〘完〙なぜかモブの私がイケメン王子に強引に迫られてます 〜転生したら推しのヒロインが不在でした〜

hanakuro

文字の大きさ
28 / 50

後日談 冬馬ストーリー - Ⅰ

しおりを挟む
「ねぇ、冬馬。一体どうしちゃったの?」

アパート一室に見覚えのある顔が・・冬馬だ。お腹の大きな女性とくつろいでいる。

「えっ?何が?」

冬馬の反応に女性は大きなお腹をさすり「何がって・・ねえ・・パパが変でちゅよね~」と話しかける。

「うわぁ、香織もそんなこと言っちゃうわけ!?うっわぁ、すっげ~ショック~」

大袈裟に頭を抱える冬馬。そんな冬馬に香織と呼ばれた女性は「だってさぁ・・」と少し戸惑いを見せている。そんな香織に冬馬はニカッと人懐っこく笑った。

「も~、いいじゃん!家でも散々、親父たちに泣かれて大変だったんだぞ。香織は俺のこと癒やしてくれよ~」

「そんなにお義父さんたち泣いたの?」
 
「ああ、“突然すげ~ワガママになって子育て間違ったのかって悲観してたのに、突然戻ってきた~”って、大騒ぎして泣かれた」

「そっか・・お義母さんなんて、反抗期がなかったから、遅すぎる反抗期が来たのかしらなんて、めちゃくちゃ悩んでたよ。私、相談されちゃったもん」

香織の暴露に冬馬はまたしても大袈裟にに天を仰ぎ、目を押さえた。

「マジか~、あ~、全く覚えてないわ。そんなにヒドかったわけ?俺」

「そりゃあ、もう!聞きたい?」

「いや!やめとく!終わったことなんて、どうでもいい!これからよ、これから!香織とこの子と親父たちにいっぱい笑ってもらうんだからな!あっ、それよりひとつ相談があんだけど・・」

どうやら冬馬と入れ替わっていたオルガがワガママし放題で、周囲を振り回していたらしい。香織に至ってはオルガに「はっ!?誰よ、この女」と暴言を吐かれたそうだ。

しかし無事に本当の冬馬が戻ってきて元通りになると、いま香織が話していたような展開になった。香織に対する暴言を聞いた冬馬は、彼女に土下座までした。しかし、大好きな彼が戻ってきた安堵で香織が怒ることはなかった。

冬馬は入れ替わっていた時の自分は、覚えてない設定で押し通すことにし、転移のことは胸に仕舞い込むことに決めた。

そして冬馬は、香織にある提案をする。子供の名前に“梨”の字を入れたいと・・・

「ねえ、それって誰の“梨”?過去カノとか?」

「違うよ。俺の恩人」

「恩人?そんな人いたの?」

「うん、すっげー恩人。忘れたくても忘れられない人」

冬馬の返しに香織は口を尖らせ「何それ。なんか悔しい。イヤだ」と拗ねた。そんな香織に冬馬は、彼女の肩を掴み目線を合わせる。

「怒るなよ。もう絶対に会えない人だからさ。その人がいなかったら、俺は、こうして香織と話すこともできなかったし、これから生まれてくるこの子にも会えなかったんだ」

そう言って香織の大きなお腹をさする冬馬に、彼女は小さくため息をついた。そして苦笑する。

「それって、すごく気になる言い方。でも、どうせどんな恩人か教えてくれないんでしょ?いいよ、わかってる。冬馬がそう言うなら、私にとってもこの子にとっても恩人だもんね」

「そうだよ。だからいいよな。子供の名前に俺の名前じゃなくて“梨”入れても・・・」

冬馬の提案に香織は「仕方ないよねぇ。パパがそう言うならねぇ」とお腹に話しかけた。どうやら彼の願いを、聞き入れたようだ。

「ねえ、この子どっちだと思う?」

香織の問いに冬馬は、う~んと思案する。そして彼の答えは、香織の想いと重なった。

「そりゃあ・・双子だろ!」

「あ~、やっぱり!冬馬なら、そう言うと思った!そうしたら、二つ名前考えないといけないね」

香織の言葉に冬馬が、腕を組んで考え始める。しかし、すぐに閃いたようだ。

「二つかぁ。俺たちの親としての初仕事ってことか・・・梨に香織の織をつけて“りお”って、どお?これならどっちでもイケんじゃん!」

「もぉ!“双子だぁ!”って、いま言ったばっかりじゃない。二つ考えるんだよ!本当に双子だったら、どうするのよ」

呆れ顔で香織が言うと、すぐに彼の頭に何か浮かんだらしい。ニカッと笑い、香織に言った。

「あーそっかっ!・・・よし!じゃぁ“りか”だ!梨に香織の香をつけて、梨香!男なら梨織!女なら梨香!」

「冬馬にしては、マトモ・・でも男の子同士とかだったら、どうするの?それに本当に冬馬の字入ってないよ。いいの?」

「いいんだって!急に俺が言い出したんだし、俺の恩人と香織の名前が入ってれば、最強じゃん!それにもし同性だったら、その時はまた考えよう!」

「冬馬がそれでいいなら私はいいけど・・ねえ、お義父さんたち大丈夫かな。“名前は画数が・・”とか気にしてたっぽいけど・・・」

「大丈夫だって!ちゃんと話せば、分かってくれる人達だって、香織も知ってるだろ?」

冬馬は、そう言って笑った。その眩しい笑顔は、部屋中を幸せで溢れさせる。

「うん・・あと一ヶ月でこの子と会えるんだね。すっごく楽しみ」

「俺も!お~い、聞こえてるか~?パパとママが待ってるぞ~。安心して出てこいよ~」

冬馬がもうすぐ会える我が子に優しく語りかけると、部屋は幸せな空気と笑い声に包まれたのだった。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。

皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」 そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。 前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。 父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。 使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。 え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……? その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……? あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ! 能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

モブ令嬢は脳筋が嫌い

斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。

処理中です...