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1巻
1-12
しおりを挟む ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「……なぜこのようなことに」
私、マーレフィスは何度言ったかわからない台詞を述べ、奥歯を噛みしめました。
フェンリルを退治してしばらくした後、私にポラン教会への出頭命令が下されました。
その理由は、所属している冒険者パーティ「炎の竜牙」の度重なる失態とゴルノヴァの横暴な振る舞いが、私への評価と繋がり、ポラン教会の評判を著しく削るとの判断がなされたからです。
もっとも教会の司祭は、私もゴルノヴァと一緒になって横暴な振る舞いをしており、これ以上教会として庇うことができない、というわけのわからないことを仰っていましたが。
たしかに、王都のレストランに何度か赴き、まるで豚の餌としか思えないような料理を振る舞われ続けた結果、雷の魔法を放ったことが二度ほどありますが、それは致し方ないことでしょう。むしろ、最初はこれも神が課した試練なのだと思って粗末な糧を食べていた私には、寛容な心があったと思うべきです。
そんな私に、司教はこう続けました。
「それだけではありません、マーレフィス修道女、今月分の奉納金が届いておりません」
奉納金……ポラン教会に所属する冒険者は教会に毎年定額のお金を支払わなければならないという、愚かな決まりのことです。
私が低俗な冒険者に身をやつし、教会の奇跡を行使することで教会の評判を高めているというのに、なぜお金まで払わなければいけないのか?
理解に苦しみます。
聖典にもあるでしょう――『汝、金に心を奪われることなかれ』と。
それなのにお金お金と、教会はどうしてこうなってしまったのでしょう?
私はそう説いたのですが、司祭はため息をつきました。
「まったく……三年前に申したはずです。これ以上、一度でも奉納金を支払わなかった場合、破門も致し方ないと」
「そう言われから三年、私は一度も奉納金を支払いませんでしたが、あなた方はそれ以上何も言ってこなかったではりませんか。それはあなた方が私の修道女としての実力を認めていたからでしょう?」
「…………聞いていないのですか?」
司祭は本当に不思議そうな顔を浮かべて言った。
「マーレフィス修道女――あなたの奉納金は三年前より毎月、しっかり支払われております。クルトと仰る少年が用立ててね」
「クルが……?」
たしかにあの雑用係は、私たちが冒険者として活動している時、お金が必要な状況になるとどこからかお金を用立てていました。
ただ、クルがいなくなるのは働いて稼ぐにはかなり短い時間でした。なのでおそらく「炎の竜牙」の名を使い、商人やギルドにお金を出すよう言って回っていたのでしょう。私たちの名前を使ってお金を稼いでいるのだから、別にクルに感謝することはないとゴルノヴァと話していたことがあります。
しかし、まさか私の知らないところで奉納金を支払っていたなんて。
「余計なことを、そのようなお金があるのならもっと他に使い道があるでしょうに」
そんなお金があるのなら、私に渡せばよいのです。
私の呟きに、またしても司祭がため息をつきました。
「あなたに持たせれば、ビンテージワインに消えることがわかっていたのでしょう」
「それは悪いことではありません。聖典にも書かれています。主はパンとワインの作り方を人に教えたと。ワインを飲むことは主を知ることに繋がります」
「御託は結構です、マーレフィス修道女――いえ、元修道女」
「元?」
「あなたの破門状が届いています。不服があれば――本来はありえないことですが、トリスタン司教様が受け付けるそうです。あなたが悔い改め、再び修道女になれるように祈っていますよ、マーレフィス元修道女」
そう言って司祭は私に破門状を叩きつけました。
しかし、私は絶望などしていませんでした。
なぜなら、この破門状に不服がある場合、トリスタン司教様が自ら話を聞いてくださるというのですから。
この国のトップであるトリスタン様が自らの時間を使って私の話を聞く、それはつまり、私という人間にそれだけの価値があるということなのです。
これは私にとって悪い話ではありません。むしろ出世の機会となるはずです。
そうなったら、あの司祭、どうしてくれましょうか?
