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Scene18 一体みんな何を言ってるの?
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(メイド長は何を言ってるの?最初からメイドではなかった?)
「どういうことですか!?」
「貴女がこの城へ来たのは、メイドとして呼ばれたわけではないと言っているのです」
「えっ?」
「私は・・・私たちは、貴女をセリウス殿下の・・」
メイド長が言葉を途中で止めた為、シャーロットが「セリウス殿下の何ですか?」と聞き返すが、メイド長は「それは御本人から聞きなさい」と言って、シャーロットの持つ荷物を床に置いた。そして半ば強引にシャーロットの腕を取ると、廊下を歩いて行く。その有無を言わさぬ行動にシャーロットは抵抗できなかった。向かっているのはセリウスの部屋で間違いないだろう。
心配するローラを置き去りにして、意に反して一歩一歩近付いていく。別れを告げたばかりの相手の元にどんな顔をして行けばいいのか、シャーロットは戸惑っていた。
だが、そんな彼女の気持ちなど構わず、セリウスの部屋にたどり着くと、勝手に扉を開かれてしまう。
「失礼します」
そう言うなり、ずんずん中に入っていくメイド長。それに引っ張られていくシャーロットだったが、部屋に入った途端ピタリと足を止めてしまった。セリウスの顔を見るのが怖かったシャーロットは立ち尽くし、俯いた。
しかし、そんな彼女の背中をメイド長がドンッと押す。すると彼女の身体は、大きな身体に包まれた。フワッと鼻をくすぐるのは、城に来てから嗅ぎなれたセリウスの香り。
慌てて「申し訳ありません」と離れようとするシャーロット。だが、セリウスはそれを許さなかった。
彼の腕の中に抱き留められたシャーロットは、ハッと顔を上げる。そこには困ったような優しい笑みを浮かべるセリウスがいた。
「・・・すまない。君を騙していた」
「殿下?メイド長から伺いました。私はメイドとして、ここへ呼ばれたのではないと・・・本当のことを教えて下さい」
するとシャーロットの後ろからメイド長が口を開く。
「シャーロット・コールマン。今から殿下が明かすことをしっかり受け止めなさい。そして強くなりなさい。これがメイド長として、私が貴女にできる最後のアドバイスです」
そう言葉を残して、メイド長の姿は部屋から消えた。
「セリウス殿下、教えてください」
シャーロットが促すと、彼はゆっくりと跪き、彼女の手を壊れ物を扱うように取ると、口を開いた。
「シャーロット・コールマン嬢。私の妃になってほしい」
その言葉を聞いた瞬間、シャーロットの頭の中が真っ白になった。そして、彼が何を言っているか理解するまでに数秒の時間を要した。
世の令嬢たちが夢見るセリフであろうプロポーズ。しかし今のシャーロットにそれを喜ぶ余裕はない。何が起こっているのか理解するのに必死だったからだ。
そうして理解できた時、シャーロットは震えていた。そして、ようやく絞り出した声もまた震えていた。
「えっと・・あの・・・何故ですか?」
「混乱させてしまったようだね。最初に言ったはずだ。噂に聞いていた君を見て、噂以上だと思った・・・一目惚れだ。そして、君の笑顔を見た時から、君以外考えられなくなったんだ」
「ですが、私は婚約破棄するような子爵家の娘。殿下のお相手には相応しくありません。それに見た目だって、中の下・・いえ、下の下です」
「君の自己評価が低いことは知っているが、あまりに現実とかけ離れているな。君が領地でも、社交界でも人気があることは、周知の事実だというのに」
「にっ、人気!?どこの誰がそんな嘘を」
「嘘ではない。領民たちは、子爵家の皆を慕っているし、君のことはまるで聖女様だと口々に教えてくれた。それに社交界では君の持つ清楚な雰囲気と気取らない性格が人気なんだよ。
君は自分のことが分かってない。君が思っている以上に、君は魅力的なんだ。この私が惚れてしまうほどに・・・」
「そんなことありません!だって、その証拠にコーネリアス様には浮気されましたし」
「いいや、ある。現に私は跪いているが、君を抱き締めたい衝動と戦っているのだから」
そう言ってセリウスは、更に彼女の手をギュッと握りしめる。
「君は私を男として見たことはない?」
「おっ、男・・!?」
(そんな・・殿下は主で、私はメイド。でも最初からメイドだと思っていたのは、私だけでみんなはそういう目で見ていた・・あっ、だからコーネリアス様もシーラ様も“殿下に乗り換えた”と言っていたのね・・一人だけメイドだと騒いでいて、バカみたいじゃない・・ううん、みたいじゃなくて、バカね。正真正銘のバカ)
「私は卑怯な男なんだ。子爵には君を婚約者にしたいと言ってあるんだ。ただ子爵からは、君の気持ちを私が掴むことができたなら、婚約を了承すると言われた。君のメイドだという誤解を解かなかったのは、ただ面白そうだという理由だった。誤解を解いていれば、君はあんな騒動に巻き込まれることもなかったんだ」
「でもメイドはクビだって・・」
「元々メイドじゃないんだから、クビもなにもないだろう?君がさっきあっさり私の元を去って行った時、君の気持ちが全く私にないことを知った。だから諦めようとしたんだ・・でもあの時思い知った。君を手放したらダメだと・・・
だけど君から拒否されるのが怖くて、追いかけることができなかった。だが、君は再び私の目の前にいる。もうこの手を離したくない」
シャーロットは、真っ直ぐなセリウスの瞳を見つめ返すことができずに目を伏せた。そして混乱したまま、とりあえず「わっ、私は・・・」と言ったシャーロットに、セリウスは意外な言葉を告げる。
