シーグラス

きのたまご

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2、なみ

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学校でよく見る、肩紐の部分が白い、紺色のスクール水着姿だった。

女の子も僕に気づいたみたいで、海を見ていた視線をこっちに向ける。

肩にかかるくらいのやわらかそうな黒髪が潮風に揺れた。

「こんにちは」
「……こんにちは」

挨拶をされて、でも初めて見る人で少し緊張しながら、僕も声を返す。

女の子は微笑みながら僕に近づいてきた。

「初めまして、だよね。 何年生? 」
「僕は……えっと、次で4年生」
「じゃあ一つ下だ」

ということは、彼女は新学期で5年生になるのか。向こうがぐいぐい、さらに自己紹介してくる。

「私、なみ。君は?」
「なぎ」
「なぎ君。へえー、なんか似てる名前」
「そう、だね。一文字違いだ」

声に出して言うと確かに似てるけど、漢字で書いたら波と凪。まったく正反対の意味になりそうだった。

彼女は僕の進んでいた方向と同じく、左に動き出した。なんとなく僕も、なみと並んで歩くことになる。

「なぎ君も散歩?」
「うん。……そっちも?」

聞き返すと、頷きが返ってきた。

「ここ、好きな場所だから。よく来るの」
「へえ」

こんな汚れている場所が好きなんだ。

そんな嫌な気持ちが表情に出たらしく、なみは立ち止まって、こっちに距離を詰めて僕を覗き込んできた。

「なぁに。変な顔して」
「いや……だって、ゴミが多いからさ、ここって」

それらを示すために僕は、辺りに首を巡らせる。ペットボトルにビニールシート、海藻が貼り付いた流木。

けれどなみもそれは承知だったらしく、苦笑を漏らした。

「確かにね。でも楽しいよ」
「楽しいの?」
「こうして歩いていると、本当にいろんなものが落ちてるから。宝探しみたい。そういえばさっき、この辺に……」

なみは波打ち際から離れるように動いて、やがてこっちにお尻を向けたまま上半身を下げて何かを拾い上げた。

「あったあった」
「なに?」

近寄ってみると彼女の手には、小さな何かが握られていた。
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