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Scene19 断罪は望みません
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(えっ?返事いらないの?)
セリウスの“返事は待て”という言葉に動揺するシャーロット。勝手にプロポーズしておいて、まさか断られるのが怖いと思っているのだろうかと思ったが、どうやら違うらしい。
次にセリウスが告げたのは、思いもよらぬ話だった。
「君がプロポーズの答えを出す前に、言っておきたいことがある」
(まだ私の知らない何かあるの?)
「明日、城の広間で貴族を集めて、ある犯罪人の公開裁判を行う。ルーカス・コーネリアスとシーラ・バーガンディのものだ」
これに、シャーロットはヒュッと息をのむ。呆然とセリウスの顔を見つめるシャーロットに彼は苦笑を浮かべた。
「ルーカスへお灸を据えると、約束しただろう?それにあの男爵家の女が君にしたことは、犯罪だ。このまま無罪放免とはできないんだよ」
それを聞いたシャーロットは、顔色を変えた。
「そんな・・どうしてですか!?ワンピースは高価なものではありませんし、それにさっきの彼女の様子なら反省してると思います。ですから、そんな見せしめのようなことは、お止めください」
「やはり君はそう言うか・・・だが、そういう問題ではないんだよ。私が婚約者にと望む女性に手を出した。それは私への侮辱、そして王家への反逆に等しい行為だ。そしてその罪は、断罪されるべきなんだよ。これを許しては、他の貴族たちに示しがつかないからね」
「そんな・・・」
「これは決定事項だ。そして、私のプロポーズに婚約者として答えてくれるなら、明日広間に来てくれ。もし彼らの裁判を望まないのなら、姿を見せずに子爵家へ帰るといい。もう君を追いかけることはしないと約束する。
君の優しさは長所だが、王子妃として時には冷徹にならなければならないこともある。その覚悟が君にあるかどうか・・・一晩考えて、答えを出してほしい」
そう言って、セリウスはシャーロットの手の甲にそっとキスを落とした。
◇◇◇◇◇
逃げ出すはずだった部屋に戻ってきたシャーロットは、夕食を辞退し早々にベッドに潜り込むと、悶々と考えていた。
「王子妃の覚悟か・・・」
その呟きは、夜の闇に溶けていき、すぐに重いため息が吐き出される。
戻ってきたシャーロットに、ローラは謝罪した。何故なら、彼女もセリウスがシャーロットに何を望んでいたのか知っていたのに黙っていたからだ。しかし、シャーロットは、ローラを責められるはずがなかった。彼女は彼女で、黙っていることに罪悪感を感じていたことは、想像に難くない。ローラは、そういう女性だ。
自分の勘違いと無駄なやる気のせいで、周囲を巻き込んでしまったことに、頭の中はゴチャゴチャと考えがまとまらない。シャーロットは、思考の迷路に迷い込んでいた。それは自分がまだとんでもない勘違いをしているのではないかと、自分自身すら信じられなくなっていた。
(どうしたらいいのよ・・・)
その時、メイド長の最後のアドバイスが頭に浮かぶ。
『今から殿下が明かすことをしっかり受け止めなさい。そして強くなりなさい』
(強く・・・強く・・メイド長の言っていたことが、殿下の婚約者としての覚悟・・お父様たちならどう言うかしら・・・・・きっと自分の思うようにしなさいと、言うに決まってるわね。いつだって私の気持ちを尊重してくれたもの・・・だから私の気持ちが殿下に向いたら、婚約してもいいだなんて言ったのね。子爵のお父様が殿下相手にそんな強気なこと言うなんて・・・・私はいつだってお父様たちに守られてきたのね・・・)
シャーロットは再びため息をつく。
(自分の心に素直になりなさい・・自分の一度きりの人生だもの)
シャーロットはそう自らに何度も問いかけながら、いつの間にか眠りについたのであった。
◇◇◇◇◇
