歌うたいの約束

マイリトルジョー

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はじまり-出会い-

サビ

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 演奏を終えた神園さんたちが客席に戻ってくる。
 席は左側を先頭に、次に演奏するバンドのメンバーが並んで座っている。前のバンドが終わると、先頭から移動していき、そこへ次のバンドのメンバーがズレていく。そして演奏を終えたバンドが、後ろから詰めて座っていく。
 僕らがズレて空いた席に、神園さんたちが座った。
 「お疲れ様です」
 僕が声をかけると、
 「ありがとうございます」
 と腰をかける。
 「あ、えるちゃんお疲れ~」
 僕を挟んで優が神園さんに声をかけた。
 「ありがとう~優ちゃんこそおつかれ~」
 2人はそのまま、楽しそうに会話を続けている。
 「場所変わろうか?」
 気を利かせたつもりで提案した。
 「ごめんなさい、大丈夫ですよ」
 「美女に挟まれてんだから、むしろ感謝して?」
 「自分で言うかね」
 結局、そんなやり取りをしている間に次のバンドの演奏が始まった。

 全バンドの演奏が終わると、早速今度は片付けにうつる。担当は準備の時と同じだった。
 「なんか、さっき準備したばっかりなのに、あっという間ですね」
 「確かに、なんだか不思議ですね」
 準備の時とは変わり、軽くだけど雑談が続いた。優と話したこともあってか、少しだけど距離が縮まった感じもする。
 片付けも"あっという間"に終わり、ついさっきまで演奏していたのが、夢だったかのような感覚になる。

 「あの」
 黙って、元通りに戻ったアトリエを眺めていると、神園さんがやってくる。
 「さっき聞きそびれたんですけど」
 勿体ぶるものだから、変に緊張してしまう。
 「スキマスイッチお好きなんですか?」
 「スキマスイッチ?」
 想像とは全く違う角度からの質問で拍子抜けしてしまう。
 確かに、僕がボーカルをしていたのはスキマスイッチの曲だったけれど。
 「はい、私も好きなので。歌っていたから好きなのかなぁ、と」
 照れくさいのか、正面を向いたままで聞かれる。
 「そうなんですね」
 僕も照れくさくて上手く言葉が出てこない。
 「僕も好きですよ」
 「ほんとですか!」
 一瞬で、パッと明るい表情へ変わる。
 「意外と周りにいないから!ぜひ今度色々話しましょう」
 しかし、誰かに呼ばれたのか、ごめんなさい、とどこかへ行ってしまった。
 嵐のようだったな…。

 その時、後ろでガタッ、と音がした。
 「あ、ごめん」
 あまりにも不自然すぎる。ずっと見てたんだろうな。
 周りもみんなが動いてるから、紛れて全然気づかなかった。
 「なんの話ししてたの?」
 「別に?」
 言ってから、変に誤魔化さない方が良かったな、と思った。
 「連絡先交換したの?」
 「してないけど」
 すると、なんで!と怒られる。
 「絶対そういう流れじゃん!」
 どういう流れだよ。
 「教えてあげよっか?」
 「いや、いいよ。本当に欲しいと思ったら自分で聞くから」
 本当は聞く勇気がないだけなのだが。

 「ふーん。まぁ、何かあったらなんでも言ってね、お姉さんが助けてあげるから」
 結局、優にはばれているようで、最後までからかわれたままの僕なのであった…。 
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