想像をするだけで笑みが零れます。
数日後、私はトリスタン司教様と面会を果たしました。
ポラン教会ホムーロス王都大聖堂。関係者の他は、貴族と王族、年間金貨百枚以上の寄付をした者だけが入ることを許された場所です。
本来ならば修道女である私でも許されないのですが、私は堂々と入っていきます。
そして、案内されるがままに司教の間に辿り着き、私を案内してくださった方が扉をノックすると、男性の声が聞こえてきました。
「入りたまえ」
「――――っ!?」
扉が開いた瞬間、私は思わず言葉を失ってしまいました。
なぜなら、その部屋は金でできていたからです。
床も壁も天井も、そして机までもが金でできています。
その中で私を待っていたのは、金色のローブを纏った男――トリスタン司教様でした。
七十三歳というお年を感じさせないほど若々しい姿のトリスタン司教様が、金色の歯を見せるように笑みを浮かべて佇んでいます。
「マーレフィス元修道女、入りなさい」
「は、はい」
言われるがままに私が中に入ると、司教様が尋ねてきました。
「私の部屋はどうかね?」
「とても素晴らしいと思います」
私の返答に、トリスタン司教様は笑みを深くします。
「そうか、そう言ってもらえると助かる。教会の中にもこの部屋の素晴らしさを理解せぬものは多い。金は主が作り出した至高の金属のひとつ。その金属で部屋を作ることで啓示を授かろうとする私の心を知らず、悪趣味だの成金主義だのとのたまうのだ」
「それは愚かとしか申しようがございません。この部屋こそ、私にとっての理想が詰まっています」
私は本心からこう言いました。
この部屋の神々しい光に、私は今も当てられているのです。
「そうか、理想か。君とは気が合いそうだ。マーレフィス元修道女――酒はたしなむかね?」
「はい、ワインを」
「そうか、パンとワインは、主が人々に作り方を教えた唯一の食べ物だからな」
私と同じことを言って、トリスタン司教様は金色の杯にワインを注ぎます。
そのワインの銘柄を見て私は目を見開きました。
グルマク帝国にあるノースブリッジ地方のワインです。ワインの名産地ですが、グルマク帝国は教会とは敵対関係にあり、教会の関係者の間では飲むことが禁止されています。
しかも、その命令を下したのは、トリスタン司教様だったはずです。
「ほう、その表情を見ると、このワインの価値がわかるのか。ワインをたしなむというのは嘘ではないらしい」
「は……はい。司教様、そのワインはやはり」
「そう、グルマク帝国のワインだ。異端者が作ったワインではあるが、味は美味だからな。愛飲させていただいている。私は他人と同じ物を口にするのが嫌いでね、私以外の教会の人間がこのワインを飲まないようにするためにこのワインを飲むことを禁じたのだよ……マーレフィス元修道女、飲むかね?」
「いえ、司教様の心を害してまで飲もうとは――」
「許可する。飲みたまえ、マーレフィス元修道女。否、マーレフィス次期司祭」
「――っ!?」
司祭?
今、トリスタン司教様は私のことを司祭と呼びました?
「私は君のことを高く評価している。冒険者としての活躍、調べさせてもらった。このワインは私が君を評価する証だ。君のつまらない罪は、ちょっとした軽い仕事を受けてもらうことで帳消しにしよう。そうすれば君は司祭の仲間入りだ」
「――ありがとうございます」
やはり、私は間違っておりませんでした。
私こそが正しいポラン教会の信者だったのです。
私はそう確信し、司教様からワインが入った杯を受け取り、そのワインを飲みました。
初めて飲むワインで少し不思議な味がしましたが、高揚する気持ちがそう思わせるのでしょう。
「それでマーレフィス次期司祭、早速、君に仕事を頼む」
「はい、何でも仰ってくださいませ」
何でも言ってほしい――クルの口癖でしたわね。
でも、もう私はクルとは別の世界の人間になるのです。そうですね、もしクルに再会することがあれば、彼を私の専属料理人として雇ってさしあげましょう。
「そうか、何でもか。それなら命令する」
トリスタン司教は笑みを浮かべて言いました。
「リーゼロッテ第三王女を暗殺する手助けをしろ」
――え?
今、王女の暗殺と仰いました?
何かの聞き間違いかと思った時です。急に胸が苦しくなりました。
一体、一体これは。
「そうそう、言い忘れていた。私がこのワインを飲むことを禁じたのはもう一つ大きな理由がある。飲んだことがないワインであれば、異物が入っていたとしても、こういう味なのだと勘違いしてそのまま飲み干してしまうであろう? たとえ毒物が入っていたとしても」
……毒?
トリスタン司教様――この男、私に毒を盛ったと言いましたか?
この苦しみは毒によるもの?
