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第3章
第156話 リリス14歳 追跡3
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門を出たリリスたち三人は、西へと続く道を歩いていた。その歩みは迷うことなく進み、徐々に早くなる。ふとスタイラスが口を開いた。
「ネージュがどこへ向かったのか知ってるんだね?」
それにリリスは頷くと言った。
「ええ、間違いなく西の森よ。そこへネージュは向かってるわ」
「「西の森!?」」
驚いた二人の声が揃い、アシュリーが言葉を続けた。
「そこって先生たちに行くなって言われてるところじゃないか」
「そうね。前にヘンリーにも行ったことを知られて怒られたわ。それにもう先生も知ってるし、アルミーダさんも知ってるの」
「えっ、リリス嬢はもう森へ行ったの?!しかもみんな知ってるの?!」
「ごめんなさい。でも仕方なかったのよ。不可抗力ってやつ?アルミーダさんは相当怒ってるみたいだから、次に会ったときのお説教は覚悟してるわ」
困惑した表情のスタイラスとアシュリーにリリスは苦笑し、話を続けた。
「みんなを巻き込みたくなくて黙ってたけど、結局巻き込んでしまったわ。ごめんなさい。
私が最初に森へ行ったのは、今日みたいにネージュを追いかけてなのよ。あっ、その時は私が追いかけてというよりネージュが私を誘ったというのが正解ね。わけも分からずついて行った先が森だったってわけよ。そしたら、そこにメイルがいたの」
「「メイルっ!?」」
またも揃った驚きの声に思わず笑ってしまったリリスは、コホンと咳をすると続けた。
「そうメイルよ。私も最初は驚いたわ。家出したと思ってたメイルがこんな近くにいたんだもの。それに何より驚いたのが、目の前に燃える木があったことね」
「えっ?燃える木?」
今度は声が揃うことはなかったが、次々とリリスの口から出てくる信じられない話にスタイラスが聞き返し、アシュリーは口をあんぐりと開けていた。
「そう燃えてる木・・樹木よ。不思議なことにその木は、灰にもならず燃え尽きることなくずーっと炎をあげてるの。しかもその炎、熱くないのよ」
その時、森の入口にたどり着いた三人は一旦足を止めた。
「いま言ったことは、全部本当のことよ。今から二人が目にする光景ね。
もう一度謝るわ。本当に巻き込んでしまって、ごめんなさい。危険だと思ったら、迷わず逃げてね」
「逃げるなんて・・」
「そうだな。僕たちが女性を置いて逃げるような男に見えるかい?」
スタイラスの問にリリスは首を横に振る。そして苦笑した。その笑みにスタイラスは微笑み、言葉を続けた。
「それに巻き込むとかそういうことは気にしないことだ。僕は君もアリーナ嬢たちのことも単なる友人以上の存在だと思ってる。それに刺激的でなかなか楽しい学生生活だと思ってるよ。君に出会わなかったら、こんなに楽しい時間はきっと送れなかった」
スタイラスの言葉に横のアシュリーが何度も頷いている。心強い友人にリリスの心はじんわり温かくなる。リリスは嬉しさに泣きしそうな感情を抑え、微笑むと言った。
「ふたりともありがとう。でも決して無理はしないで。先生たちが来るまで大人しくしてること。約束よ」
「君もだ。無茶は駄目だよ。約束して・・」
スタイラスは心配する表情でリリスを見つめ、言葉を紡ぐ。その赤い瞳は複雑な感情で揺れ動いていた。リリスとスタイラスの間に少しの沈黙が流れる。そんな雰囲気を察したアシュリーが冗談っぽく明るく言った。
「そうだね。三人の中でリリス嬢が一番無茶をしそうだ」
「あっ、ひどーい。ちゃんと大人しくしてるわ」
そう笑いながら言ったリリスは続けて「行きましょ」というと森の中へと足を踏み出した。続けてスタイラスとアシュリーも森へと入る。こうして三人の後ろ姿は森の中へ消えた。
「ネージュがどこへ向かったのか知ってるんだね?」
それにリリスは頷くと言った。
「ええ、間違いなく西の森よ。そこへネージュは向かってるわ」
「「西の森!?」」
驚いた二人の声が揃い、アシュリーが言葉を続けた。
「そこって先生たちに行くなって言われてるところじゃないか」
「そうね。前にヘンリーにも行ったことを知られて怒られたわ。それにもう先生も知ってるし、アルミーダさんも知ってるの」
「えっ、リリス嬢はもう森へ行ったの?!しかもみんな知ってるの?!」
「ごめんなさい。でも仕方なかったのよ。不可抗力ってやつ?アルミーダさんは相当怒ってるみたいだから、次に会ったときのお説教は覚悟してるわ」
困惑した表情のスタイラスとアシュリーにリリスは苦笑し、話を続けた。
「みんなを巻き込みたくなくて黙ってたけど、結局巻き込んでしまったわ。ごめんなさい。
私が最初に森へ行ったのは、今日みたいにネージュを追いかけてなのよ。あっ、その時は私が追いかけてというよりネージュが私を誘ったというのが正解ね。わけも分からずついて行った先が森だったってわけよ。そしたら、そこにメイルがいたの」
「「メイルっ!?」」
またも揃った驚きの声に思わず笑ってしまったリリスは、コホンと咳をすると続けた。
「そうメイルよ。私も最初は驚いたわ。家出したと思ってたメイルがこんな近くにいたんだもの。それに何より驚いたのが、目の前に燃える木があったことね」
「えっ?燃える木?」
今度は声が揃うことはなかったが、次々とリリスの口から出てくる信じられない話にスタイラスが聞き返し、アシュリーは口をあんぐりと開けていた。
「そう燃えてる木・・樹木よ。不思議なことにその木は、灰にもならず燃え尽きることなくずーっと炎をあげてるの。しかもその炎、熱くないのよ」
その時、森の入口にたどり着いた三人は一旦足を止めた。
「いま言ったことは、全部本当のことよ。今から二人が目にする光景ね。
もう一度謝るわ。本当に巻き込んでしまって、ごめんなさい。危険だと思ったら、迷わず逃げてね」
「逃げるなんて・・」
「そうだな。僕たちが女性を置いて逃げるような男に見えるかい?」
スタイラスの問にリリスは首を横に振る。そして苦笑した。その笑みにスタイラスは微笑み、言葉を続けた。
「それに巻き込むとかそういうことは気にしないことだ。僕は君もアリーナ嬢たちのことも単なる友人以上の存在だと思ってる。それに刺激的でなかなか楽しい学生生活だと思ってるよ。君に出会わなかったら、こんなに楽しい時間はきっと送れなかった」
スタイラスの言葉に横のアシュリーが何度も頷いている。心強い友人にリリスの心はじんわり温かくなる。リリスは嬉しさに泣きしそうな感情を抑え、微笑むと言った。
「ふたりともありがとう。でも決して無理はしないで。先生たちが来るまで大人しくしてること。約束よ」
「君もだ。無茶は駄目だよ。約束して・・」
スタイラスは心配する表情でリリスを見つめ、言葉を紡ぐ。その赤い瞳は複雑な感情で揺れ動いていた。リリスとスタイラスの間に少しの沈黙が流れる。そんな雰囲気を察したアシュリーが冗談っぽく明るく言った。
「そうだね。三人の中でリリス嬢が一番無茶をしそうだ」
「あっ、ひどーい。ちゃんと大人しくしてるわ」
そう笑いながら言ったリリスは続けて「行きましょ」というと森の中へと足を踏み出した。続けてスタイラスとアシュリーも森へと入る。こうして三人の後ろ姿は森の中へ消えた。
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