血染めの龍騎士と悪役名無し三男の少女漫画的転生物語

鮎焼き

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部屋掃除

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部屋のような扉の前に立ち、カノンさんは扉の横に置いてあった荷物が入った中くらいの籠を持たせた。

見た感じ服が入っているように見えるけど、これを洗濯しろって事?

「カノンさん、これ…」

「衣食住付きだからね、着替えの一つもないと思って…あ、これは仕事着のエプロンだよ、仕事中は必ず身に付けてね」

「ありがとうございます」

「いいよお礼なんて、僕のお金じゃないし」

「え?」

「とにかく!今日は自分の部屋の掃除をしてよ、今日の寝床がないと困るのは自分なんだからね!」

カノンさんは扉を指差してそう言っていた。
この扉の向こう側が俺が住む部屋がある場所なのか。
これから俺が帰ってくる場所だと思うと、ワクワクする。

でも、掃除なんてあっという間に終わるだろうし、お世話になった分仕事で返したい。
初日の仕事も最後の最後で失敗してしまったし。

カノンさんに今日からでも復帰出来る事を伝えた。
しかし、カノンさんは首を横に振ってダメだと言われてしまった。

その顔は明らかになにかがあったかのような顔だった。

「この部屋はただの部屋なんかじゃないんだ」

「……それってどういう」

「いいかい?雑用係は騎士じゃないから騎士が泊まる部屋からは離れているんだ、この部屋の隣は倉庫だし隣には大浴場と医務室が挟まっている」

確かにこの部屋は角部屋だし、騎士の人の部屋からは離れている。
俺は騎士ではないから雑用係専用の部屋があるんだろうな。

カノンさんがゆっくりと俺の部屋になる扉を開いた。

そこで見た光景は、カノンさんが言おうとしていた事を何となく理解出来た。

窓ガラスが破れて床に散乱していて、棚や物が散らばっている。
確かにここを掃除するのは時間が掛かるかもしれない。

どのくらい放置していたのだろうか、蜘蛛の巣も天井からぶら下がっている。

「君の前の雑用係は、最初は優しい人だと思っていたのに人が変わったかのように発狂して大暴れしてから、清々しい顔で辞めて行ったよ」

「……」

「僕は他の仕事があるから頑張ってね、夕飯になったら呼びに来るから…そこにあるのは全部使っていいから」

「あ、ありがと…」

言い終わる前に部屋の扉が閉まり、1人になった。
なにか事件があった場所を見ると、掃除する気が起きなくなる。

でも掃除しないと、とてもじゃないが今夜は眠れない。

服が入った籠を入り口に置いて、袖を捲った。

やる気を出すために深呼吸をして、ゴミ達を見つめる。
埃があまり被っていないから掃除が楽だと思えばいい。

窓がないようなもので、常に換気がされているからな。

とりあえず真ん中にある大きな棚を起こす事から始めよう。

ゆっくりゆっくり起こすと、重いけど何もないから1人でも持ち上げる事は出来る。

棚を壁にくっつけて、床に散らばった本を取り出す。

前に住んでいた人は騎士になりたかったのか、騎士に関する本が沢山ある。
本を軽く叩き、埃を落としてから棚に並べる。

その作業を何度か繰り返して、床に散らばった最後の本を手にした。

天井に付きそうなほどに大きな本棚の半分くらいはあったな。

「ひぃ!!」

床を見て、思わず情けない声が出てしまった。
この場には誰もいないとはいえ、恥ずかしい。

床に赤く書かれた「たすけて」の文字はどういう意味なのか考えるのも恐ろしい。
幽霊の類いは信じてないはずなんだけど、恨みが込められているのは分かる。

部屋の角には、俺が初日に使っていた掃除道具と用具入れが見える。
磨いて拭いて、見えなくしちゃえば怖くない。

ここの前の持ち主は死んではいないと思うが、手を合わせた。

バケツを持って水を汲むために兵士を後にした。
掛け声と共に木刀を振り、国を守るために鍛錬していた。

水いっぱいに汲んで、溢さないように慎重に運ぶ。

「ルイス様」

その名前を聞いて、自分の事じゃないのに足を止めた。

ルイスは鍛錬している騎士を見ていた上司に話があったそうだ。
話は短く、上司は素振りをしている部下達に指示をしてからルイスに付いて行く。

ルイス1人かと思ったが、ルイスの後ろで分からなかったがちらちらとライが見えた。

ジッと後ろ姿を見つめていたら「やっぱりルイス様は美しい人だよね」と聞き覚えがる声がして、驚いてバケツの水をひっくり返して自分に掛かった。

呆れたようなため息を吐かれて、地面に転がったバケツを拾い俺に布を差し出してきた。
それをお礼を言いながら布を受け取り、濡れた髪や体を拭いた。

急にカノンさんが隣で呟くから心臓が止まるかと思った。
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