「安心したまえ、マーレフィス元修道女――いや、マーレフィス次期司祭だったかな? どちらでもよい、マーレフィス。君が飲んだのは、毒は毒でも呪術による呪毒、体を蝕み続けるが今すぐ死に至るものではない。ただ、水以外の何も食べられなくなって、やがて飢えが限界に達した時に、死に至るというものだ。だが、その前に君が仕事を成し遂げれば、その苦しみから解放し、司祭の地位を約束しよう」
「――――」
それが本当なのか嘘なのか、私にはわかりません。
すべてが終わったとしても、私が彼にとって有能な手駒であれば手元に残し、少しでも反抗する可能性があると思えば殺されるのでしょう。
ならば――
私は痛みに耐えながら、その場に跪きました。
「司教様のためにこの命すべてを使います」
従順な犬を演じる――私はこんなところで死んでいい人間ではありません。
「ははは、そうか、そうか。私のために命を使うか。よろしい、使ってやろう。その今にも踏み潰したくなるような小さき命でも私の役に立つのならば立ってみせよ、マーレフィス次期司祭」
「はい」
耐える、耐える、耐える。
必ず耐えてみせる。
その後私はリーゼロッテ王女がいるという辺境町へと行き、かつてよりこの地に潜伏しているトリスタン司教様の手の者の家の中に潜伏しました。
その間も幾度か、空腹に耐えかねてパンを買って食べました。
「うぉえぇぇぇぇぇ――」
しかし、何の変哲のないパンですら、呪いを受けた私の胃は受け付けません。すべて胃に達すると同時に逆流します。
血管に管を通して直接栄養を流し込むという、近年工房で開発された栄養補給法のお陰で私の命はなんとか繋がっていました。
「愚かな――同じ過ちを何度繰り返せば気が済むのだ」
黒いローブを纏った名も明かさぬ呪術師が、私を蔑むような目で見てきました。
「あなたに言われたくありませんわ。まだ終わらないのですか?」
「もうすぐ終わる――まったく、トリスタン司教様も慎重なお方だ。前回はどういうわけか姫の呪術が解かれたが、同じ過ちは繰り返さぬというのに。今回の事件が失敗した時の保険など用意なさって」
男はそう言って、呪術の魔法陣を完成させた。
「まぁ、いい。とっとと片付けてしまおう。第三王女の命もこれでおしまいだ」
そう言い放った直後――男の体は虹色に光輝いたのでした。
「「え?」」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
この町の、この工房での生活が始まり、もう三週間目になっていた。
私、ユーリシアが設置した呪い避けの護符をクルトが破壊して以来、何ひとつ大きな問題は起きていない。
リーゼは健康そのもので、今もクルトと一緒に大浴場の掃除に勤しんでいる。
「サクラ」の三人は、この町の冒険者ギルドの依頼でトロール退治に赴いていた。これまでの彼らだったら、筋力と再生力の強いトロールは手に余る相手だっただろうが、彼らはここ一週間の間に目に見える速度で成長していった。もしかしてとハロワに適性検査に行かせたら、それぞれ得意分野の適性がひとつ上がっていた。
おそらく、クルトの食事がなんらかの作用をもたらしたのだろう。
私も適性ランクが上がりはしていないものの、剣の切れ味が増した気がしている。
そして、工房としての仕事はまだほとんどなく、私がやることといえば掃除くらいのものだった。
「クルト、地下倉庫の整理は終わったよ」
地下倉庫にはまだほとんど物資は揃っていないのだけれども、とりあえずクルトが作った魔法晶石とミスリル、オリハルコンなどを保管している。
本来は王都のミミコの店に置いておくつもりだったのだが、彼女はリーゼを狙う犯人捜しのためにほとんど店にいないので、倉庫に置いておくのは危険だからという判断でこちらに置いている。
でもそんなものがなんで倉庫にあるのかとクルトに説明するのが面倒なので、倉庫の一室の整理は私の仕事と言い聞かせている。私の私物もあって誰にも触らせたくないって言ったら、素直に応じてくれた。
こうなったクルトは、たとえサキュバスに誘惑されても、倉庫の中を覗くことはないだろう。
「いつもありがとうございます、ユーリシアさん。僕たちもそろそろ掃除が終わるので、三人でお茶にしましょうか」
クルトの提案で私たちは食堂でお茶をすることになった。
その間も、私はリーゼの体に変化がない理由を考える。
考えられるのは三つ。
一つ目。まだ敵がリーゼの居場所に気付いていない。
二つ目。敵はリーゼの居場所に気付いているが実行に移せていない。
三つ目。すでに呪術が発動しているが、クルトの作る料理のお陰でそのたびに呪いが中和されている。
……三つ目を考慮に入れるのは最もバカバカしい話だけれども、しかしこれが一番可能性が高そうでイヤになる。
私がため息をつくと、クルトが不安そうに尋ねてきた。
「あれ? ユーリシアさん。ケーキは嫌いでしたか?」
「あ、いや、うん。甘い物は好きだよ」
「そうですか、よかったです。おかわりもありますからね」
クルトはそう言って私の前にケーキと紅茶を置いてくれた。
私はフォークでケーキの端を切り、口に運ぶ。
だいぶ慣れたとはいえ、涙が出そうになるくらいに美味しい。
最初の頃は、クルトの料理を食べるたびに、みんな揃ってあまりの美味しさに食後は動くことすらできなかったからなぁ。
クルトの料理ばかり食べていたら、そのうちそれ以外の料理が食べられなくなりそうで怖い。
クルトが前にいた「炎の竜牙」でリーダーをしていたゴルノヴァという男も、料理が原因でトラブルを起こしたと聞くから注意しないとね。
それにしても――
「今日のケーキ、美味しいんだけど、いつもと何か違う気がするな」
「あ、わかりますか? 実は米粉を使ったケーキに挑戦してみたんです」
「米粉? 小麦粉じゃないのか?」
へぇ、米でもこんな風にケーキが作れるのか、知らなかったなぁ。
もう一口食べてみる。そうか、米粉にも甘みがあるから砂糖を控えめにしているのか。
私は納得し、食べ進めた。
「とても美味しいです、クルト様。お米と言えば、クルト様に作っていただいたおかゆもとても美味でしたわ。今度呪いを受けた時は、また是非作ってくださいね」
「そう言ってもらえると嬉しいです。あ、でももう呪いを受ける心配はないと思いますよ?」
呪いを受ける心配はない?
