(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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見知らぬ場所

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繰り返し何度も同じ夢を見ていた。
サミュエル公爵家に来てからは本当に頻繁に見る様になった。
家族4人、家の庭でお茶会をしているところを…
お父様とお母様が笑いお義姉様も笑っている夢…
もしかしたら本当にあったとのかもしれないと最近では思う様になった。
もしこれが現実だったならなぜ壊れてしまったのだろう?
もしこれが現実だったなら壊したのはお母様?
そんな事をずっと考えていた。
でも最近その答えが分かりそうな気がしている。
もう少しで見える景色がありそうで…でも手が届かない感じでもどかしい。
今日もまた見えそうな景色が見えなくて苦しくなる。
今日は喉がいつもより渇いている気がする。
アリーさんが側にいるならお水をお願いしても良いかしら?
そう思い声を出そうとするも上手く声が出なかった。
うっすらと目を開けるとそこは…見知らぬ部屋だった。
驚きで息が上手く出来なくなる。
それでも意識的に深呼吸をして何とか冷静を保つようにする。
ここ最近の出来事をゆっくりと思い出していく。

ジェダイナ公爵家から夜会の招待状を受けて、エスコートをハル様がしてくれる事になったこと。
公爵様とお父様が夜会用のドレス一式をプレゼントしてくれたこと。
お義母様・エド様・ダニー様が私の教育をしてくれたこと。
ハル様とダンスをしたこと。
ハル様が気の迷いだったとしても綺麗だと仰って下さったこと。
シャーロットからの手紙を読んだこと…

大丈夫覚えているわ…でも…

最近の出来事はきちんと思い出せていることに安堵するも、大事な何かを忘れている気がしてならないことに不安を覚える。

それから……

忘れている何かを必死に思い出そうと頑張る。
最近は穏やかな日々を過ごせていたから、こんな状況になるなんて予想だにもしていなかった。
夜会に出ることは刺激的な日々ではあるのだけど…

そうだわ!夜会に…私、夜会にハル様と出たんだわ!どうして忘れていたのかしら?ものすごく緊張していたのに…それとも緊張していたからかしら?
どちらにせよ私は夜会に出たんだわ!
それじゃあこここは?
見たことのない部屋…どうして私はこんなところにいるのかしら?ハル様とずっと一緒にいたはずなのに…

……………。

そうだわお義姉様‼︎お義姉様と話をするときに私ハル様と少しだけ離れたわ…
お義姉様と話をしていてそれで…だめだわ思い出せない…どうしましょう…どうしたら良いのかしら?
お義姉様は無事かしら?
怖い…私をよく思っていない人がいることは聞いていたのに…いざとなるとこんなに怖くて心細いなんて…助けてハル様…助けて…

私は見知らぬ場所に訳も分からずいることにパニックを起こしていました。
離れなければと思っているハル様に助けを求めている事に私は気づいていませんでした。
それ程までに怖くて気がおかいしくなりそうだったのです。
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