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第6話 それはもう協力するしか道はないのでは?
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翌日、学園へ到着したリーナは、馬車を降りて早々、オルガに拉致された。人目につかない場所へ連れてこられたリーナに、オルガは「おはよう」と満面の笑みと共に挨拶をする。
(ほぅぅ・・お美しい。一度でいいからこんな顔に生まれ変わっ・・・じゃないじゃない・・この人中身は男!)
意図せずヒロインの美しい顔に見惚れそうになるのを、必死に我慢するリーナにオルガは昨日の話の続きをする。
「昨日は断られたけど、いいのか?協力して俺を元の世界に返さないと、リーナの大好きなオルガに会えないぞ。俺は漫画も知らないし、男だ。原作なんてゴミみたいに、めちゃくちゃにしちゃうかもよ。それでもいいのか?」
「今日は脅し?そんな大学生の脅しに屈すると思うの?元社会人なめないでよね。私は断罪も処刑もない、平和なモブ生活を満喫するのよ。この世界でも、人間のドロドロに翻弄されるなんてまっぴらよ」
「ドロドロねぇ・・・リーナは、まだ来たばかりで知らないか・・俺から言わせると、ここのほうが人間関係ドロドロだぞ。公爵だ伯爵だと家柄ばかり気にして、下の者から話しかけてもダメ。俺がオルガになりきれなくてボロ出したら、みんなからは腫れ物を触るように遠巻きにされ、女たちは口を開けば、“王子王子”と目をハートにして、ライバルを裏で蹴落とそうとしてるぞ」
「知ってるわ。それが貴族社会ってものよ。だから私は今の平和なモブ生活を死守したいの」
オルガはリーナの頑なな答えに、悔しそうに唇を噛みしめた。そして急に弱々しい声で話し始める。
「・・・帰りたいんだ。勝手なのは分かってる。リーナだって、あの事故で亡くなって大変だったよな。でも俺は帰って、両親に会いたい。友達に会いたい・・そして・・・彼女に会いたい・・会って、子供に名前をつけるんだ」
「彼女か・・私にも結婚目前の彼氏が・・・って、子供!?」
「ん?ああ、彼女のお腹の中に赤ちゃんがいるんだ。だから籍入れて大学卒業したら、めちゃくちゃ働いて二人を幸せにするって決めてたのにな」
「学生結婚か・・なかなか経済的に大変な道を・・・」
「あー、そこんところは両親が大学を卒業して俺の稼ぎが安定するまで、面倒みてくれるって言ってくれててさ」
「さすが学生。親のすねをかじりまくってるわね」
「俺もそう思う。でも仕方ない。俺は、まだ男として一人前じゃないし・・・それに、親父の会社を立派にまわしていける男になることが、親孝行だと思ってるしな」
「親父の会社って、向こうでは社長の息子だったの?」
リーナの問いにオルガは頷くと、誰でも知ってる有名企業の名を出した。まさかそんな大企業の息子がこんなことになってるなんて、誰が想像しようか。
(これは戻さないと、跡取りのいなくなったあの会社も大変なことになるんじゃない?あっ、でも孫がいるのか・・・あれ?もしかして、本物のオルガは冬馬の身体に乗り移ってる可能性もあるわね。ていうか、その可能性大じゃない?それなら、こっちでもあっちでも裕福な生活送れて、案外馴染んでるかも・・・・いやいや、違うでしょ。庶民ならまだしも、社員何万人もの生活がかかってる跡取りが転移者なんて、地獄しか見えないわよ)
表情をコロコロと変え、想像ばかり膨らむリーナを黙って見守るオルガ。そして現実に戻ってきたリーナの瞳は、迷いのない真っ直ぐな色を滲ませていた。
「分かったわ。協力する。戻って、子供に名前付けて、立派に親孝行してきなさい」
リーナの決意を聞いたオルガは、泣きそうな笑顔を向けた。その顔を見たリーナもまた、涙腺が緩むのを自覚していた。
ひとまずオルガから解放されたリーナは、急いで教室へと向かう。すると席に着くと同時に今度はレオナに拉致された。廊下の隅に連れてこられたリーナは、レオナの真剣な眼差しを真っ直ぐに受けていた。
「リーナ、あれほど近付くなって言ったのに、何やってるのよ」
「えっ?・・・ああ、オルガ様のことね。仕方なかったのよ。成り行き上というか運命というか・・・」
「オルガ様と近いなんて知られたら、みんなに何を言われるか。何よりビクトリア様に何と思われるか・・」
(あー、私ビクトリア派の取り巻きだったわ。確かにライバル令嬢と近いなんて知られたら・・・おー、怖っ)
「ごめんね、心配かけて。でも、もうビクトリア様派とかオルガ様派とか、疲れちゃって・・・派閥なんて、抜けたいのよ」
「えっ!それ本気で言ってるの!?向こうはオルガ様があんなだから、勝手に崩壊してるのに、いまビクトリア様から離れようなんて正気?」
「とっ、とにかく面倒事はごめんなのよ。これ以上、抱えきれないもの」
リーナはそう言うと、親友の追求から逃れ、教室へと駆け込んだ。ちょうど授業開始のベルが鳴り、リーナはほっと胸を撫で下ろしたのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
次話、やっと王子登場です。
(ほぅぅ・・お美しい。一度でいいからこんな顔に生まれ変わっ・・・じゃないじゃない・・この人中身は男!)
