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Scene6 はぁ〜、さすが王城です
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立ち上がったシャーロットの腕をルーカスが掴んだのだ。彼の行動に驚いたのは、シャーロットだけではない。皆が固まる。そして、彼の口から出てきたのは、弱々しい「セリウス殿下とはいつ・・・?」という問いかけだった。
キョトンとするシャーロットのかわりに即座にレジーナが答えると同時に、娘を掴むルーカスの腕を払い除けた。
「先日、子爵領に視察に訪れた際に、殿下直々に娘を所望されたんですよ。何でも以前から娘の評判を聞いていらしたようで・・娘は婚約を清算する意志を固めておりましたので、それはもう乗り気で・・そうよね?シャーロット」
「はい、お母様!殿下直々のメイドへのお誘い、断る理由などございません」
「メイド・・所望・・・」とルーカスが呆然と呟く。そんな彼にシャーロットは、「ええ!メイドです」とニコッと笑いかけた。
レジーナの話とシャーロットの話の微妙なズレに誰も何も言わぬまま、シャーロットたちは伯爵家を後にした。
レジーナの満足そうな笑みと、「ルーカス様、シーラ様とお元気で」というシャーロットの言葉を残して・・・
◇◇◇◇◇
「わぁっ!!すごい!」
そう感嘆の声を上げるシャーロット。
「さすが王城ですねぇ、お嬢様!」
同じように感心するのは、ローラだ。ローラは、子爵家のメイドである。二人は、ちょうど王城に来たところだ。シャーロットは、一人で来るつもりだったが、表向きローラも城のメイドになりたいという理由で同行させた。本当はシャーロットの世話係だ。
衛兵に案内され廊下を奥へと進むと、一人の男が現れた。案内する衛兵が深々と頭を下げるので、国のお偉いさんだろう。男は、二人の前まで来て足を止めると口を開いた。
「ようこそおいで下さいました。私は、この国の宰相をしております、アベル・ロナールと申します」
そう言って、名乗った男はまだ若いが、しっかりした物腰だ。しかし鼻眼鏡の奥の瞳が鋭いことにシャーロットは気付く。
「私は、シャーロット・コールマンと申します。そしてこちらはローラです。今日からこちらでお世話になります。よろしくお願いします」
シャーロットたちは、軽く膝を折って挨拶をすると、アベルは微笑み「話は聞いておりますよ」と言った。しかしその笑みと穏やかな口調とは裏腹に、自分を値踏みするような眼差しにシャーロットは違和感を覚える。
(これはメイドとしての資質を判断されているのかしら・・とにかく失礼のないようにしないとね)
「では、まずは陛下への謁見をして頂きましょうか。準備が出来次第、お呼び致しますので、それまで部屋にて待機していてください」
そう言われて、シャーロットたちが通されたのは客間だった。ソファやテーブルなどの調度品は上質なものばかりで、部屋の隅には大きな暖炉もある。
シャーロットは座らずに窓辺に立つと、そこには色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園が広がっていた。
(わぁぁぁ!綺麗・・さすが王城ね~)
シャーロットが心の中で歓喜の声を上げていると、ソファーに座るローラが緊張でガチガチになっている姿が目に入る。さっきまでは余裕の様子だった彼女がなぜ緊張しているのか尋ねると、どうやら予想外の国王との謁見が怖いらしい。
確かに一国の王に会うのだから緊張する気持ちはよく分かる。シャーロット自身もまさか謁見が待っているとは、思っていなかった。
「謁見って、さすが王城。厳しいのね」
「はいお嬢様・・もしかしたら面談のようなものかもしれませんよ。セリウス殿下の命令ですが、そのお父様の国王が不適格の烙印を押せば、このまま送り返されるかもしれません」
「送り返されるのは、困るわねぇ。ルーカス様にもメイドの道に邁進します!って宣言しちゃったし・・」
「お嬢様・・気になるのはそこですか?・・・・お嬢様って、おっとりしてるのに意外と肝が座ってますよね」
ローラの言葉にシャーロットは「そうかしら?」と首をかしげていると、扉がノックされる。入ってきたのは、先ほど会ったアベルだった。アベルは一礼すると、顔を上げて言った。
「では、参りましょうか」
◇◇◇◇◇
「ほんっとうに緊張しました・・」
そう疲れた様子で話すのは、ローラだ。謁見を終えた二人は、客間に戻っていた。
「フフッ・・そうね。ローラったら、あそこで倒れちゃうかと思ったわ」
「もう!笑い事ではありませんよ。謁見はコリゴリです」
肩をすくめるローラに、シャーロットは「あらっ、あれは名誉なことなのよ」と返すと、ローラは首を横に振り「名誉?・・一介のメイドには不要なものですよ」と言った。
「それもそうよね。まあ・・無事に謁見も終えたし、もう陛下にああやってお会いすることはないわよ。でもここは王城だもの。すれ違うことはあるかもしれないわよ」
