歌うたいの約束

マイリトルジョー

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はじまり-出会い-

Aメロ-その1-

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 キュイーンという甲高い音とドラムの音と共に音楽が鳴り止んだ。
 みんな一様に顔を見合せ、安堵や達成感と理由は違えど、笑顔になる。僕も同様にほっとしてから、ギターを下ろした。

 僕らは、地元の大学の軽音サークルで、練習場所替わりの教室にいた。
 新入生のバンドは、邪魔にならないように教室を使っていて、先輩たちがアトリエ―本来部室として使っている美術サークルは、基本的に他の場所で作業していて、普段は軽音サークルが使わせてもらっていた―で、他のバンドと日替わりで練習していた。

 僕たちのバンドは男女混成の4人組バンドで、僕―木村圭介―はギターボーカルを担当していた。あとリードギターの船山瑛太、ベースの渡辺愛、ドラムの山口優という構成で、皆、同じ学科の同級生だった。

 同じ学年には他にも5組バンドがいるが、個人的に仲良くしている人以外は、定期的なライブやその準備以外で会うことは無い。更に先輩たちのバンドも含めたら全部で20組近くにもなる。
 だから、バンドとして把握していても、メンバーの名前や顔までは咄嗟に分からなかったりする。

 僕たちは次のライブに向けて準備をすすめていた。近々だと秋の文化祭のライブで1年生は1バンド当たりの持ち時間は大体2~3曲分くらいだ。
 経験者は瑛太だけで、自分と優は準経験者―弾いたことはあるけどバンド経験は無い―で、完全な初心者は愛だ。
 曲は初心者向けとされる曲からチョイスし、ボーカルは自分と瑛太が曲ごとに分担することになっていた。

 現在は1曲はひとまず形になってきていたので、2曲目に取り掛かるところだった。
 「形になると楽しいね」
 優がニコニコしながら言う。バンド経験がないのが嘘のように、ドラムに引っ張っていもらっている感覚があったが、
 「楽しいのはいいけど、ドラム走りすぎな」
 と瑛太が冷静に指摘する。
 優は、はーい、と誤魔化すように笑った。
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