それってどういうことだ?
やっぱり料理の中に呪いを中和する何かが?
「クルト様、私が呪いを受ける心配がないってどういうことですか?」
「はい、この工房の敷地に結界を敷いているんです」
「結界っ!?」
私は立ち上がった。その衝撃で、テーブルの上に置いたフォークが音を立てて落ちる。
「ユーリシアさん、新しいフォークを用意しますね」
「あ、うん、ありがとう」
クルトが洗ってあるフォークを私に手渡してくれる。
「ってそうじゃなくて、クルト。呪い避けの結界を作るのは難しいって言っていなかったか?」
「はい、言いました」
「でも、ここに呪い避けの結界を敷いたって言ったよな?」
「言ってませんよ?」
あれ? 言っていない。
そうか、そうだよな。
うん、私の聞き間違いだったのか。
ダメだな、私。呪いのことで頭がいっぱいになっているようだ。
首を横に振っていると、クルトが言葉を続けた。
「この屋敷全体が呪い返しの結界の役割を果たしているので、この中で呪い避けの結界を作ることができないんです」
「……え? 呪い返しの結界?」
「はい、呪いを跳ね返す結界です。あ、でも流石にそのまま跳ね返しちゃったら、間違えて呪いをかけちゃった人に申し訳ないので、ちょっとだけ細工をしていますけどね」
間違えて呪いをかけるって、そんな郵便物の投函じゃあるまいし。
……呪い返し……そうか、呪い返しかぁ。
私は新しいフォークで、ケーキの上に載っていたシロップ漬けのパパモモを食べた。
あぁ、甘くて脳に糖分が行き渡るなぁ。ガンバレ、私の脳細胞。
事態が動いたのは、奇しくも私が呪い返しの結界の存在を知ったその日の夜のことだった。
「――それで、これがその呪術師ってこと?」
町に潜伏していたミミコとオフィリアさんに呼び出された私が見たのは、とてもではないがクルトには見せられないモノだった。
それは体中から眩い光を放っている男の遺体だ。だが、その顔はパンパンに腫れあがり、もはや人間かどうか区別することすら難しい。
「こんな状態だから、身元を調べるのに苦労したよ。この男は指名手配中の呪術師、フィレオ・フィッシャーノ。呪術の適性ランクはSランク、つまりは超がつくほど名うての呪術師で、プロの殺し屋なの」
「その凄腕の男が、簡単に呪い返しされて体中が光り出したってわけね。それでバレて服毒自殺?」
説明してくれたミミコにそう聞くと、彼女は首を横に振った。
「ううん、毒は首の後ろから針を刺されて注入されている。たぶん呪い返しされてこんな目立つ状態になったから、仲間が殺して逃げた可能性が高いよ」
「毒はかなり強力なものだが、製法は広く知られていて素材の入手経路も多様にある。ここから犯人の目星をつけるのは難しいな」
そこまで言ったオフィリアさんはため息をつき、私に尋ねた。
「それで、この光はいつ消えるのだ?」
「光度は呪いの強さに比例するけど、その期間は等しく一日だって言ってましたよ」
「なら、今夜はずっとこの光は消えないというわけか……死んでも解けない呪いとか、いやはや、彼の工房を見た時も思ったが、彼がこの事件に協力したら今日中に事件を解決できるのではないか?」
「それは勘弁してください、ここまで巻き込んでおいて言うのもなんですけど、クルトにはこういうヤバイ話にあまり踏み込んでほしくないんで」
私がそう言うと、オフィリアさんはふっと微笑んだ。
「そうだね――私もクルトには闇の世界ではなく、ぜひパン屋でも開いてほしい。彼が作ってくれるパンは冷めても美味しいからな」
朝食で余ったパンは、ミミコの潜伏先に持っていっているのだ。
そして、そのパンはオフィリアさんの口にも渡り、高い評価を得ていた。
「まぁ、実行犯もわかったんだし、あとは私のところで調べておくね。工房の周りは私のところの人間が警備をしておくから、工房から出ないように伝えておいて」
ミミコがそう言った時だった。
「……なぜこのようなことに」
私、マーレフィスは何度言ったかわからない台詞を述べ、奥歯を噛みしめました。
フェンリルを退治してしばらくした後、私にポラン教会への出頭命令が下されました。
その理由は、所属している冒険者パーティ「炎の竜牙」の度重なる失態とゴルノヴァの横暴な振る舞いが、私への評価と繋がり、ポラン教会の評判を著しく削るとの判断がなされたからです。
もっとも教会の司祭は、私もゴルノヴァと一緒になって横暴な振る舞いをしており、これ以上教会として庇うことができない、というわけのわからないことを仰っていましたが。
たしかに、王都のレストランに何度か赴き、まるで豚の餌としか思えないような料理を振る舞われ続けた結果、雷の魔法を放ったことが二度ほどありますが、それは致し方ないことでしょう。むしろ、最初はこれも神が課した試練なのだと思って粗末な糧を食べていた私には、寛容な心があったと思うべきです。
そんな私に、司教はこう続けました。
「それだけではありません、マーレフィス修道女、今月分の奉納金が届いておりません」
奉納金……ポラン教会に所属する冒険者は教会に毎年定額のお金を支払わなければならないという、愚かな決まりのことです。
私が低俗な冒険者に身をやつし、教会の奇跡を行使することで教会の評判を高めているというのに、なぜお金まで払わなければいけないのか?
