〘完〙なぜかモブの私がイケメン王子に強引に迫られてます 〜転生したら推しのヒロインが不在でした〜

hanakuro

文字の大きさ
20 / 50

第20話 ちょっと整理するので、お待ちいただけますか?

しおりを挟む
最近、オルガの取り巻きの誹謗中傷は、リーナへの実害へと変わってきていた。教科書を捨てられる、迎えの馬車を勝手に帰らされるなど、様々だ。

しかしリーナはそれに屈することなく、今までどおり学園生活を送っていた。彼女の意地だった。弱ったところなど、見せてたまるかと、思っていた。そしてそんな彼女の想いが働きかけたのか、不思議な事が起こる。

それは廊下を歩いていたリーナの頭上から突然、水が降ってきた時に起こる。降ってきたそれが彼女をずぶ濡れにすることはなかった。何故なら、大量の水が頭上スレスレで重力へ逆らって横へ向かっていき、散ったのだ。

ザパァァッと水の音に驚き、見上げたリーナは目の前でモーセの十戒の海が割れるかの如く、左右に水が割れる様を目の当たりにした。その不思議な光景を見ている時、スカートのポケットがじんわり温かくなったことにリーナは気付く。恐る恐るポケットに手を入れて確認すると、そこには冬馬から貰った魔力のこもった石があった。

(もしかしてこの魔力が作用して助けてくれた?)

自分の身に起こった不思議な出来事にリーナが呆然と手の中の石を眺めていると、横から手首を掴む手が現れる。セドリックだ。

「待たせたな」

(いえ!待ってませんので、そのセリフは全くの間違いです!)

そう言いたかったが、最近ご無沙汰だった彼が突然姿を見せた事に不意をつかれ、声が出なかった。そして、そのまま手を引かれて歩き出す。リーナは、セドリックの手を振りほどくことが出来なかった。

(えーっと・・これはどういう状況かしら?)

しかしそれはレオナの登場によって、遮られる。

「リーナッ!」

心配そうな顔で走り寄ってくるレオナに、リーナは警戒する。この間まで嫉妬心丸出しだった彼女が、何事もなかったかのように振る舞うのに、違和感を抱かないほうがおかしい。

「大丈夫?」

「えーっと・・見てたの?」

「遠くで見えたから・・・」

リーナの胸のうちにある彼女への猜疑心さいぎしんが大きくなる。

(もしかして、レオナの仕業?どんな方法使ったか分からないけど、怪しく見えてくる)

そんな思考にセドリックの邪魔が入る。

「さあ、行こうか」

「どこへ行くんですか!?」

「リーナは、私が連れていきますので、殿下のお手を煩わせることはございません」

各々の主張が渋滞し、全く噛み合っていない。しかし、気にする様子のないセドリックは、リーナの手を掴む腕に力を入れると告げる。

「君を一番近くで守ると決めた」

「いえ、申し訳ないので、結構です」

「なるほど、そういうこと言うのか?」

そんなやり取りを目の前で見ていたレオナが、リーナの空いていた手を取ると、「行こう!」と引っ張る。まるで王子とレオナが、リーナを取り合っているかのような光景にリーナは居た堪れなくなる。

「とっ、とにかく大丈夫です!一人で戻れますからっ!」

リーナを腕を振りほどくと、一目散に駆け出した。

(とりあえず一度、状況を整理しよう。もうみんなして何なのよ~)

心の中で叫びながら、教室へと急ぐ。しかし教室へ戻れば、レオナが・・セドリックに絡まれた事で、また好奇の目が待っていることに気付く。それでは状況の整理どころではないと思ったリーナは、階段を上へと駆け上がった。行き着いた先の扉を開くと、そこは屋上だった。

ここなら誰もいないし、気付かれないはずだ。リーナは胸を撫で下ろすと、階段を駆け上がった事で乱れた息を深呼吸をして整える。

(レオナ・・あの子、何でセドリックから遠ざけようとしたんだろう。そんな事したら、彼から目をつけられそうなものなのに・・・それにセドリックよ。オルガが戻ってきて、私なんて放置してたじゃない。いきなり何なのよ)

『君を一番近くで守ると決めた』

リーナの脳裏についさっきセドリックに言われたセリフが蘇る。リーナは眉間にシワを寄せ、それを振り払うように頭を振った。

するとそこに「そんな顔は似合わないな」と声がした。いつもフイに現れるセドリックだ。声に驚き顔を上げたリーナは、足元がふらつくが、その身体は力強い腕に抱きかかえられる。リーナはそれを拒否しようと腕を伸ばすが、そのまま覆いかぶさるように抱きしめられる。

「やっと捕まえたぞ。さっきは邪魔が入ったが、もう離さない」

リーナの胸には、不安が押し寄せた。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。

皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」 そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。 前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。 父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。 使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。 え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……? その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……? あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ! 能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

モブ令嬢は脳筋が嫌い

斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

処理中です...