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「お黙りになって」
ユリアーナの凛とした声が響き渡る
大ホールに集まった全員が息を飲み静まり返る
「キンバリー様は、公爵家を何だと思っているのかしら。名乗れば誰でも公爵になれるとでも?」
「そんなわけないだろ」
アイザックが憮然と答える
「そうではないと解っているのならば、なぜもっと思い至らないのかしら」
「偉そうに何を言っているんだ」
溜め息を堪えたユリアーナは、ゆっくりと噛み砕くように
「わたくしの父は、現国王陛下の弟、わたくしはその父の1人娘。それは分かりますわね?」
「だから何だ」
「では、仮に、の話しをしましょう。あくまで、仮に、の話しですわ」
イライラした様子のアイザックは
「いちいち勿体ぶるな、さっさと話せ」
「仮に、アンナを公爵家が養女に迎えたとしても、アンナは公爵家を継ぐ事は絶対にありませんの。何故ならば、アンナは、アシュリー夫人とリスタス男爵の娘。公爵家の養女になったところで、父ファシュエル公爵の血も、王家の血も、一滴も、流れていないのですわ」
そこまで言うと、流石に気付いたらしいアンナを慰めていた令息達の表情が抜け落ちたが、アイザックはまだ憮然としたまま
「だからそれが何なんだ」
ユリアーナはとうとう溜め息を吐いて、同じ言葉を繰り返した
「アンナは、アシュリー夫人とリスタス男爵の娘であって、わたくしの父の血は一滴も、引き継いでいないのです。アンナとキンバリー様が結婚しても、公爵家を継ぐ事は、絶対にありませんの。父の血を引く、正統な継承者であるわたくしを、公爵家から追い出すなんて、あるわけがないでしょう」
アイザックはぽかんとした顔をして
「で、でも俺は、公爵家を継ぐ者だと……」
「それは、わたくしと、婚姻を結ぶ事、が絶対の条件ですわね」
「でも、アンナは、健気にお前の虐めに耐えていたんだ。あんなに可憐なアンナが」
この男は、もうまともに考える事が出来ないんだろうか、いつからこんな愚か者に成り下がったのかと頭が痛くなる
「アンナを虐めた事実はありませんが、健気に虐めに耐える事も、可憐な事も、公爵家を継承する条件にはありません」
「アンナを使用人と呼んで、使用人扱いしただろうが」
「事実、使用人でございますから」
「なっ……」
「先程の話しは、あくまで仮に、と申しました。事実は、リスタス男爵がお亡くなりになって、爵位を継承出来なかったアンナ母娘が路頭に迷う事を、同情した伯爵様の口利きで、公爵家で使用人として引き取ったのでございます」
アイザックは驚愕の表情を浮かべて口をパクパクと喘がせた
「キンバリー様には、初めにそのように説明もいたしましたし、その後も何度も申しております」
「し、知らなかった……んだ」
「知らなかったでは、道理は通りませんわね。わたくしも説明しましたし、他の方も事実は解っておりましたわ。貴族はおろか、平民の生徒でも知っている事実ですもの」
周囲にいる者達、アンナとアイザックとアンナに籠絡された令息達以外の者は、全員頷いていた
「違うわっ、お母様が言ったものっ、公爵家に迎えられたって、今日からこのお屋敷に住むのよってっ」
突然アンナがユリアーナを睨みつけながら泣き叫んだ
ユリアーナの凛とした声が響き渡る
大ホールに集まった全員が息を飲み静まり返る
「キンバリー様は、公爵家を何だと思っているのかしら。名乗れば誰でも公爵になれるとでも?」
「そんなわけないだろ」
アイザックが憮然と答える
「そうではないと解っているのならば、なぜもっと思い至らないのかしら」
「偉そうに何を言っているんだ」
溜め息を堪えたユリアーナは、ゆっくりと噛み砕くように
「わたくしの父は、現国王陛下の弟、わたくしはその父の1人娘。それは分かりますわね?」
「だから何だ」
「では、仮に、の話しをしましょう。あくまで、仮に、の話しですわ」
イライラした様子のアイザックは
「いちいち勿体ぶるな、さっさと話せ」
「仮に、アンナを公爵家が養女に迎えたとしても、アンナは公爵家を継ぐ事は絶対にありませんの。何故ならば、アンナは、アシュリー夫人とリスタス男爵の娘。公爵家の養女になったところで、父ファシュエル公爵の血も、王家の血も、一滴も、流れていないのですわ」
そこまで言うと、流石に気付いたらしいアンナを慰めていた令息達の表情が抜け落ちたが、アイザックはまだ憮然としたまま
「だからそれが何なんだ」
ユリアーナはとうとう溜め息を吐いて、同じ言葉を繰り返した
「アンナは、アシュリー夫人とリスタス男爵の娘であって、わたくしの父の血は一滴も、引き継いでいないのです。アンナとキンバリー様が結婚しても、公爵家を継ぐ事は、絶対にありませんの。父の血を引く、正統な継承者であるわたくしを、公爵家から追い出すなんて、あるわけがないでしょう」
アイザックはぽかんとした顔をして
「で、でも俺は、公爵家を継ぐ者だと……」
「それは、わたくしと、婚姻を結ぶ事、が絶対の条件ですわね」
「でも、アンナは、健気にお前の虐めに耐えていたんだ。あんなに可憐なアンナが」
この男は、もうまともに考える事が出来ないんだろうか、いつからこんな愚か者に成り下がったのかと頭が痛くなる
「アンナを虐めた事実はありませんが、健気に虐めに耐える事も、可憐な事も、公爵家を継承する条件にはありません」
「アンナを使用人と呼んで、使用人扱いしただろうが」
「事実、使用人でございますから」
「なっ……」
「先程の話しは、あくまで仮に、と申しました。事実は、リスタス男爵がお亡くなりになって、爵位を継承出来なかったアンナ母娘が路頭に迷う事を、同情した伯爵様の口利きで、公爵家で使用人として引き取ったのでございます」
アイザックは驚愕の表情を浮かべて口をパクパクと喘がせた
「キンバリー様には、初めにそのように説明もいたしましたし、その後も何度も申しております」
「し、知らなかった……んだ」
「知らなかったでは、道理は通りませんわね。わたくしも説明しましたし、他の方も事実は解っておりましたわ。貴族はおろか、平民の生徒でも知っている事実ですもの」
周囲にいる者達、アンナとアイザックとアンナに籠絡された令息達以外の者は、全員頷いていた
「違うわっ、お母様が言ったものっ、公爵家に迎えられたって、今日からこのお屋敷に住むのよってっ」
突然アンナがユリアーナを睨みつけながら泣き叫んだ
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