理解に苦しみます。
聖典にもあるでしょう――『汝、金に心を奪われることなかれ』と。
それなのにお金お金と、教会はどうしてこうなってしまったのでしょう?
私はそう説いたのですが、司祭はため息をつきました。
「まったく……三年前に申したはずです。これ以上、一度でも奉納金を支払わなかった場合、破門も致し方ないと」
「そう言われから三年、私は一度も奉納金を支払いませんでしたが、あなた方はそれ以上何も言ってこなかったではりませんか。それはあなた方が私の修道女としての実力を認めていたからでしょう?」
「…………聞いていないのですか?」
司祭は本当に不思議そうな顔を浮かべて言った。
「マーレフィス修道女――あなたの奉納金は三年前より毎月、しっかり支払われております。クルトと仰る少年が用立ててね」
「クルが……?」
たしかにあの雑用係は、私たちが冒険者として活動している時、お金が必要な状況になるとどこからかお金を用立てていました。
ただ、クルがいなくなるのは働いて稼ぐにはかなり短い時間でした。なのでおそらく「炎の竜牙」の名を使い、商人やギルドにお金を出すよう言って回っていたのでしょう。私たちの名前を使ってお金を稼いでいるのだから、別にクルに感謝することはないとゴルノヴァと話していたことがあります。
しかし、まさか私の知らないところで奉納金を支払っていたなんて。
「余計なことを、そのようなお金があるのならもっと他に使い道があるでしょうに」
そんなお金があるのなら、私に渡せばよいのです。
私の呟きに、またしても司祭がため息をつきました。
「あなたに持たせれば、ビンテージワインに消えることがわかっていたのでしょう」
「それは悪いことではありません。聖典にも書かれています。主はパンとワインの作り方を人に教えたと。ワインを飲むことは主を知ることに繋がります」
「御託は結構です、マーレフィス修道女――いえ、元修道女」
「元?」
「あなたの破門状が届いています。不服があれば――本来はありえないことですが、トリスタン司教様が受け付けるそうです。あなたが悔い改め、再び修道女になれるように祈っていますよ、マーレフィス元修道女」
そう言って司祭は私に破門状を叩きつけました。
しかし、私は絶望などしていませんでした。
なぜなら、この破門状に不服がある場合、トリスタン司教様が自ら話を聞いてくださるというのですから。
この国のトップであるトリスタン様が自らの時間を使って私の話を聞く、それはつまり、私という人間にそれだけの価値があるということなのです。
これは私にとって悪い話ではありません。むしろ出世の機会となるはずです。
そうなったら、あの司祭、どうしてくれましょうか?