意図せずヒロインの美しい顔に見惚れそうになるのを、必死に我慢するリーナにオルガは昨日の話の続きをする。
「昨日は断られたけど、いいのか?協力して俺を元の世界に返さないと、リーナの大好きなオルガに会えないぞ。俺は漫画も知らないし、男だ。原作なんてゴミみたいに、めちゃくちゃにしちゃうかもよ。それでもいいのか?」
「今日は脅し?そんな大学生の脅しに屈すると思うの?元社会人なめないでよね。私は断罪も処刑もない、平和なモブ生活を満喫するのよ。この世界でも、人間のドロドロに翻弄されるなんてまっぴらよ」
「ドロドロねぇ・・・リーナは、まだ来たばかりで知らないか・・俺から言わせると、ここのほうが人間関係ドロドロだぞ。公爵だ伯爵だと家柄ばかり気にして、下の者から話しかけてもダメ。俺がオルガになりきれなくてボロ出したら、みんなからは腫れ物を触るように遠巻きにされ、女たちは口を開けば、“王子王子”と目をハートにして、ライバルを裏で蹴落とそうとしてるぞ」
「知ってるわ。それが貴族社会ってものよ。だから私は今の平和なモブ生活を死守したいの」
オルガはリーナの頑なな答えに、悔しそうに唇を噛みしめた。そして急に弱々しい声で話し始める。
「・・・帰りたいんだ。勝手なのは分かってる。リーナだって、あの事故で亡くなって大変だったよな。でも俺は帰って、両親に会いたい。友達に会いたい・・そして・・・彼女に会いたい・・会って、子供に名前をつけるんだ」
「彼女か・・私にも結婚目前の彼氏が・・・って、子供!?」
「ん?ああ、彼女のお腹の中に赤ちゃんがいるんだ。だから籍入れて大学卒業したら、めちゃくちゃ働いて二人を幸せにするって決めてたのにな」
「学生結婚か・・なかなか経済的に大変な道を・・・」
「あー、そこんところは両親が大学を卒業して俺の稼ぎが安定するまで、面倒みてくれるって言ってくれててさ」
「さすが学生。親のすねをかじりまくってるわね」
「俺もそう思う。でも仕方ない。俺は、まだ男として一人前じゃないし・・・それに、親父の会社を立派にまわしていける男になることが、親孝行だと思ってるしな」
「親父の会社って、向こうでは社長の息子だったの?」
リーナの問いにオルガは頷くと、誰でも知ってる有名企業の名を出した。まさかそんな大企業の息子がこんなことになってるなんて、誰が想像しようか。
(これは戻さないと、跡取りのいなくなったあの会社も大変なことになるんじゃない?あっ、でも孫がいるのか・・・あれ?もしかして、本物のオルガは冬馬の身体に乗り移ってる可能性もあるわね。ていうか、その可能性大じゃない?それなら、こっちでもあっちでも裕福な生活送れて、案外馴染んでるかも・・・・いやいや、違うでしょ。庶民ならまだしも、社員何万人もの生活がかかってる跡取りが転移者なんて、地獄しか見えないわよ)
表情をコロコロと変え、想像ばかり膨らむリーナを黙って見守るオルガ。そして現実に戻ってきたリーナの瞳は、迷いのない真っ直ぐな色を滲ませていた。
「分かったわ。協力する。戻って、子供に名前付けて、立派に親孝行してきなさい」
リーナの決意を聞いたオルガは、泣きそうな笑顔を向けた。その顔を見たリーナもまた、涙腺が緩むのを自覚していた。
ひとまずオルガから解放されたリーナは、急いで教室へと向かう。すると席に着くと同時に今度はレオナに拉致された。廊下の隅に連れてこられたリーナは、レオナの真剣な眼差しを真っ直ぐに受けていた。
「リーナ、あれほど近付くなって言ったのに、何やってるのよ」
「えっ?・・・ああ、オルガ様のことね。仕方なかったのよ。成り行き上というか運命というか・・・」
「オルガ様と近いなんて知られたら、みんなに何を言われるか。何よりビクトリア様に何と思われるか・・」
(あー、私ビクトリア派の取り巻きだったわ。確かにライバル令嬢と近いなんて知られたら・・・おー、怖っ)
「ごめんね、心配かけて。でも、もうビクトリア様派とかオルガ様派とか、疲れちゃって・・・派閥なんて、抜けたいのよ」
「えっ!それ本気で言ってるの!?向こうはオルガ様があんなだから、勝手に崩壊してるのに、いまビクトリア様から離れようなんて正気?」
「とっ、とにかく面倒事はごめんなのよ。これ以上、抱えきれないもの」
リーナはそう言うと、親友の追求から逃れ、教室へと駆け込んだ。ちょうど授業開始のベルが鳴り、リーナはほっと胸を撫で下ろしたのだった。
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次話、やっと王子登場です。
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