〘完〙なぜかモブの私がイケメン王子に強引に迫られてます 〜転生したら推しのヒロインが不在でした〜

hanakuro

文字の大きさ
6 / 50

第6話 それはもう協力するしか道はないのでは?

しおりを挟む
翌日、学園へ到着したリーナは、馬車を降りて早々、オルガに拉致された。人目につかない場所へ連れてこられたリーナに、オルガは「おはよう」と満面の笑みと共に挨拶をする。

(ほぅぅ・・お美しい。一度でいいからこんな顔に生まれ変わっ・・・じゃないじゃない・・この人中身は男!)

意図せずヒロインの美しい顔に見惚れそうになるのを、必死に我慢するリーナにオルガは昨日の話の続きをする。

「昨日は断られたけど、いいのか?協力して俺を元の世界に返さないと、リーナの大好きなオルガに会えないぞ。俺は漫画も知らないし、男だ。原作なんてゴミみたいに、めちゃくちゃにしちゃうかもよ。それでもいいのか?」

「今日は脅し?そんな大学生の脅しに屈すると思うの?元社会人なめないでよね。私は断罪も処刑もない、平和なモブ生活を満喫するのよ。この世界でも、人間のドロドロに翻弄されるなんてまっぴらよ」

「ドロドロねぇ・・・リーナは、まだ来たばかりで知らないか・・俺から言わせると、ここのほうが人間関係ドロドロだぞ。公爵だ伯爵だと家柄ばかり気にして、下の者から話しかけてもダメ。俺がオルガになりきれなくてボロ出したら、みんなからは腫れ物を触るように遠巻きにされ、女たちは口を開けば、“王子王子”と目をハートにして、ライバルを裏で蹴落とそうとしてるぞ」

「知ってるわ。それが貴族社会ってものよ。だから私は今の平和なモブ生活を死守したいの」

オルガはリーナの頑なな答えに、悔しそうに唇を噛みしめた。そして急に弱々しい声で話し始める。

「・・・帰りたいんだ。勝手なのは分かってる。リーナだって、あの事故で亡くなって大変だったよな。でも俺は帰って、両親に会いたい。友達に会いたい・・そして・・・彼女に会いたい・・会って、子供に名前をつけるんだ」

「彼女か・・私にも結婚目前の彼氏が・・・って、子供!?」

「ん?ああ、彼女のお腹の中に赤ちゃんがいるんだ。だから籍入れて大学卒業したら、めちゃくちゃ働いて二人を幸せにするって決めてたのにな」

「学生結婚か・・なかなか経済的に大変な道を・・・」

「あー、そこんところは両親が大学を卒業して俺の稼ぎが安定するまで、面倒みてくれるって言ってくれててさ」

「さすが学生。親のすねをかじりまくってるわね」

「俺もそう思う。でも仕方ない。俺は、まだ男として一人前じゃないし・・・それに、親父の会社を立派にまわしていける男になることが、親孝行だと思ってるしな」

「親父の会社って、向こうでは社長の息子だったの?」

リーナの問いにオルガは頷くと、誰でも知ってる有名企業の名を出した。まさかそんな大企業の息子がこんなことになってるなんて、誰が想像しようか。

(これは戻さないと、跡取りのいなくなったあの会社も大変なことになるんじゃない?あっ、でも孫がいるのか・・・あれ?もしかして、本物のオルガは冬馬の身体に乗り移ってる可能性もあるわね。ていうか、その可能性大じゃない?それなら、こっちでもあっちでも裕福な生活送れて、案外馴染んでるかも・・・・いやいや、違うでしょ。庶民ならまだしも、社員何万人もの生活がかかってる跡取りが転移者なんて、地獄しか見えないわよ)

表情をコロコロと変え、想像ばかり膨らむリーナを黙って見守るオルガ。そして現実に戻ってきたリーナの瞳は、迷いのない真っ直ぐな色を滲ませていた。

「分かったわ。協力する。戻って、子供に名前付けて、立派に親孝行してきなさい」

リーナの決意を聞いたオルガは、泣きそうな笑顔を向けた。その顔を見たリーナもまた、涙腺が緩むのを自覚していた。

ひとまずオルガから解放されたリーナは、急いで教室へと向かう。すると席に着くと同時に今度はレオナに拉致された。廊下の隅に連れてこられたリーナは、レオナの真剣な眼差しを真っ直ぐに受けていた。

「リーナ、あれほど近付くなって言ったのに、何やってるのよ」

「えっ?・・・ああ、オルガ様のことね。仕方なかったのよ。成り行き上というか運命というか・・・」

「オルガ様と近いなんて知られたら、みんなに何を言われるか。何よりビクトリア様に何と思われるか・・」

(あー、私ビクトリア派の取り巻きだったわ。確かにライバル令嬢と近いなんて知られたら・・・おー、怖っ)

「ごめんね、心配かけて。でも、もうビクトリア様派とかオルガ様派とか、疲れちゃって・・・派閥なんて、抜けたいのよ」

「えっ!それ本気で言ってるの!?向こうはオルガ様があんなだから、勝手に崩壊してるのに、いまビクトリア様から離れようなんて正気?」

「とっ、とにかく面倒事はごめんなのよ。これ以上、抱えきれないもの」

リーナはそう言うと、親友の追求から逃れ、教室へと駆け込んだ。ちょうど授業開始のベルが鳴り、リーナはほっと胸を撫で下ろしたのだった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


次話、やっと王子登場です。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。

皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」 そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。 前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。 父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。 使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。 え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……? その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……? あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ! 能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

モブ令嬢は脳筋が嫌い

斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

処理中です...