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番外編
新しい人間関係② 〜ハロルド〜
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伯父が言った1年という期間が過ぎても、俺はイオと婚約できないでいた。
明らかに伯父の我儘だと思いたい。
この1年で俺も伯父から王位に就くために身につけなければならないことを必要以上に学んできたからだ。
だから、認めてもらえていないとしたならば伯父の我がままだろうと思っていたかった。
が…そうでなかったら?
俺をイオの相手として認めるに値しなかったとしたら?
そう思うと不安だ。
伯父から王位について学ぶにあたり俺には2人の人間が就くことになった。
1人は伯父の側近であるバードラという人だ。
この人は自由人の伯父に振り回される事がない希少な人だ。
第一印象はおっとりとした優しい印象だったのだが、実際はその顔とは裏腹に融通の効かない頑固な人であの伯父ですら話を聞くのだ。
彼は伯父の友人でもある。
だからと言って側近としての一線を超える事のない、本当にこの国にとって希少な人だ。
それから2人目は俺の側近となるガルドラという人物だ。
彼は寡黙で表情の変化が少ないため読めない。
正直言ってどう接するべきか悩んでいる。
先日、そんな2人とゆっくり話をする機会があった。
そこで俺は国王になるために、これからのことを真剣に考えなければならないと突きつけられた。
「ハロルド様、この後少々お時間よろしいですか?」
いつもよりも早めに政務が片付いたその日、バードラから誘われた。
「構いませんよ。」
俺は王宮に来ていてもイオと好きな時に会えるわけでもなかったため了承した。
「ガルドラもついて来なさい。」
「かしこまりました。」
ガルドラにも声をかけたのを見て俺と彼との関係が良好とは言えないから気を使わせてしまったのだろうと思った。
「お疲れのところ申し訳ありません。」
「いえ。」
この優しい話し方に惑わされてはいけない。
気を張り詰めたまま話を聞く。
「今後についてお考え頂きたいことがありましたので、お時間を頂きました。」
やはりガルドラのことか…
「ハロルド様は、ネイオウミ様との間にお世継ぎがお生まれにならなかった場合には第二夫人を娶られますよね?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
頭の芯が妙に冷えて居心地の悪さが倍増した気がした。
そうだ、俺が王位につくとなった場合には世継ぎが必要で…イオとの間に子供ができなかった場合にはそういった話が出るのも当然だった。
だが俺は今の今まで考えてもいなかったのだ。
出るとしてもイオと結婚した後のことだと思っていたからだ。
確かにこの話も今後の事だ…俺はイオ以外を娶る気はない。
が、目の前のこの男にそう言って果たして理解が得られるか?
場合によってはイオに別の男との縁談が持ちあがりかねない…どうする?
「バードラ様、ハロルド様はネイオウミ様以外とはご結婚されません。お世継ぎの事をご心配されるのでしたらバードラ様から国王様にお二人のご婚約を早くお認めいただけるようにお話し下さい。」
意外だった。
ガルドラがそんな風に言うなんて。
「ハロルド様まで驚かないで下さい。私はハロルド様の側近になるべくいるのですから。貴方が嫌だと思うことからお守りするのも私の仕事です。もし仮に、お二人にお世継ぎが産まれなかった場合には、その時はお二人を説得しお考えを変えて頂くのも私の仕事です。ですが今はそのような話は無用かと思いましたので。」
そうか…こういう男なのか。
信頼して共に歩めそうないい男だ。
「仮にそのような未来であっても俺はお前の話を聞き入れないと思うが?」
「それでも、それが私のなすべきことです。」
「バードラ、俺はイオ以外を伴侶に迎えることはない。それでも、この国のために為すべきことはする。」
「…そうですか。この事については常に他のもの達からも言われる事です。覚悟を…真に覚悟をお持ちになって下さい。それからガルドラ、主を差し置いて先に話をするなんて他では許されませんからね。ですが、私からもお二人の婚約を早く認めるようフレッドには言っておきます。」
フレッド…国王である伯父を愛称で呼べる数少ない人物の言葉に心が熱くなる。
「いや、バードラ。その必要はない。俺が伯父ともう一度話をする。これは俺が為すべきことだ。手出しはするな。」
「畏まりました。」
俺はなんて情けない男なのか…覚悟…イオと生きる…国王として生きる…覚悟…それが俺には足りていなかったから伯父は認めてくれなかったのだ。
その事を教えてくれた2人に心から感謝した。
明らかに伯父の我儘だと思いたい。
この1年で俺も伯父から王位に就くために身につけなければならないことを必要以上に学んできたからだ。
だから、認めてもらえていないとしたならば伯父の我がままだろうと思っていたかった。
が…そうでなかったら?
