がご満足してお部屋から出てきてくださったあとはベッドのシーツが乱れてますので反芻してはベッドの上で恥ずかしさと嬉しさを噛み締めていらっしゃるのだと思うのです。
ですが先ほども言いましたようにこれは私の想像であり妄想です。
ですがネイオウミお嬢様が好きな人を思いそうされているのだとしたら、やはり可愛らしいのです。
そんな事を思いながら今日もお嬢様が満足されてお部屋から出て来られるのを私は待ち遠しく思っています。