シャーロットの言葉にローラは身体をブルッと震わせ「そうなったら、気配を消して、こっそり隠れます」と言った。
そんなローラにシャーロットは苦笑すると、扉がノックされセリウスが笑顔を浮かべ入ってきた。
キョトンとするシャーロットのかわりに即座にレジーナが答えると同時に、娘を掴むルーカスの腕を払い除けた。
「先日、子爵領に視察に訪れた際に、殿下直々に娘を所望されたんですよ。何でも以前から娘の評判を聞いていらしたようで・・娘は婚約を清算する意志を固めておりましたので、それはもう乗り気で・・そうよね?シャーロット」
「はい、お母様!殿下直々のメイドへのお誘い、断る理由などございません」
「メイド・・所望・・・」とルーカスが呆然と呟く。そんな彼にシャーロットは、「ええ!メイドです」とニコッと笑いかけた。
レジーナの話とシャーロットの話の微妙なズレに誰も何も言わぬまま、シャーロットたちは伯爵家を後にした。
レジーナの満足そうな笑みと、「ルーカス様、シーラ様とお元気で」というシャーロットの言葉を残して・・・
◇◇◇◇◇
「わぁっ!!すごい!」
そう感嘆の声を上げるシャーロット。
「さすが王城ですねぇ、お嬢様!」
同じように感心するのは、ローラだ。ローラは、子爵家のメイドである。二人は、ちょうど王城に来たところだ。シャーロットは、一人で来るつもりだったが、表向きローラも城のメイドになりたいという理由で同行させた。本当はシャーロットの世話係だ。
衛兵に案内され廊下を奥へと進むと、一人の男が現れた。案内する衛兵が深々と頭を下げるので、国のお偉いさんだろう。男は、二人の前まで来て足を止めると口を開いた。
「ようこそおいで下さいました。私は、この国の宰相をしております、アベル・ロナールと申します」
そう言って、名乗った男はまだ若いが、しっかりした物腰だ。しかし鼻眼鏡の奥の瞳が鋭いことにシャーロットは気付く。
「私は、シャーロット・コールマンと申します。そしてこちらはローラです。今日からこちらでお世話になります。よろしくお願いします」
シャーロットたちは、軽く膝を折って挨拶をすると、アベルは微笑み「話は聞いておりますよ」と言った。しかしその笑みと穏やかな口調とは裏腹に、自分を値踏みするような眼差しにシャーロットは違和感を覚える。
(これはメイドとしての資質を判断されているのかしら・・とにかく失礼のないようにしないとね)
「では、まずは陛下への謁見をして頂きましょうか。準備が出来次第、お呼び致しますので、それまで部屋にて待機していてください」
そう言われて、シャーロットたちが通されたのは客間だった。ソファやテーブルなどの調度品は上質なものばかりで、部屋の隅には大きな暖炉もある。
シャーロットは座らずに窓辺に立つと、そこには色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園が広がっていた。
(わぁぁぁ!綺麗・・さすが王城ね~)
シャーロットが心の中で歓喜の声を上げていると、ソファーに座るローラが緊張でガチガチになっている姿が目に入る。さっきまでは余裕の様子だった彼女がなぜ緊張しているのか尋ねると、どうやら予想外の国王との謁見が怖いらしい。
確かに一国の王に会うのだから緊張する気持ちはよく分かる。シャーロット自身もまさか謁見が待っているとは、思っていなかった。
「謁見って、さすが王城。厳しいのね」
「はいお嬢様・・もしかしたら面談のようなものかもしれませんよ。セリウス殿下の命令ですが、そのお父様の国王が不適格の烙印を押せば、このまま送り返されるかもしれません」
「送り返されるのは、困るわねぇ。ルーカス様にもメイドの道に邁進します!って宣言しちゃったし・・」
「お嬢様・・気になるのはそこですか?・・・・お嬢様って、おっとりしてるのに意外と肝が座ってますよね」
ローラの言葉にシャーロットは「そうかしら?」と首をかしげていると、扉がノックされる。入ってきたのは、先ほど会ったアベルだった。アベルは一礼すると、顔を上げて言った。
「では、参りましょうか」
◇◇◇◇◇
「ほんっとうに緊張しました・・」
そう疲れた様子で話すのは、ローラだ。謁見を終えた二人は、客間に戻っていた。
「フフッ・・そうね。ローラったら、あそこで倒れちゃうかと思ったわ」
「もう!笑い事ではありませんよ。謁見はコリゴリです」
肩をすくめるローラに、シャーロットは「あらっ、あれは名誉なことなのよ」と返すと、ローラは首を横に振り「名誉?・・一介のメイドには不要なものですよ」と言った。
「それもそうよね。まあ・・無事に謁見も終えたし、もう陛下にああやってお会いすることはないわよ。でもここは王城だもの。すれ違うことはあるかもしれないわよ」
シャーロットの言葉にローラは身体をブルッと震わせ「そうなったら、気配を消して、こっそり隠れます」と言った。
そんなローラにシャーロットは苦笑すると、扉がノックされセリウスが笑顔を浮かべ入ってきた。
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