想像をするだけで笑みが零れます。
数日後、私はトリスタン司教様と面会を果たしました。
ポラン教会ホムーロス王都大聖堂。関係者の他は、貴族と王族、年間金貨百枚以上の寄付をした者だけが入ることを許された場所です。
本来ならば修道女である私でも許されないのですが、私は堂々と入っていきます。
そして、案内されるがままに司教の間に辿り着き、私を案内してくださった方が扉をノックすると、男性の声が聞こえてきました。
「入りたまえ」
「――――っ!?」
扉が開いた瞬間、私は思わず言葉を失ってしまいました。
なぜなら、その部屋は金でできていたからです。
床も壁も天井も、そして机までもが金でできています。
その中で私を待っていたのは、金色のローブを纏った男――トリスタン司教様でした。
七十三歳というお年を感じさせないほど若々しい姿のトリスタン司教様が、金色の歯を見せるように笑みを浮かべて佇んでいます。
「マーレフィス元修道女、入りなさい」
「は、はい」
言われるがままに私が中に入ると、司教様が尋ねてきました。
「私の部屋はどうかね?」
「とても素晴らしいと思います」
私の返答に、トリスタン司教様は笑みを深くします。
「そうか、そう言ってもらえると助かる。教会の中にもこの部屋の素晴らしさを理解せぬものは多い。金は主が作り出した至高の金属のひとつ。その金属で部屋を作ることで啓示を授かろうとする私の心を知らず、悪趣味だの成金主義だのとのたまうのだ」
「それは愚かとしか申しようがございません。この部屋こそ、私にとっての理想が詰まっています」
私は本心からこう言いました。
この部屋の神々しい光に、私は今も当てられているのです。
「そうか、理想か。君とは気が合いそうだ。マーレフィス元修道女――酒はたしなむかね?」
「はい、ワインを」
「そうか、パンとワインは、主が人々に作り方を教えた唯一の食べ物だからな」
私と同じことを言って、トリスタン司教様は金色の杯にワインを注ぎます。
そのワインの銘柄を見て私は目を見開きました。
グルマク帝国にあるノースブリッジ地方のワインです。ワインの名産地ですが、グルマク帝国は教会とは敵対関係にあり、教会の関係者の間では飲むことが禁止されています。
しかも、その命令を下したのは、トリスタン司教様だったはずです。
「ほう、その表情を見ると、このワインの価値がわかるのか。ワインをたしなむというのは嘘ではないらしい」
「は……はい。司教様、そのワインはやはり」
「そう、グルマク帝国のワインだ。異端者が作ったワインではあるが、味は美味だからな。愛飲させていただいている。私は他人と同じ物を口にするのが嫌いでね、私以外の教会の人間がこのワインを飲まないようにするためにこのワインを飲むことを禁じたのだよ……マーレフィス元修道女、飲むかね?」
「いえ、司教様の心を害してまで飲もうとは――」
「許可する。飲みたまえ、マーレフィス元修道女。否、マーレフィス次期司祭」
「――っ!?」
司祭?
今、トリスタン司教様は私のことを司祭と呼びました?
「私は君のことを高く評価している。冒険者としての活躍、調べさせてもらった。このワインは私が君を評価する証だ。君のつまらない罪は、ちょっとした軽い仕事を受けてもらうことで帳消しにしよう。そうすれば君は司祭の仲間入りだ」
「――ありがとうございます」
やはり、私は間違っておりませんでした。
私こそが正しいポラン教会の信者だったのです。
私はそう確信し、司教様からワインが入った杯を受け取り、そのワインを飲みました。
初めて飲むワインで少し不思議な味がしましたが、高揚する気持ちがそう思わせるのでしょう。
「それでマーレフィス次期司祭、早速、君に仕事を頼む」
「はい、何でも仰ってくださいませ」
何でも言ってほしい――クルの口癖でしたわね。
でも、もう私はクルとは別の世界の人間になるのです。そうですね、もしクルに再会することがあれば、彼を私の専属料理人として雇ってさしあげましょう。
「そうか、何でもか。それなら命令する」
トリスタン司教は笑みを浮かべて言いました。
「リーゼロッテ第三王女を暗殺する手助けをしろ」
――え?
今、王女の暗殺と仰いました?
何かの聞き間違いかと思った時です。急に胸が苦しくなりました。
一体、一体これは。
「そうそう、言い忘れていた。私がこのワインを飲むことを禁じたのはもう一つ大きな理由がある。飲んだことがないワインであれば、異物が入っていたとしても、こういう味なのだと勘違いしてそのまま飲み干してしまうであろう? たとえ毒物が入っていたとしても」
……毒?
トリスタン司教様――この男、私に毒を盛ったと言いましたか?
この苦しみは毒によるもの?