「あっ、返事は待ってくれ」
「どういうことですか!?」
「貴女がこの城へ来たのは、メイドとして呼ばれたわけではないと言っているのです」
「えっ?」
「私は・・・私たちは、貴女をセリウス殿下の・・」
メイド長が言葉を途中で止めた為、シャーロットが「セリウス殿下の何ですか?」と聞き返すが、メイド長は「それは御本人から聞きなさい」と言って、シャーロットの持つ荷物を床に置いた。そして半ば強引にシャーロットの腕を取ると、廊下を歩いて行く。その有無を言わさぬ行動にシャーロットは抵抗できなかった。向かっているのはセリウスの部屋で間違いないだろう。
心配するローラを置き去りにして、意に反して一歩一歩近付いていく。別れを告げたばかりの相手の元にどんな顔をして行けばいいのか、シャーロットは戸惑っていた。
だが、そんな彼女の気持ちなど構わず、セリウスの部屋にたどり着くと、勝手に扉を開かれてしまう。
「失礼します」
そう言うなり、ずんずん中に入っていくメイド長。それに引っ張られていくシャーロットだったが、部屋に入った途端ピタリと足を止めてしまった。セリウスの顔を見るのが怖かったシャーロットは立ち尽くし、俯いた。
しかし、そんな彼女の背中をメイド長がドンッと押す。すると彼女の身体は、大きな身体に包まれた。フワッと鼻をくすぐるのは、城に来てから嗅ぎなれたセリウスの香り。
慌てて「申し訳ありません」と離れようとするシャーロット。だが、セリウスはそれを許さなかった。
彼の腕の中に抱き留められたシャーロットは、ハッと顔を上げる。そこには困ったような優しい笑みを浮かべるセリウスがいた。
「・・・すまない。君を騙していた」
「殿下?メイド長から伺いました。私はメイドとして、ここへ呼ばれたのではないと・・・本当のことを教えて下さい」
するとシャーロットの後ろからメイド長が口を開く。
「シャーロット・コールマン。今から殿下が明かすことをしっかり受け止めなさい。そして強くなりなさい。これがメイド長として、私が貴女にできる最後のアドバイスです」
そう言葉を残して、メイド長の姿は部屋から消えた。
「セリウス殿下、教えてください」
シャーロットが促すと、彼はゆっくりと跪き、彼女の手を壊れ物を扱うように取ると、口を開いた。
「シャーロット・コールマン嬢。私の妃になってほしい」
その言葉を聞いた瞬間、シャーロットの頭の中が真っ白になった。そして、彼が何を言っているか理解するまでに数秒の時間を要した。
世の令嬢たちが夢見るセリフであろうプロポーズ。しかし今のシャーロットにそれを喜ぶ余裕はない。何が起こっているのか理解するのに必死だったからだ。
そうして理解できた時、シャーロットは震えていた。そして、ようやく絞り出した声もまた震えていた。
「えっと・・あの・・・何故ですか?」
「混乱させてしまったようだね。最初に言ったはずだ。噂に聞いていた君を見て、噂以上だと思った・・・一目惚れだ。そして、君の笑顔を見た時から、君以外考えられなくなったんだ」
「ですが、私は婚約破棄するような子爵家の娘。殿下のお相手には相応しくありません。それに見た目だって、中の下・・いえ、下の下です」
「君の自己評価が低いことは知っているが、あまりに現実とかけ離れているな。君が領地でも、社交界でも人気があることは、周知の事実だというのに」
「にっ、人気!?どこの誰がそんな嘘を」
「嘘ではない。領民たちは、子爵家の皆を慕っているし、君のことはまるで聖女様だと口々に教えてくれた。それに社交界では君の持つ清楚な雰囲気と気取らない性格が人気なんだよ。
君は自分のことが分かってない。君が思っている以上に、君は魅力的なんだ。この私が惚れてしまうほどに・・・」
「そんなことありません!だって、その証拠にコーネリアス様には浮気されましたし」
「いいや、ある。現に私は跪いているが、君を抱き締めたい衝動と戦っているのだから」
そう言ってセリウスは、更に彼女の手をギュッと握りしめる。
「君は私を男として見たことはない?」
「おっ、男・・!?」
(そんな・・殿下は主で、私はメイド。でも最初からメイドだと思っていたのは、私だけでみんなはそういう目で見ていた・・あっ、だからコーネリアス様もシーラ様も“殿下に乗り換えた”と言っていたのね・・一人だけメイドだと騒いでいて、バカみたいじゃない・・ううん、みたいじゃなくて、バカね。正真正銘のバカ)
「私は卑怯な男なんだ。子爵には君を婚約者にしたいと言ってあるんだ。ただ子爵からは、君の気持ちを私が掴むことができたなら、婚約を了承すると言われた。君のメイドだという誤解を解かなかったのは、ただ面白そうだという理由だった。誤解を解いていれば、君はあんな騒動に巻き込まれることもなかったんだ」
「でもメイドはクビだって・・」
「元々メイドじゃないんだから、クビもなにもないだろう?君がさっきあっさり私の元を去って行った時、君の気持ちが全く私にないことを知った。だから諦めようとしたんだ・・でもあの時思い知った。君を手放したらダメだと・・・
だけど君から拒否されるのが怖くて、追いかけることができなかった。だが、君は再び私の目の前にいる。もうこの手を離したくない」
シャーロットは、真っ直ぐなセリウスの瞳を見つめ返すことができずに目を伏せた。そして混乱したまま、とりあえず「わっ、私は・・・」と言ったシャーロットに、セリウスは意外な言葉を告げる。
「あっ、返事は待ってくれ」
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