翌朝、空が白み始めた頃、シャーロットはベッドで頭を抱えていた。
(あぁ、何で寝ちゃったの・・まだ答えが出てないのに・・・きっと昨日はいろいろあり過ぎて疲れてたのね・・・じゃなくて!いくらなんでも殿下のプロポーズを前にのんびりし過ぎでしょう・・・ああ、自分の呑気さが憎いわ。
それよりどうしよう。出ていくなら早いほう方いいわ。殿下に会いたくない。会ってしまったら、心が揺らぎそうだもの・・・出ていく・・そうすれば、きっともう話すことはないのね)
シャーロットは、寂しさを感じた。まだたった数日しか経っていないのに、彼と過ごした時間がとても懐かしいものに感じられた。
そして、ふっとセリウスと初めて会った時のことを思い出す。
(フフッ・・あの時は、驚いたわ。強引に宿まで連れて行かれて、いきなり城に住むよう命令されたのよ。光栄だった。本当にいつも強引・・・でも、そんな人が私の気持ちを尊重して、答えを委ねてくれている。これも一方的に婚約してしまうこともできるはずなのに・・)
そう思うと、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚を覚える。そしてその感覚にまた頭を悩ませると、どんどん二者択一の決断から遠ざかった。
(ああ・・ダメね。このままだと永遠に答えは出せそうにないわ・・・・あっ、もっとシンプルに考えてみる?殿下のプロポーズを受け入れるということは、殿下と結婚するってことよね・・・その・・殿下と抱き合ったり、キスしたり、その先も・・・できる?できない?どうなの?シャーロット)
その時、扉がノックされローラが入って来た。
「おはようございます。お嬢様」
「おはよう、ローラ」
「お支度に参りました。今日はとてもお天気がいいですよ。まずは朝食をおとり頂いた後、お着替えをしましょうか。どのように仕上げましょうか?お決まりですか?」
ローラの問いにシャーロットは、一瞬だけ唇をキュッと噛み締めたあと、迷いのないはっきりとした声で告げる。
「ええ、決まったわ。まずは、腹ごしらえしなくちゃね」
セリウスの“返事は待て”という言葉に動揺するシャーロット。勝手にプロポーズしておいて、まさか断られるのが怖いと思っているのだろうかと思ったが、どうやら違うらしい。
次にセリウスが告げたのは、思いもよらぬ話だった。
「君がプロポーズの答えを出す前に、言っておきたいことがある」
(まだ私の知らない何かあるの?)
「明日、城の広間で貴族を集めて、ある犯罪人の公開裁判を行う。ルーカス・コーネリアスとシーラ・バーガンディのものだ」
これに、シャーロットはヒュッと息をのむ。呆然とセリウスの顔を見つめるシャーロットに彼は苦笑を浮かべた。
「ルーカスへお灸を据えると、約束しただろう?それにあの男爵家の女が君にしたことは、犯罪だ。このまま無罪放免とはできないんだよ」
それを聞いたシャーロットは、顔色を変えた。
「そんな・・どうしてですか!?ワンピースは高価なものではありませんし、それにさっきの彼女の様子なら反省してると思います。ですから、そんな見せしめのようなことは、お止めください」
「やはり君はそう言うか・・・だが、そういう問題ではないんだよ。私が婚約者にと望む女性に手を出した。それは私への侮辱、そして王家への反逆に等しい行為だ。そしてその罪は、断罪されるべきなんだよ。これを許しては、他の貴族たちに示しがつかないからね」
「そんな・・・」
「これは決定事項だ。そして、私のプロポーズに婚約者として答えてくれるなら、明日広間に来てくれ。もし彼らの裁判を望まないのなら、姿を見せずに子爵家へ帰るといい。もう君を追いかけることはしないと約束する。
君の優しさは長所だが、王子妃として時には冷徹にならなければならないこともある。その覚悟が君にあるかどうか・・・一晩考えて、答えを出してほしい」
そう言って、セリウスはシャーロットの手の甲にそっとキスを落とした。
◇◇◇◇◇