「安心したまえ、マーレフィス元修道女――いや、マーレフィス次期司祭だったかな? どちらでもよい、マーレフィス。君が飲んだのは、毒は毒でも呪術による呪毒、体を蝕み続けるが今すぐ死に至るものではない。ただ、水以外の何も食べられなくなって、やがて飢えが限界に達した時に、死に至るというものだ。だが、その前に君が仕事を成し遂げれば、その苦しみから解放し、司祭の地位を約束しよう」
「――――」
それが本当なのか嘘なのか、私にはわかりません。
すべてが終わったとしても、私が彼にとって有能な手駒であれば手元に残し、少しでも反抗する可能性があると思えば殺されるのでしょう。
ならば――
私は痛みに耐えながら、その場に跪きました。
「司教様のためにこの命すべてを使います」
従順な犬を演じる――私はこんなところで死んでいい人間ではありません。
「ははは、そうか、そうか。私のために命を使うか。よろしい、使ってやろう。その今にも踏み潰したくなるような小さき命でも私の役に立つのならば立ってみせよ、マーレフィス次期司祭」
「はい」
耐える、耐える、耐える。
必ず耐えてみせる。
その後私はリーゼロッテ王女がいるという辺境町へと行き、かつてよりこの地に潜伏しているトリスタン司教様の手の者の家の中に潜伏しました。
その間も幾度か、空腹に耐えかねてパンを買って食べました。
「うぉえぇぇぇぇぇ――」
しかし、何の変哲のないパンですら、呪いを受けた私の胃は受け付けません。すべて胃に達すると同時に逆流します。
血管に管を通して直接栄養を流し込むという、近年工房で開発された栄養補給法のお陰で私の命はなんとか繋がっていました。
「愚かな――同じ過ちを何度繰り返せば気が済むのだ」
黒いローブを纏った名も明かさぬ呪術師が、私を蔑むような目で見てきました。
「あなたに言われたくありませんわ。まだ終わらないのですか?」
「もうすぐ終わる――まったく、トリスタン司教様も慎重なお方だ。前回はどういうわけか姫の呪術が解かれたが、同じ過ちは繰り返さぬというのに。今回の事件が失敗した時の保険など用意なさって」
男はそう言って、呪術の魔法陣を完成させた。
「まぁ、いい。とっとと片付けてしまおう。第三王女の命もこれでおしまいだ」
そう言い放った直後――男の体は虹色に光輝いたのでした。
「「え?」」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
この町の、この工房での生活が始まり、もう三週間目になっていた。
私、ユーリシアが設置した呪い避けの護符をクルトが破壊して以来、何ひとつ大きな問題は起きていない。
リーゼは健康そのもので、今もクルトと一緒に大浴場の掃除に勤しんでいる。
「サクラ」の三人は、この町の冒険者ギルドの依頼でトロール退治に赴いていた。これまでの彼らだったら、筋力と再生力の強いトロールは手に余る相手だっただろうが、彼らはここ一週間の間に目に見える速度で成長していった。もしかしてとハロワに適性検査に行かせたら、それぞれ得意分野の適性がひとつ上がっていた。
おそらく、クルトの食事がなんらかの作用をもたらしたのだろう。
私も適性ランクが上がりはしていないものの、剣の切れ味が増した気がしている。
そして、工房としての仕事はまだほとんどなく、私がやることといえば掃除くらいのものだった。
「クルト、地下倉庫の整理は終わったよ」
地下倉庫にはまだほとんど物資は揃っていないのだけれども、とりあえずクルトが作った魔法晶石とミスリル、オリハルコンなどを保管している。
本来は王都のミミコの店に置いておくつもりだったのだが、彼女はリーゼを狙う犯人捜しのためにほとんど店にいないので、倉庫に置いておくのは危険だからという判断でこちらに置いている。
でもそんなものがなんで倉庫にあるのかとクルトに説明するのが面倒なので、倉庫の一室の整理は私の仕事と言い聞かせている。私の私物もあって誰にも触らせたくないって言ったら、素直に応じてくれた。
こうなったクルトは、たとえサキュバスに誘惑されても、倉庫の中を覗くことはないだろう。
「いつもありがとうございます、ユーリシアさん。僕たちもそろそろ掃除が終わるので、三人でお茶にしましょうか」
クルトの提案で私たちは食堂でお茶をすることになった。
その間も、私はリーゼの体に変化がない理由を考える。
考えられるのは三つ。
一つ目。まだ敵がリーゼの居場所に気付いていない。
二つ目。敵はリーゼの居場所に気付いているが実行に移せていない。
三つ目。すでに呪術が発動しているが、クルトの作る料理のお陰でそのたびに呪いが中和されている。
……三つ目を考慮に入れるのは最もバカバカしい話だけれども、しかしこれが一番可能性が高そうでイヤになる。
私がため息をつくと、クルトが不安そうに尋ねてきた。
「あれ? ユーリシアさん。ケーキは嫌いでしたか?」
「あ、いや、うん。甘い物は好きだよ」
「そうですか、よかったです。おかわりもありますからね」
クルトはそう言って私の前にケーキと紅茶を置いてくれた。
私はフォークでケーキの端を切り、口に運ぶ。
だいぶ慣れたとはいえ、涙が出そうになるくらいに美味しい。
最初の頃は、クルトの料理を食べるたびに、みんな揃ってあまりの美味しさに食後は動くことすらできなかったからなぁ。
クルトの料理ばかり食べていたら、そのうちそれ以外の料理が食べられなくなりそうで怖い。
クルトが前にいた「炎の竜牙」でリーダーをしていたゴルノヴァという男も、料理が原因でトラブルを起こしたと聞くから注意しないとね。
それにしても――
「今日のケーキ、美味しいんだけど、いつもと何か違う気がするな」
「あ、わかりますか? 実は米粉を使ったケーキに挑戦してみたんです」
「米粉? 小麦粉じゃないのか?」
へぇ、米でもこんな風にケーキが作れるのか、知らなかったなぁ。
もう一口食べてみる。そうか、米粉にも甘みがあるから砂糖を控えめにしているのか。
私は納得し、食べ進めた。
「とても美味しいです、クルト様。お米と言えば、クルト様に作っていただいたおかゆもとても美味でしたわ。今度呪いを受けた時は、また是非作ってくださいね」
「そう言ってもらえると嬉しいです。あ、でももう呪いを受ける心配はないと思いますよ?」
呪いを受ける心配はない?
