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番外編
ハロルドの覚悟 国王視点
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分かっている。
イオとハルの事を認めないのは、間違っているという事は分かっている。
だが、国王になるという事は私情を優先することはできないのだ。
良き国を作るなら己の気持ちを抑え込む必要がある。
と、俺が言っても説得力には欠けるだろう。
実際に俺は自由に政務を行なっているからな。
だからと言って己を犠牲にしなかった訳ではない。
ハルは良き国王になるだろう。
あれは真面目だ。
真面目で、一途で、一生懸命な男だから。
イオの事は…ハル程に知らなくてもパトリシアの娘という事もあって幸せになってほしいと願っている。
幸せになるためにはハルが必要だと思う。
2人はお互いを必要としていると見ていて分かるからだ。
そんな2人を認めないのは変だと妻にもロビンにも言われている。
だが…国を背負うとなるとな…
はぁ…俺に世継ぎがいればこんな心配をすることもなかったのだろう。
だが、俺には世継ぎが産まれなかった。
だから、ソフィア以外の妻を娶る事になった。
結局3人の妻を娶ったが世継ぎは産まれなかった。
俺だってソフィア1人を大切にしたかった。
だが、それは叶わなかった。
ソフィアが他の女性を妻に娶ると聞いた時、気丈に振る舞っていたが…俺の前で平気なふりをしていただけだった。
今となってはアリアともカトリーヌとも仲良く過ごしているが、あの時は酷なことを強いたという思いは死ぬまで拭えないだろう。
もし、ハルとイオが同じ状況になったら…2人は大丈夫だろうか?
「はぁ…夜に1人で酒を飲むと碌な事を考えないから駄目だな。」
トントン…
「なんだ?」
「ハロルド様が国王様にお会いになりたいそうです。」
「いつもの部屋に通せ。」
これも習慣になっている。
ハルは定期的にイオとの婚約を認めて欲しいと言いにくる。
恐らく今日もそうなのだろう…
「……だから、伯父さんに協力して頂きたいと思っています。どうですか?」
「どうって…」
確かにハルは俺にイオとの婚約を認めてほしいと言いに来た。
だが、それだけではなかった。
ハルはハルなりの覚悟を持ってきたのだが…想像もしていない内容に久々に動揺してしまった。
「つまりハルは、ハル達に子供が産まれなかった時に、お前に他の女を娶る覚悟がないからこの婚約を認めないと思っている…という事だな?」
「違いますか?」
まぁ、間違ってはいないな。
敢えて肯定をしなくてもハルは俺の気持ちを悟ったようだった。
「それを分かった上で…その提案なのか?」
「そうです。」
これだけは譲らないと目が語っている。
ハルも相当頑固だ。
「つまり、2人に子供が産まれなかった場合でもハルは他の女性を娶る気はないという事なのか?」
「はい。俺はイオ以外を娶りません。」
「それで国王としての責を果たせると?」
「その時は…その時、考えます。エドの子供に頼むかもしれませんし、ダニーの子供に頼むかもしれません。何より俺達に子供が産まれないと決まったわけでもないので…もちろん国を背負うものとしての責務でもあると分かっています。それでも、俺はイオ以外を娶ることはありません…いえ、出来ないんです。国王失格ですね。それでも、この国を護ります。イオと同じように。」
本気か?
そんな簡単な事じゃない。
国王に仕える者達が毎日の様に言い募るんだぞ?
まるで洗脳だ。
もちろん2人に子供が産まれれば…いや、強欲な奴らは産まれても言ってくるだろうな。
あの時の俺と同じ状況になった時、ハルは耐えられるのか?ハルが耐えてもイオは?
あの日のソフィアのように悲しませる事にならないか?
そんな風に考えを巡らせていると、ふとハルと目が合った。
あぁ…あの時の俺とは違うか…俺はそんな覚悟なんてしていなかった。
だから老害どもの戯言に負けてソフィアを傷つけた。
それに、ハル達には俺が…俺達がついている。
2人の幸せを願うなら、とことん守ってやる。
「分かった。もう好きにしろ。だが、国王として手を抜くなよ。」
「ありがとうございます。」
ホッとした顔で笑うハルは、とても幸せそうに見えた。
イオとハルの事を認めないのは、間違っているという事は分かっている。
だが、国王になるという事は私情を優先することはできないのだ。
良き国を作るなら己の気持ちを抑え込む必要がある。
と、俺が言っても説得力には欠けるだろう。
実際に俺は自由に政務を行なっているからな。
だからと言って己を犠牲にしなかった訳ではない。
ハルは良き国王になるだろう。
あれは真面目だ。
真面目で、一途で、一生懸命な男だから。
イオの事は…ハル程に知らなくてもパトリシアの娘という事もあって幸せになってほしいと願っている。
幸せになるためにはハルが必要だと思う。
2人はお互いを必要としていると見ていて分かるからだ。
そんな2人を認めないのは変だと妻にもロビンにも言われている。
だが…国を背負うとなるとな…
はぁ…俺に世継ぎがいればこんな心配をすることもなかったのだろう。
だが、俺には世継ぎが産まれなかった。
だから、ソフィア以外の妻を娶る事になった。
結局3人の妻を娶ったが世継ぎは産まれなかった。
俺だってソフィア1人を大切にしたかった。
だが、それは叶わなかった。
ソフィアが他の女性を妻に娶ると聞いた時、気丈に振る舞っていたが…俺の前で平気なふりをしていただけだった。
今となってはアリアともカトリーヌとも仲良く過ごしているが、あの時は酷なことを強いたという思いは死ぬまで拭えないだろう。
もし、ハルとイオが同じ状況になったら…2人は大丈夫だろうか?
「はぁ…夜に1人で酒を飲むと碌な事を考えないから駄目だな。」
トントン…
「なんだ?」
「ハロルド様が国王様にお会いになりたいそうです。」
「いつもの部屋に通せ。」
これも習慣になっている。
ハルは定期的にイオとの婚約を認めて欲しいと言いにくる。
恐らく今日もそうなのだろう…
「……だから、伯父さんに協力して頂きたいと思っています。どうですか?」
「どうって…」
確かにハルは俺にイオとの婚約を認めてほしいと言いに来た。
だが、それだけではなかった。
ハルはハルなりの覚悟を持ってきたのだが…想像もしていない内容に久々に動揺してしまった。
「つまりハルは、ハル達に子供が産まれなかった時に、お前に他の女を娶る覚悟がないからこの婚約を認めないと思っている…という事だな?」
「違いますか?」
まぁ、間違ってはいないな。
敢えて肯定をしなくてもハルは俺の気持ちを悟ったようだった。
「それを分かった上で…その提案なのか?」
「そうです。」
これだけは譲らないと目が語っている。
ハルも相当頑固だ。
「つまり、2人に子供が産まれなかった場合でもハルは他の女性を娶る気はないという事なのか?」
「はい。俺はイオ以外を娶りません。」
「それで国王としての責を果たせると?」
「その時は…その時、考えます。エドの子供に頼むかもしれませんし、ダニーの子供に頼むかもしれません。何より俺達に子供が産まれないと決まったわけでもないので…もちろん国を背負うものとしての責務でもあると分かっています。それでも、俺はイオ以外を娶ることはありません…いえ、出来ないんです。国王失格ですね。それでも、この国を護ります。イオと同じように。」
本気か?
そんな簡単な事じゃない。
国王に仕える者達が毎日の様に言い募るんだぞ?
まるで洗脳だ。
もちろん2人に子供が産まれれば…いや、強欲な奴らは産まれても言ってくるだろうな。
あの時の俺と同じ状況になった時、ハルは耐えられるのか?ハルが耐えてもイオは?
あの日のソフィアのように悲しませる事にならないか?
そんな風に考えを巡らせていると、ふとハルと目が合った。
あぁ…あの時の俺とは違うか…俺はそんな覚悟なんてしていなかった。
だから老害どもの戯言に負けてソフィアを傷つけた。
それに、ハル達には俺が…俺達がついている。
2人の幸せを願うなら、とことん守ってやる。
「分かった。もう好きにしろ。だが、国王として手を抜くなよ。」
「ありがとうございます。」
ホッとした顔で笑うハルは、とても幸せそうに見えた。
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