〘完〙婚約破棄してメイドになった愛され子爵令嬢が、溺愛される・・・まで

hanakuro

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Scene3 スカウトされちゃいました

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「あの・・申し訳ありませんが、離していただけませんか?屋敷へ帰らないと両親が心配します」

「大丈夫だよ。君の荷物は子爵家へ届けさせるし、その時に少し遅くなると言っておくから」

「いえ、そういうことではなくてですね・・・知らない男性とこうして歩いているとい・・」

「まあまあ、いいから大人しくついておいで」

シャーロットの言葉を遮り、有無を言わさぬ強い口調に、シャーロットは思わず口を閉ざした。

いったいどこへ行くのか。何故こんなことをするのか。シャーロットは疑問だらけだったが、もっと不思議なのは、シャーロットが半ば引きずられるように歩く様子を、街の人たちが頭を深々と下げ見送ることだ。誰も助けようとしないのだ。その様子から街の皆がこの男のことを知っているのだと察する。

(う~ん、誰かしら・・・この身なりだし、貴族は間違いないわね。私が子爵家の人間だって知ってるみたいだし・・・あっ!そういえば馬車の中でお父様が大事なお客様と会うって言ってたわ。きっとその人ね)

そんなことを考えているうちに、着いた先はこの街一番の高級宿だった。宿に入ると、宿の主が慌てた様子で奥から出てくる。

「これはこれは、シャーロット様もご一緒でしたか。どうぞごゆっくりお過ごしください」

シャーロットは、主の“ごゆっくりお過ごしください”というセリフに戸惑いながらも「あっ、こんばんは」と挨拶をする。そしてそんな彼女を連れ、男は主を手で制し、階段を上がっていった。

(えっと~、これは一体どういうことかしら・・・?お父様に用があるんじゃないの~?)

廊下の一番奥の部屋。他の部屋より豪華な扉は、宿一番の部屋だ。中に入ると、豪奢な家具が置かれており、大きなベッドには天蓋がついている。

ここでようやく男はシャーロットの腕を離し、ソファーに腰掛け、自由になった彼女は、棒立ちしていた。そしてその頭の中は、混乱している。

(もしかしてお父様が、なにか失礼なことをしたのかしら・・だから娘の私に文句を言うとか?“親の不手際は、その娘も同罪だ~”とか・・・・人目のないところを選んだのは、子爵の娘である私への配慮かも・・
あっ・・もしくは身体で賠償しろとか?・・・・ひぇぇぇ・・こんな棒っきれの身体では決して満足なさらないと思うのだけど・・だって男の人は、メリハリボディがお好きなんでしょう?)

シャーロットの思考がそう帰結すると、彼女の口は開いていた。

「あの!父が何か失礼をしたのでしたら、謝罪します。ですが、見ての通り私の身体では、決してお望みのような満足感は得られないと思います。ですので、それだけはお互いのためにもお許し下さい!
その代わり結構器用なので、大きな男の方がするような力仕事は難しいですが、それ以外でしたら結構お役に立てます!領民の手伝いも苦になりませんので、そちら方面でしたら、ご満足いただけるかと・・・ですから、父がおかけしたご迷惑はどうか水に流してください。お願いします!」

シャーロットは一気に捲し立てると、勢いよく頭を下げた。それはもう、見事な直角90度だ。

そしてしばらく部屋に沈黙が流れると、不意にシャーロットの頭上に男の満足そうな声が降ってきた。

「へえ、それはそれは・・君の提案もなかなか面白い」

その言葉に少し安堵したシャーロットが顔を上げると、男はにこやかな笑顔を浮かべていた。そして、つられて微笑んだシャーロット。

「ありがとうございます。それでは、私の奉公でお怒りを鎮めていただいたということでよろしいんですね」

そう礼を言うと、男は浮かべた笑顔から突然声を上げて笑い出した。

「くっくっ・・ははははっ!君は本当に面白い子だね」

突然の大笑いに、ただ首を傾げるシャーロットが「そ、そうでしょうか?」と口にすると、男は目に涙を浮かべて言う。

「ああ、そうだよ。はははっ・・ああ、そうそう・・君のここでの様子は、見せてもらったよ。話に聞いていた以上だ。合格だ」

「えっ・・えっ?私の様子・・合格?何の話でしょうか?父が気分を害するような失礼をしたわけでは・・」

シャーロットのセリフの最後を男が「ないね」と繋ぐ。そして、そのまま男は言葉を続けた。

「コールマン子爵家シャーロット嬢!イグリデュール王国第二王子セリウスの名において、城への居住を命じる!」
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