俺をイオの相手として認めるに値しなかったとしたら?
そう思うと不安だ。
伯父から王位について学ぶにあたり俺には2人の人間が就くことになった。
1人は伯父の側近であるバードラという人だ。
この人は自由人の伯父に振り回される事がない希少な人だ。
第一印象はおっとりとした優しい印象だったのだが、実際はその顔とは裏腹に融通の効かない頑固な人であの伯父ですら話を聞くのだ。
彼は伯父の友人でもある。
だからと言って側近としての一線を超える事のない、本当にこの国にとって希少な人だ。
それから2人目は俺の側近となるガルドラという人物だ。
彼は寡黙で表情の変化が少ないため読めない。
正直言ってどう接するべきか悩んでいる。
先日、そんな2人とゆっくり話をする機会があった。
そこで俺は国王になるために、これからのことを真剣に考えなければならないと突きつけられた。
「ハロルド様、この後少々お時間よろしいですか?」
いつもよりも早めに政務が片付いたその日、バードラから誘われた。
「構いませんよ。」
俺は王宮に来ていてもイオと好きな時に会えるわけでもなかったため了承した。
「ガルドラもついて来なさい。」
「かしこまりました。」
ガルドラにも声をかけたのを見て俺と彼との関係が良好とは言えないから気を使わせてしまったのだろうと思った。
「お疲れのところ申し訳ありません。」
「いえ。」
この優しい話し方に惑わされてはいけない。
気を張り詰めたまま話を聞く。
「今後についてお考え頂きたいことがありましたので、お時間を頂きました。」
やはりガルドラのことか…
「ハロルド様は、ネイオウミ様との間にお世継ぎがお生まれにならなかった場合には第二夫人を娶られますよね?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
頭の芯が妙に冷えて居心地の悪さが倍増した気がした。
そうだ、俺が王位につくとなった場合には世継ぎが必要で…イオとの間に子供ができなかった場合にはそういった話が出るのも当然だった。
だが俺は今の今まで考えてもいなかったのだ。
出るとしてもイオと結婚した後のことだと思っていたからだ。
確かにこの話も今後の事だ…俺はイオ以外を娶る気はない。
が、目の前のこの男にそう言って果たして理解が得られるか?
場合によってはイオに別の男との縁談が持ちあがりかねない…どうする?
「バードラ様、ハロルド様はネイオウミ様以外とはご結婚されません。お世継ぎの事をご心配されるのでしたらバードラ様から国王様にお二人のご婚約を早くお認めいただけるようにお話し下さい。」
意外だった。
ガルドラがそんな風に言うなんて。
「ハロルド様まで驚かないで下さい。私はハロルド様の側近になるべくいるのですから。貴方が嫌だと思うことからお守りするのも私の仕事です。もし仮に、お二人にお世継ぎが産まれなかった場合には、その時はお二人を説得しお考えを変えて頂くのも私の仕事です。ですが今はそのような話は無用かと思いましたので。」
そうか…こういう男なのか。
信頼して共に歩めそうないい男だ。
「仮にそのような未来であっても俺はお前の話を聞き入れないと思うが?」
「それでも、それが私のなすべきことです。」
「バードラ、俺はイオ以外を伴侶に迎えることはない。それでも、この国のために為すべきことはする。」
「…そうですか。この事については常に他のもの達からも言われる事です。覚悟を…真に覚悟をお持ちになって下さい。それからガルドラ、主を差し置いて先に話をするなんて他では許されませんからね。ですが、私からもお二人の婚約を早く認めるようフレッドには言っておきます。」
フレッド…国王である伯父を愛称で呼べる数少ない人物の言葉に心が熱くなる。
「いや、バードラ。その必要はない。俺が伯父ともう一度話をする。これは俺が為すべきことだ。手出しはするな。」
「畏まりました。」
俺はなんて情けない男なのか…覚悟…イオと生きる…国王として生きる…覚悟…それが俺には足りていなかったから伯父は認めてくれなかったのだ。
その事を教えてくれた2人に心から感謝した。
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