逃げ出すはずだった部屋に戻ってきたシャーロットは、夕食を辞退し早々にベッドに潜り込むと、悶々と考えていた。
「王子妃の覚悟か・・・」
その呟きは、夜の闇に溶けていき、すぐに重いため息が吐き出される。
戻ってきたシャーロットに、ローラは謝罪した。何故なら、彼女もセリウスがシャーロットに何を望んでいたのか知っていたのに黙っていたからだ。しかし、シャーロットは、ローラを責められるはずがなかった。彼女は彼女で、黙っていることに罪悪感を感じていたことは、想像に難くない。ローラは、そういう女性だ。
自分の勘違いと無駄なやる気のせいで、周囲を巻き込んでしまったことに、頭の中はゴチャゴチャと考えがまとまらない。シャーロットは、思考の迷路に迷い込んでいた。それは自分がまだとんでもない勘違いをしているのではないかと、自分自身すら信じられなくなっていた。
(どうしたらいいのよ・・・)
その時、メイド長の最後のアドバイスが頭に浮かぶ。
『今から殿下が明かすことをしっかり受け止めなさい。そして強くなりなさい』
(強く・・・強く・・メイド長の言っていたことが、殿下の婚約者としての覚悟・・お父様たちならどう言うかしら・・・・・きっと自分の思うようにしなさいと、言うに決まってるわね。いつだって私の気持ちを尊重してくれたもの・・・だから私の気持ちが殿下に向いたら、婚約してもいいだなんて言ったのね。子爵のお父様が殿下相手にそんな強気なこと言うなんて・・・・私はいつだってお父様たちに守られてきたのね・・・)
シャーロットは再びため息をつく。
(自分の心に素直になりなさい・・自分の一度きりの人生だもの)
シャーロットはそう自らに何度も問いかけながら、いつの間にか眠りについたのであった。
◇◇◇◇◇
翌朝、空が白み始めた頃、シャーロットはベッドで頭を抱えていた。
(あぁ、何で寝ちゃったの・・まだ答えが出てないのに・・・きっと昨日はいろいろあり過ぎて疲れてたのね・・・じゃなくて!いくらなんでも殿下のプロポーズを前にのんびりし過ぎでしょう・・・ああ、自分の呑気さが憎いわ。
それよりどうしよう。出ていくなら早いほう方いいわ。殿下に会いたくない。会ってしまったら、心が揺らぎそうだもの・・・出ていく・・そうすれば、きっともう話すことはないのね)
シャーロットは、寂しさを感じた。まだたった数日しか経っていないのに、彼と過ごした時間がとても懐かしいものに感じられた。
そして、ふっとセリウスと初めて会った時のことを思い出す。
(フフッ・・あの時は、驚いたわ。強引に宿まで連れて行かれて、いきなり城に住むよう命令されたのよ。光栄だった。本当にいつも強引・・・でも、そんな人が私の気持ちを尊重して、答えを委ねてくれている。これも一方的に婚約してしまうこともできるはずなのに・・)
そう思うと、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚を覚える。そしてその感覚にまた頭を悩ませると、どんどん二者択一の決断から遠ざかった。
(ああ・・ダメね。このままだと永遠に答えは出せそうにないわ・・・・あっ、もっとシンプルに考えてみる?殿下のプロポーズを受け入れるということは、殿下と結婚するってことよね・・・その・・殿下と抱き合ったり、キスしたり、その先も・・・できる?できない?どうなの?シャーロット)
その時、扉がノックされローラが入って来た。
「おはようございます。お嬢様」
「おはよう、ローラ」
「お支度に参りました。今日はとてもお天気がいいですよ。まずは朝食をおとり頂いた後、お着替えをしましょうか。どのように仕上げましょうか?お決まりですか?」
ローラの問いにシャーロットは、一瞬だけ唇をキュッと噛み締めたあと、迷いのないはっきりとした声で告げる。
「ええ、決まったわ。まずは、腹ごしらえしなくちゃね」
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