それってどういうことだ?
やっぱり料理の中に呪いを中和する何かが?
「クルト様、私が呪いを受ける心配がないってどういうことですか?」
「はい、この工房の敷地に結界を敷いているんです」
「結界っ!?」
私は立ち上がった。その衝撃で、テーブルの上に置いたフォークが音を立てて落ちる。
「ユーリシアさん、新しいフォークを用意しますね」
「あ、うん、ありがとう」
クルトが洗ってあるフォークを私に手渡してくれる。
「ってそうじゃなくて、クルト。呪い避けの結界を作るのは難しいって言っていなかったか?」
「はい、言いました」
「でも、ここに呪い避けの結界を敷いたって言ったよな?」
「言ってませんよ?」
あれ? 言っていない。
そうか、そうだよな。
うん、私の聞き間違いだったのか。
ダメだな、私。呪いのことで頭がいっぱいになっているようだ。
首を横に振っていると、クルトが言葉を続けた。
「この屋敷全体が呪い返しの結界の役割を果たしているので、この中で呪い避けの結界を作ることができないんです」
「……え? 呪い返しの結界?」
「はい、呪いを跳ね返す結界です。あ、でも流石にそのまま跳ね返しちゃったら、間違えて呪いをかけちゃった人に申し訳ないので、ちょっとだけ細工をしていますけどね」
間違えて呪いをかけるって、そんな郵便物の投函じゃあるまいし。
……呪い返し……そうか、呪い返しかぁ。
私は新しいフォークで、ケーキの上に載っていたシロップ漬けのパパモモを食べた。
あぁ、甘くて脳に糖分が行き渡るなぁ。ガンバレ、私の脳細胞。
事態が動いたのは、奇しくも私が呪い返しの結界の存在を知ったその日の夜のことだった。
「――それで、これがその呪術師ってこと?」
町に潜伏していたミミコとオフィリアさんに呼び出された私が見たのは、とてもではないがクルトには見せられないモノだった。
それは体中から眩い光を放っている男の遺体だ。だが、その顔はパンパンに腫れあがり、もはや人間かどうか区別することすら難しい。
「こんな状態だから、身元を調べるのに苦労したよ。この男は指名手配中の呪術師、フィレオ・フィッシャーノ。呪術の適性ランクはSランク、つまりは超がつくほど名うての呪術師で、プロの殺し屋なの」
「その凄腕の男が、簡単に呪い返しされて体中が光り出したってわけね。それでバレて服毒自殺?」
説明してくれたミミコにそう聞くと、彼女は首を横に振った。
「ううん、毒は首の後ろから針を刺されて注入されている。たぶん呪い返しされてこんな目立つ状態になったから、仲間が殺して逃げた可能性が高いよ」
「毒はかなり強力なものだが、製法は広く知られていて素材の入手経路も多様にある。ここから犯人の目星をつけるのは難しいな」
そこまで言ったオフィリアさんはため息をつき、私に尋ねた。
「それで、この光はいつ消えるのだ?」
「光度は呪いの強さに比例するけど、その期間は等しく一日だって言ってましたよ」
「なら、今夜はずっとこの光は消えないというわけか……死んでも解けない呪いとか、いやはや、彼の工房を見た時も思ったが、彼がこの事件に協力したら今日中に事件を解決できるのではないか?」
「それは勘弁してください、ここまで巻き込んでおいて言うのもなんですけど、クルトにはこういうヤバイ話にあまり踏み込んでほしくないんで」
私がそう言うと、オフィリアさんはふっと微笑んだ。
「そうだね――私もクルトには闇の世界ではなく、ぜひパン屋でも開いてほしい。彼が作ってくれるパンは冷めても美味しいからな」
朝食で余ったパンは、ミミコの潜伏先に持っていっているのだ。
そして、そのパンはオフィリアさんの口にも渡り、高い評価を得ていた。
「まぁ、実行犯もわかったんだし、あとは私のところで調べておくね。工房の周りは私のところの人間が警備をしておくから、工房から出ないように伝えておいて」
ミミコがそう言った時だった。
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