〘完〙なぜかモブの私がイケメン王子に強引に迫られてます 〜転生したら推しのヒロインが不在でした〜

hanakuro

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第5話 推しの魂どこ?

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「まず、アンタの名前から教えてもらおうか」

オルガの質問に怯えつつ、自分の名前と伯爵家の娘だと言うリーナ。

「へえ、伯爵家か。ってことは、俺の公爵家より身分は下ってことだな。好都合だな。俺の手足となって、働いてもらおう」

(“俺”?“身分”?本当に貴方誰なの?)

混乱するリーナにオルガは、驚くべき事実を伝える。

「俺は他の世界からやって来た人間だ。しかも気付いてると思うが、れっきとした男だ」

「男・・・へえ、そうですか・・・・・おっ、男!!!」

リーナの反応に照れくさそうにするオルガ。

「そうだよ。宝塚でもないしな。下手な芝居なんてしないよ」

「宝塚!?えっ!もしかして、貴方!日本から来たの?」

「おっおう!ていうか何で日本を知ってるんだよ!」

ここでリーナは、自分が日本で生きていた転生者であると打ち明ける。

「梨奈っていうOLだったのよ。でも事故で死んじゃって、気がついたら、この世界に生まれ変わってたの。この世界はね、“ベタ恋”っていう漫画の世界なの。貴方はヒロインの公爵令嬢、私はただのモブの伯爵令嬢よ。ところで、貴方は何で死んじゃったの?」

「へえ、梨奈からリーナか・・分かりやすい生まれ変わりだな」

オルガはそう始めると、自分がこの世界にやってきた経緯を話し始める。オルガによると、彼は冬馬という名前の大学生として日本で暮らしていた。しかし、いつもと変わりない日々を過ごしていたはずが、一ヶ月ほど前に列車事故に巻き込まれてしまい、骨折して入院していた。そして朝、起きたら突然オルガとしてこの世界に来ていたそうだ。

「え?あの列車事故!?私と同じじゃない。でも死んでないの?」

リーナの問いに「リーナは、あの事故の犠牲になったのか。俺は最後尾に乗ってたから死んでないよ。勝手に殺すな」と、返すオルガ。

「えー!それって転移じゃない!」

「転移って、いうのか?」

「そう!その列車事故で私は死んじゃったから、生まれ変わりの転生。オルガ・・冬馬・・あー、どっちで呼んだらいいのよ!もう、オルガにする!オルガは、生きてるから転移よ!えっ?じゃあ本来のオルガは、どこへ行ったのよ!」

会いたかったはずの推しの行方が知れず、取り乱すリーナはオルガの肩を掴みブンブンと揺らす。

「ちょっと教えなさいよ!オルガの魂をどこへやったのよ!」

「知らないよ。俺だって、突然飛ばされてまだ混乱してるんだから・・彼女にも会えないし、軽いホームシックだぜ」

(嘘でしょ・・・あのオルガが異世界で一人彷徨ってるなんて大変じゃない。大丈夫かしら・・きっと涙を流してるわ)

突然、黙り込んだリーナにオルガが詰め寄る。

「リーナ!お前この世界が漫画の世界だと、言ったよな?それならどうすれば俺が戻れるのか知ってるんじゃないのか?」

「知らないわ。だって漫画には転生者とか転移者なんて、登場しなかったもの。それに魔法!魔法のまの字も出なかったのよ」

オルガは、リーナの言葉にうなだれる。

「まじかよ・・とにかくリーナのこの世界の知識は使えそうだから、俺に協力してもらう」

オルガの願いに、リーナは心底嫌そうな表情を浮かべる。

「えー!オルガをどこかへ追いやった人の手伝いなんて、イヤよ。私だって、この世界にやってきてまだ三日なんだから、自分のことで精一杯なのよ」

「そんなこと言うなって。同じ国の同じ事故にあった運命共同体だろ?」

「勝手に一緒にしないで。とにかくイヤなものはイヤよ」

リーナはそう吐き捨てると、今度こそオルガの前から逃げ出した。
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