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年の迎え方
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はあ、と吐き出す息が白い。
見上げた空には年越しの光飾りが煌めいている。
魔石を中心に閉じ込め、様々な色がふわふわと町中に浮かぶのは、まるでイルミネーションのようだ。
前世の年越し風景とはだいぶ違うな、とリリーはいつも思って笑う。
これじゃあまるでクリスマスイルミネーションだ。この世界のクリスマスは聖人の誕生を祝うものじゃなく、古の聖人が導いた平和を讃えるものだ。
クリスマスツリーもサンタクロースもいないけれど、ご馳走を食べて大切な人にプレゼントを贈ることは変わらない。
ただ、年末が近い以上飾りつけなどはそちらに優先されるのだ。
この国での新年は、城の一部が一般公開されたり王族を拝見する機会があったりと、それはそれはお祭り騒ぎになるのだから。
それに伴い主人のレオナールも、見習いとはいえ魔法使いになったジルも、二人と契約している精霊たちもみな大忙し。
そのためリリーは今年一人での年越しの予定だった。
『僕たちがいないから、実家に帰ったりしてもいいんだよ?』
そう言ってくれたレオナールに首を振り、そのかわりにと頼んだのは。
「リリー」
「レオナール様!?」
聞こえるはずがなかった声に驚いて顔を上げると、そこにはマントを身につけたレオナールが立っていた。
「どうしてここに? 新年の祭典の準備中では……」
「無理を言って抜けてきた。一人はやっぱりあれだし、なんであんな事を言われたのかわからなかったから気になって」
そう言ってレオナールはリリーを、正確にはリリーが持っていたものを見る。
「なんで、箒?」
そう、リリーは現在箒を持ち、開け放たれた玄関に立っていた。
そしてそれこそがリリーが一人でもこの家にいると決めた理由だった。
「古い年をこれで吐き出すんです」
「古い、年?」
「はい。そうして新しい年をお迎えする、まあおまじないのような風習ですね」
これはリリーが昔派遣された家で教わった、遠い異国の風習。
古い年を箒で掃き出し、新しい良き年を呼び込むのだという。
除夜の鐘も、新年のお参りもないこの国だからこそ、ささやかでも何か幸運なおまじないを。そう考えて、リリーは家にかけられた守護の魔法を玄関の外まで一時的に伸ばしてほしいと頼んでいたのだ。
「来年もみんな元気でいい年でありますように」
「なるほどね、リリー」
箒でササッと掃いていると、遠くで鐘が鳴る。新年を迎えた始まりの鐘だ。
「新年おめでとう、今年もよろしくね」
「はい、レオナール様。こちらこそよろしくお願いします」
ささやかな、二人きりの挨拶をかわし、レオナールはすぐにまた仕事へと戻ると言った。
「帰ってきたら、温かいスープを用意してお待ちしてますね」
「ん、楽しみにしてる」
笑いあって、見送って。
わずかな時間でも年の節目に側にいてくれたことを感謝しつつ、リリーはそっと玄関を閉じた。
見上げた空には年越しの光飾りが煌めいている。
魔石を中心に閉じ込め、様々な色がふわふわと町中に浮かぶのは、まるでイルミネーションのようだ。
前世の年越し風景とはだいぶ違うな、とリリーはいつも思って笑う。
これじゃあまるでクリスマスイルミネーションだ。この世界のクリスマスは聖人の誕生を祝うものじゃなく、古の聖人が導いた平和を讃えるものだ。
クリスマスツリーもサンタクロースもいないけれど、ご馳走を食べて大切な人にプレゼントを贈ることは変わらない。
ただ、年末が近い以上飾りつけなどはそちらに優先されるのだ。
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それに伴い主人のレオナールも、見習いとはいえ魔法使いになったジルも、二人と契約している精霊たちもみな大忙し。
そのためリリーは今年一人での年越しの予定だった。
『僕たちがいないから、実家に帰ったりしてもいいんだよ?』
そう言ってくれたレオナールに首を振り、そのかわりにと頼んだのは。
「リリー」
「レオナール様!?」
聞こえるはずがなかった声に驚いて顔を上げると、そこにはマントを身につけたレオナールが立っていた。
「どうしてここに? 新年の祭典の準備中では……」
「無理を言って抜けてきた。一人はやっぱりあれだし、なんであんな事を言われたのかわからなかったから気になって」
そう言ってレオナールはリリーを、正確にはリリーが持っていたものを見る。
「なんで、箒?」
そう、リリーは現在箒を持ち、開け放たれた玄関に立っていた。
そしてそれこそがリリーが一人でもこの家にいると決めた理由だった。
「古い年をこれで吐き出すんです」
「古い、年?」
「はい。そうして新しい年をお迎えする、まあおまじないのような風習ですね」
これはリリーが昔派遣された家で教わった、遠い異国の風習。
古い年を箒で掃き出し、新しい良き年を呼び込むのだという。
除夜の鐘も、新年のお参りもないこの国だからこそ、ささやかでも何か幸運なおまじないを。そう考えて、リリーは家にかけられた守護の魔法を玄関の外まで一時的に伸ばしてほしいと頼んでいたのだ。
「来年もみんな元気でいい年でありますように」
「なるほどね、リリー」
箒でササッと掃いていると、遠くで鐘が鳴る。新年を迎えた始まりの鐘だ。
「新年おめでとう、今年もよろしくね」
「はい、レオナール様。こちらこそよろしくお願いします」
ささやかな、二人きりの挨拶をかわし、レオナールはすぐにまた仕事へと戻ると言った。
「帰ってきたら、温かいスープを用意してお待ちしてますね」
「ん、楽しみにしてる」
笑いあって、見送って。
わずかな時間でも年の節目に側にいてくれたことを感謝しつつ、リリーはそっと玄関を閉じた。
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