(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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どうしてこうなった? ふざけるなよ!

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レイモンド・アッセルの心の声

どうしてこうなった?
確かにシャーロット・レナイトとは身体の関係を持った。
でもそれは俺とシャーロットしか知らない話のはずだ。
だからシャーロットが俺の子供を妊娠していると言っても、そんな女の言うことは信じられないと俺が言えばそれで解決するはずだったのだ。
それなのに今のこの状況は何だっていうんだ?
俺を見る令嬢達の目が冷たい。
それもこれもハロルド・サミュエルとネイオウミ・レナイトのせいだ。
ネイオウミ・レナイトと婚約しなければシャーロットと出会うこともなかったのに…
確かにシャーロットの身体は魅力的だった。
男なら抗えないだろう。
だから俺は悪くない。
最初に誘ってきたのだってシャーロットだったのだから。
婚約だって…どうしてシャーロットと婚約なんてしたんだよ俺…ネイオウミ・レナイトを伴侶にすれば王家の血が俺の子供に受け継がれていたのに…それにネイオウミ・レナイトなら俺の言いなりにだってできたはずなのに…
だとしたらどこで間違えた?
シャーロットと婚約した時か?
なんでシャーロットも妊娠なんてするんだ…俺の将来をめちゃくちゃにしやがって!
ハロルド・サミュエルも公爵家の令息だからって何で…
ニコラス侯爵…いや貴族籍を剥奪されたんだからニコラスでいいな。
ニコラスだって今まで何の興味も示さず何も言ってこなかったのに、ここにきて何で証言するんだよ!
ふざけるな‼︎


シオドア・ラグデルの心の声

ふざけるなよレイモンド・アッセル。
俺は何としてもイザベル・レナイトと結婚しなければならないんだ。
伯爵家の俺が少しでも家格を上げるには公爵家や侯爵家の令嬢と結婚しなければならないんだ。
それなのにこんな所で揉め事を起こすなんて…見るからにシャーロット・レナイトには手を出すべきではないとなぜ分からないんだ。大人しくネイオウミ嬢と婚約を続けていればよかったものを…
俺にまで飛び火してくれたらどうしてくれるんだ。
ジェダイナ公爵様から当家は秘密裏に人身売買を請け負っているのに、こんなことで俺までサミュエル公爵家に睨まれたらジェダイナ公爵にどんな目に遭わされるか…どうしてこんな事になるんだよ!
ニコラス侯爵に言われるままにイザベル嬢と婚約なんてしなければ良かった…
そうすれば俺はネイオウミ嬢の婚約者のままだったのに…そうすれば伯爵家の俺の子供が王家の血を継いでいたかもしれないのに…でも、それももう良い。
俺は高望みはしない。
こうなったら何が何でもイザベル嬢と結婚する。
イザベル嬢は現時点でレナイト家の当主となったんだ。
早く結婚をしなくてはいけないはず。
そうなれば当然相手は婚約者の俺という事になる。
つまり俺は侯爵家当主になるんだ。
だからレイモンド・アッセル、素直に認めて早く退けよ。
俺の計画の邪魔をするな!
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