8 / 9
6
しおりを挟む
「まあ、もうよい」
小羽は口調をそのままに友人といるときにしか浮かべない優しい笑顔を浮かべた。
「え?」
「私が一番偉いわけではない。父上、鬼王がすべてだ。管理がなくなり一緒に過ごしていた人間に招待がばれたと父上が知れば私もただでは済まされない。グループの者たちにも迷惑がかかる。今日は最後の夜行だ。」
「でもお前、朝にこれまで通りアイドルは続けるって・・!」
「状況が変わったんだ。」
竜の表情は先ほどと打って変わって悲しそうな、悔しそうな思いが感じ取れるほど歪んでいた。無理もない、今まで当たり前のように一緒の仲間がいきなり自分たちの前から姿を消すのだと分かったのだから。そのときだった。
「小羽ちゃん・・・だよね」
「まる、健!」
小羽の瞳が揺れた。それを横目にルイは戦闘態勢に入る。
「鬼姫様から離れてください」
二人の喉元には鋭いナイフが突きつけられている。
「っ・・・・・」
「ルイ、下がれ」
「しかし…!」
「いいから下がれ!」
ルイは武器をしまい、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて姿を消した。
夜の街に夢色ピューロがそろって円になる。
「小羽ちゃん、さっきのってグループ抜けるってこと?」
「健、なんでお前がそれを知って・・」
「ごめん」
竜はズボンのポケットに手を突っ込んだ。中から出てきたのはボイスレコーダーだった。
「こいつらに言ってある。お前が鬼姫なことを」
小羽は仲間の絆に気が付いた。自分がどれだけ愚かなことをしていたのか。確かに鬼姫としての百鬼夜行は小羽にとってかけがえのない存在ではあった。しかし、自身が人間ではなく人間を襲うこともある鬼だと知っても話を聞きにきたり、わざわざ駆けつけてくれる素晴らしい仲間が身近にいた。こんなに良い関係を長年の歪んだ願いのせいでくずすところだった。
「なんで、なんで二人は来たの?」
口調は夢色ピューロの小羽に戻っていた。
「どんな姿でも小羽ちゃんに変わりはないでしょ?」
「今まで隠してきたということわ僕たちを守る意思はあったってこと。だから、会いに行こうと思った。今までたくさん引っ張ってくれたのに、僕たちが引っ張る側になったら頼りないよね」
「そんなことない!」
小羽は声を大きく上げた。
「私が間違っていた・・・今の地球人には何の原因もないのに、八つ当たりだった。父上に素直になった自分が馬鹿だった。」
小羽は座り込み、大粒の涙がこぼれ出ていた。空を見るといつの間にか日の出が始まっていて、小羽の涙と鬼姫の姿の服の装飾をキラキラと照らしていた。三人は顔を見合わせてほほ笑むと小羽を囲むように座りしっかりと抱きしめた。
「おかえり、俺たちの花、小羽!」
それを上空で、殺意にまみれた黒い影が見つめていたことに四人は気が付くことができなかった。
小羽は口調をそのままに友人といるときにしか浮かべない優しい笑顔を浮かべた。
「え?」
「私が一番偉いわけではない。父上、鬼王がすべてだ。管理がなくなり一緒に過ごしていた人間に招待がばれたと父上が知れば私もただでは済まされない。グループの者たちにも迷惑がかかる。今日は最後の夜行だ。」
「でもお前、朝にこれまで通りアイドルは続けるって・・!」
「状況が変わったんだ。」
竜の表情は先ほどと打って変わって悲しそうな、悔しそうな思いが感じ取れるほど歪んでいた。無理もない、今まで当たり前のように一緒の仲間がいきなり自分たちの前から姿を消すのだと分かったのだから。そのときだった。
「小羽ちゃん・・・だよね」
「まる、健!」
小羽の瞳が揺れた。それを横目にルイは戦闘態勢に入る。
「鬼姫様から離れてください」
二人の喉元には鋭いナイフが突きつけられている。
「っ・・・・・」
「ルイ、下がれ」
「しかし…!」
「いいから下がれ!」
ルイは武器をしまい、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて姿を消した。
夜の街に夢色ピューロがそろって円になる。
「小羽ちゃん、さっきのってグループ抜けるってこと?」
「健、なんでお前がそれを知って・・」
「ごめん」
竜はズボンのポケットに手を突っ込んだ。中から出てきたのはボイスレコーダーだった。
「こいつらに言ってある。お前が鬼姫なことを」
小羽は仲間の絆に気が付いた。自分がどれだけ愚かなことをしていたのか。確かに鬼姫としての百鬼夜行は小羽にとってかけがえのない存在ではあった。しかし、自身が人間ではなく人間を襲うこともある鬼だと知っても話を聞きにきたり、わざわざ駆けつけてくれる素晴らしい仲間が身近にいた。こんなに良い関係を長年の歪んだ願いのせいでくずすところだった。
「なんで、なんで二人は来たの?」
口調は夢色ピューロの小羽に戻っていた。
「どんな姿でも小羽ちゃんに変わりはないでしょ?」
「今まで隠してきたということわ僕たちを守る意思はあったってこと。だから、会いに行こうと思った。今までたくさん引っ張ってくれたのに、僕たちが引っ張る側になったら頼りないよね」
「そんなことない!」
小羽は声を大きく上げた。
「私が間違っていた・・・今の地球人には何の原因もないのに、八つ当たりだった。父上に素直になった自分が馬鹿だった。」
小羽は座り込み、大粒の涙がこぼれ出ていた。空を見るといつの間にか日の出が始まっていて、小羽の涙と鬼姫の姿の服の装飾をキラキラと照らしていた。三人は顔を見合わせてほほ笑むと小羽を囲むように座りしっかりと抱きしめた。
「おかえり、俺たちの花、小羽!」
それを上空で、殺意にまみれた黒い影が見つめていたことに四人は気が付くことができなかった。
0
あなたにおすすめの小説
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
勇者の様子がおかしい
しばたろう
ファンタジー
勇者は、少しおかしい。
そう思ったのは、王宮で出会ったその日からだった。
神に選ばれ、魔王討伐の旅に出た勇者マルク。
線の細い優男で、実力は確かだが、人と距離を取り、馴れ合いを嫌う奇妙な男。
だが、ある夜。
仲間のひとりは、決定的な違和感に気づいてしまう。
――勇者は、男ではなかった。
女であることを隠し、勇者として剣を振るうマルク。
そして、その秘密を知りながら「知らないふり」を選んだ仲間。
正体を隠す者と、真実を抱え込む者。
交わらぬはずの想いを抱えたまま、旅は続いていく。
これは、
「勇者であること」と
「自分であること」のあいだで揺れる物語。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる