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最近頭が重い。肩が上がらない。昔の事も思い出せなくなっている気がする。
趣味が無ければ友達もいない。そんな独身男性が家でやる事なんて決まっているだろう。
若い頃に買った画面がバキバキのiPadを開き「x」と打つと、予測変換で「xvideo」と出る。トップに出てくるおすすめ動画には目もくれず「カテゴリ」の中から「美少女」をタッチ。もし娘がいたらこのくらいの年になっていたであろうこんな若い子たちを使うのは気が引けるが、そんな感情は動き出した右手を止める理由にはならない。寝坊、遅刻常習犯の自分からは考えられない勢いで起き上がる僕のソレ。
「そろそろか」いつからか独り言を恥ずかしく思わなくなった僕は左手を伸ばす。知りもしない花の柄がついたカゴをしばらく漁るが、アレが見つからない。そうだ。洗えば1ヶ月使えるタイプを半年以上使っていた僕は、遂に洗うのも面倒になり前回ゴミ箱に放ってしまったのだ。まだ全然使えたのにな、、、。こんな後悔を前にもした気がする。仕方無くこれまた花柄のティッシュケースから5枚ほどを取り出し、「不完全燃焼」という言葉がぴったりと似合う感情で右手を強く握った。

慣れた手付きでゴミを処理した後はグッズを探すためにネットの海へ。この年になって心が躍る事なんて毎年の紅白を除けば他にない。その指づかいで攻め立てるテクニシャンのように商品欄を親指でスクロールしていると「ラブドール」に目が留まる。
「そろそろ買っちゃうか」今まではずっと渋っていたが、先日退職金が入った僕は少々強気である。バストサイズや髪型はもちろん、目の色までオーダーできるようだが、それはそれで面倒だ。比較的安い既製品の欄には「ミユキ」「ヒバリ」「ユミ」など適当につけられた名前の女の子がなんとも言えない表情で写っている。その中に1人「レイチェル」という名の金髪の子がいた。ひと昔前のアニメキャラクターのような雰囲気だ。目が大きく鼻はスッとしている。あまり自分のタイプとは言えないが、なんだか懐かしい気がした。昔会ったことがある、、、ような?不思議な気持ちに駆られながら身体の詳細を調べる。顔も、胸の大きさもも、足の太さも、お腹の膨らみ具合も、全てが全てミチッとハマった。
「よし」
少し震える指で購入ボタンを押した。
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