勘違いって恐ろしい

りりん

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  「お義姉様、酷いですっ」

  グスグスと蜂蜜色の髪を揺らしながら泣く少女を、冷めた目で見ながら溜め息を漏らす少女

  冷めた目で溜め息を吐いた少女は、ユリアーナ・ファシュエル。王家の血を引くファシュエル公爵家の一人娘である
  プラチナブロンドの艶やかな髪に、涼やかな目元サファイアのような澄んだブルーの瞳、透き通るような白い肌をした社交界の花とも言われる美しい少女である
  
  そして、グスグスと泣いている蜂蜜色の髪をした少女はアンナ・リスタス。小柄で華奢な体にふわふわの蜂蜜色の髪、ブラウンの大きな瞳に桃色の唇の可愛らしい小動物のような庇護欲をそそる少女である
  
  先に言っておくが、他人である

  アンナの母親アシュリーは、元は男爵家の令嬢であるが、男爵家はアシュリーの兄が継ぎ、アシュリーは別の男爵家に嫁に行った。それがリスタス男爵である
  そのリスタス男爵が2年前に逝去してしまった
  リスタス男爵は1代男爵であった為に、アシュリーもアンナも男爵位を継承出来ず、実家にも戻れず、録な後ろ楯もない母娘に同情した、同じ派閥の貴族の紹介で、ファシュエル公爵家に使用人として入る事になったのである
  使用人ではあるが、元男爵家の未亡人と娘という事で、それなりに優遇してアンナは行儀見習いとしてユリアーナに付ける事になった。歳もユリアーナより1つ下な為に学園にも通わせる事にしたのである

  ユリアーナの父、ルーカス・ファシュエル公爵は現国王の異母弟で、若々しい美丈夫である
  5年前にユリアーナの母である妻を亡くし、以後は再婚を拒み独身を貫いている

  だからなのか、アンナの母アシュリーは公爵家に入った時から何か期待しているようでもあり、アンナに至っては完全に勘違いをして、ユリアーナをお義姉様と呼ぶのだ
  ユリアーナが、義姉ではない、と言っても耳を貸さない、都合良く解釈して、虐げられていると吹聴する始末である

  そう、アンナが学園に入学してきてからというもの、公爵家で虐められている、使用人扱いされている、とプルプルグスグスしながら周囲に言いふらしているのだ
  庇護欲をそそる可愛らしい容姿を武器に、様々な男子生徒、特に高位の見目の良い令息に粉を掛けては、甘い声でベタベタと、婚約者のいる令息でも関係なく寄っていく
  公爵令嬢なのにもかかわらず無邪気で可愛らしく、ユリアーナに虐められながらも健気に耐える可憐な少女だと、高位貴族の令息達が籠絡されていった
  その中には、ユリアーナの婚約者である侯爵令息のアイザック・キンバリーも含まれていた

  
  

  
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