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Scene20 私の出した答えは・・
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(ああ、この扉を開ければ、もう後戻りはできないわ)
シャーロットは、広間の大扉を前に立っていた。彼女の出した答え・・それは子爵家へ帰ることではなく、生涯セリウスの隣に立つことだった。
彼女は、イエローベージュのドレスにルビーの大きなネックレスを着けていた。ルビーの赤の派手な印象を、ドレスの色で柔らかなそれへと変えていた。シャーロットの雰囲気に合っている。ふわふわのブラウンヘアもきれいにまとめられ、何より棒だという自身の身体に凹凸が生まれていた。シャーロットは、頑張ってくれたローラに感謝した。
「シャーロット様、貴女の決断、私は大変嬉しく思います。今後は、全力でシャーロット様をお支えする所存でございます」
横に控えていたアベルがそう言って頭を下げるので、シャーロットは恐縮してしまう。少し前まで宰相に頭を下げられるなど、想像などできなかった。
「こちらこそよろしくお願いいたします。全力で頑張ります」
するとその答えを聞いたアベルは、掛けている鼻メガネを掛け直すと、奥の鋭い瞳を光らせた。それに嫌な予感がしたシャーロットに、案の定アベルは満足気な声で言った。
「そのやる気、確かに聞きましたよ。これから王子妃教育が山のように待ってますから、皆の手本となるようぜひとも頑張っていただきます」
シャーロットは、苦笑いを浮かべると、そっとため息をついた。
「ゔっ・・・はい、努力させていただきます」
(絶対に私の言質を取る為に言ったのね。さすが宰相様・・こんな人たちがゴロゴロいる世界に私は突っ込んでいくのね・・)
シャーロットがブルッと身体を震わせると、アベルが告げた。
「では参りましょうか」
こうしてシャーロットは、未来を決定づける表舞台へと足を踏み入れた。
◇◇◇◇◇
「明日まで君と二人きりなんて、嬉しいよ」
セリウスが笑顔を向けると、シャーロットの顔が赤く染まる。
シャーロットとセリウスは、いま子爵領へ向かう馬車に乗っていた。領地に何があるのか。それはシーラによって切り裂かれたワンピースを作り直すためだ。最初、“王都の仕立て屋で”と言ったセリウスにシャーロットが“領地のエーデルの店で作れば、採寸の必要ないから”と譲らなかったのだ。
そう言われてしまっては、セリウスに拒む理由はない。それに国王たちからも婚約祝いだと言って、セリウスがしばらくの休暇をもらった為、二人きりのちょっとした旅行となった。
「セリウス様、お手柔らかに・・」
そう言ったシャーロットの手を取り、微笑んだセリウスは「それはどうかなぁ、ロッティ」と冗談混じりに言った。
そして突然の愛称呼びに頭から噴火したシャーロットに、セリウスは笑みを深めながら更に言葉を続ける。
「多少手荒なことをしても許してくれよ。なにせ君が広間に現れたときから、ずっと衝動を抑えてるんだから」
その言葉に「しょっ、衝動って何の!?」と彼女の声が裏替えったのは、気の所為ではない。
あの日、プロポーズの答えだしたシャーロットが広間に入ると、一斉に沸き起こった拍手に迎えられた。集まった貴族たちが、手を叩いていたのだ。
それはシャーロットが聞いていた公開裁判の場とは真逆の興奮と幸せな雰囲気に満ち溢れた時間だった。
目が点になったシャーロットを奥から現れたセリウスがエスコートし壇上へと上がり、第二王子セリウスとコールマン子爵家令嬢シャーロットの婚約を国王自らが宣言したのだ。
その後、訳の分からぬまま話は進み、あっという間に集まりは解散となった。自室へ連れてきたセリウスが、まだ混乱するシャーロットに事情を説明すると、シャーロットは顔を真っ赤にして叫んだ。
『みんなグルだったのね!?』
セリウスの話は単純だった。ルーカスとシーラ両名の裁判というのは、嘘だった。もちろんそれなりの罰は与えるが、それを公開でするなどシャーロットの気持ちを考えれば、できるはずがなかった。
そしてシャーロットがセリウスの相手として認められるには、メイド長の言ったとおり強さが足りなかった。登城初日に国王に謁見した後に、セリウスは言われたそうだ。
『彼女を婚約者に望むなら、彼女の強さを引き出しなさい』と・・・
それから、どうやって国王たちを納得させるか思案していたセリウスだったが、立て続けにルーカスとシーラからシャーロットが騒動に巻き込まれたことを利用しようと思いついたのだ。
傷つけられたとはいえ、誰かを断罪するなど、今までのシャーロットならば考えられない。そんな彼女に“断罪する”と嘘の情報を流して、時には冷徹になる覚悟を引き出すことができれば、国王たちを黙らせることができる。
こうしてセリウスはプロポーズをし、シャーロットの未来を彼女自身の判断に委ねたのだ。
『すまない・・でもこれくらい荒療治をしないと、お人好しの君は覚醒しないだろう?』
これにはシャーロットも黙るしかなかったのだ。
こうして無事にセリウスの婚約者となったシャーロットは、領地に向かっているのだった。
シャーロットは、広間の大扉を前に立っていた。彼女の出した答え・・それは子爵家へ帰ることではなく、生涯セリウスの隣に立つことだった。
彼女は、イエローベージュのドレスにルビーの大きなネックレスを着けていた。ルビーの赤の派手な印象を、ドレスの色で柔らかなそれへと変えていた。シャーロットの雰囲気に合っている。ふわふわのブラウンヘアもきれいにまとめられ、何より棒だという自身の身体に凹凸が生まれていた。シャーロットは、頑張ってくれたローラに感謝した。
「シャーロット様、貴女の決断、私は大変嬉しく思います。今後は、全力でシャーロット様をお支えする所存でございます」
横に控えていたアベルがそう言って頭を下げるので、シャーロットは恐縮してしまう。少し前まで宰相に頭を下げられるなど、想像などできなかった。
「こちらこそよろしくお願いいたします。全力で頑張ります」
するとその答えを聞いたアベルは、掛けている鼻メガネを掛け直すと、奥の鋭い瞳を光らせた。それに嫌な予感がしたシャーロットに、案の定アベルは満足気な声で言った。
「そのやる気、確かに聞きましたよ。これから王子妃教育が山のように待ってますから、皆の手本となるようぜひとも頑張っていただきます」
シャーロットは、苦笑いを浮かべると、そっとため息をついた。
「ゔっ・・・はい、努力させていただきます」
(絶対に私の言質を取る為に言ったのね。さすが宰相様・・こんな人たちがゴロゴロいる世界に私は突っ込んでいくのね・・)
シャーロットがブルッと身体を震わせると、アベルが告げた。
「では参りましょうか」
こうしてシャーロットは、未来を決定づける表舞台へと足を踏み入れた。
◇◇◇◇◇
「明日まで君と二人きりなんて、嬉しいよ」
セリウスが笑顔を向けると、シャーロットの顔が赤く染まる。
シャーロットとセリウスは、いま子爵領へ向かう馬車に乗っていた。領地に何があるのか。それはシーラによって切り裂かれたワンピースを作り直すためだ。最初、“王都の仕立て屋で”と言ったセリウスにシャーロットが“領地のエーデルの店で作れば、採寸の必要ないから”と譲らなかったのだ。
そう言われてしまっては、セリウスに拒む理由はない。それに国王たちからも婚約祝いだと言って、セリウスがしばらくの休暇をもらった為、二人きりのちょっとした旅行となった。
「セリウス様、お手柔らかに・・」
そう言ったシャーロットの手を取り、微笑んだセリウスは「それはどうかなぁ、ロッティ」と冗談混じりに言った。
そして突然の愛称呼びに頭から噴火したシャーロットに、セリウスは笑みを深めながら更に言葉を続ける。
「多少手荒なことをしても許してくれよ。なにせ君が広間に現れたときから、ずっと衝動を抑えてるんだから」
その言葉に「しょっ、衝動って何の!?」と彼女の声が裏替えったのは、気の所為ではない。
あの日、プロポーズの答えだしたシャーロットが広間に入ると、一斉に沸き起こった拍手に迎えられた。集まった貴族たちが、手を叩いていたのだ。
それはシャーロットが聞いていた公開裁判の場とは真逆の興奮と幸せな雰囲気に満ち溢れた時間だった。
目が点になったシャーロットを奥から現れたセリウスがエスコートし壇上へと上がり、第二王子セリウスとコールマン子爵家令嬢シャーロットの婚約を国王自らが宣言したのだ。
その後、訳の分からぬまま話は進み、あっという間に集まりは解散となった。自室へ連れてきたセリウスが、まだ混乱するシャーロットに事情を説明すると、シャーロットは顔を真っ赤にして叫んだ。
『みんなグルだったのね!?』
セリウスの話は単純だった。ルーカスとシーラ両名の裁判というのは、嘘だった。もちろんそれなりの罰は与えるが、それを公開でするなどシャーロットの気持ちを考えれば、できるはずがなかった。
そしてシャーロットがセリウスの相手として認められるには、メイド長の言ったとおり強さが足りなかった。登城初日に国王に謁見した後に、セリウスは言われたそうだ。
『彼女を婚約者に望むなら、彼女の強さを引き出しなさい』と・・・
それから、どうやって国王たちを納得させるか思案していたセリウスだったが、立て続けにルーカスとシーラからシャーロットが騒動に巻き込まれたことを利用しようと思いついたのだ。
傷つけられたとはいえ、誰かを断罪するなど、今までのシャーロットならば考えられない。そんな彼女に“断罪する”と嘘の情報を流して、時には冷徹になる覚悟を引き出すことができれば、国王たちを黙らせることができる。
こうしてセリウスはプロポーズをし、シャーロットの未来を彼女自身の判断に委ねたのだ。
『すまない・・でもこれくらい荒療治をしないと、お人好しの君は覚醒しないだろう?』
これにはシャーロットも黙るしかなかったのだ。
こうして無事にセリウスの婚約者となったシャーロットは、領地に向かっているのだった。
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