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8.ダニエルの婚約者
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8.ダニエルの元婚約者
その日のうちに、「反乱軍に入りたい」とダニエルに伝えると、彼は私の手を握り、喜び勇んだ。
「これで、反乱軍の未来も明るくなったよ!ありがとう、シャーロット!」
ダニエルの笑顔は、子供のように眩しく輝いている。
心にぐっと入ってくるのを止めることができない。
「部屋が決まるまで、2階の部屋を使っていいから。あと、仲間たちを紹介したいから、反乱軍の決起集会に出てもらってもいいかい?」
「決起集会?」
「そう、もう町の現状はこのまま放っておけない状態だ。せめて、食料と薬を王宮の備蓄庫から開放させないと、町は全滅してしまう。王宮への反乱の日を急がなければいけない。」
ダニエルは真顔になって言った。
確かに、今の状態は荒み過ぎている。早急に手を打たなければいけない状態だ。
「わかった、いつ集会はあるの?」
「大体、その日の夜にやっている。実はこのオルハウスが、建前は酒場だけど、反乱軍の集会所になっているんだ。そして、武器の貯蔵庫にもなっている。詳しくは後で話すね。」
私はこくりと頷くしかできなかった。
その日の夜、20人ほどの人が1階の酒場に集まった。
私は皆に紹介され、拍手喝采を受ける。
「頼りにしてるぜ!」
などと言われたら、悪い気はしなかった。
「シャーロットには、皆に、剣術や銃の訓練と、王宮への戦略を考えてもらう。大切な役割だ。」
「訓練をするのか?」
「ああ、もう時間がないが、まだ銃の打ち方もわからない者もいる。今日集まった者はそれぞれ、10名ほどの反乱軍に共感している市民たちのリーダーになっている。飢えている者や、病にかかっている者もいる。騎兵団に比べると、兵としては弱いだろう。」
「わかった。決起の日は?」
「もう時間がない。こうしている間にも、飢えた人々が、一人、一人と死んでいっている。1か月後を予定している。やるしかないんだ。」
やるしかない、という言葉に力が込められていた。
1か月で銃や剣の扱いを教えるのは大変だろうが、やるしかないのだ。
その日は皆と握手をして、ささやかだがビールを少し飲んだ。
武器がどこにあるのか聞いてみると、
「そうだ、紹介するよ、彼女はサーラ=カマドーラ。この酒場の娘だ。それは表の顔で、裏では武器を密輸入して、反乱軍の決起日に備えてくれている。」
ダニエルはサーラを呼んだ。
「よろしく、シャーロット。」
サーラは笑って握手を求めてきた。
サーラは、ボブカットで笑うとえくぼができる。くりくりとした目が可愛く、愛嬌があった。
可愛らしい人なのに、武器を任せているなんて、人は見かけによらない。
「よろしく、サーラ。」
私はサーラの握手に応じて言った。
サーラは、すぐに地下の武器庫を案内してくれた。
1階のカウンター下に秘密の階段があった。
「こんなところがったなんて、すごいな。」
地下に続く階段を下りながら感嘆する。
「いつ、誰に襲われるかわからないからね。」
サーラはそう言って、地下の灯りをつけた。暗い地下に灯りがつくと、自分の目を疑った。
棚がいくつも連なり、棚には多数の銃や剣などが保管されていた。
「3千はあると思う。これを集めるのに、何年かかったかしら。外国から来ている密輸入組織の情報が入ったら、喜び勇んで買い付けに行ったわ。これでも語学が得意なの。」
サーラは得意そうに羅列されている剣を、1本1本触りながら言った。
「私さ、実はダニエルと婚約していたの。」
愛しそうに剣をさすりながら、サーラは不意に言葉を発した。
「婚約?」
サーラは素敵な女性なので、ダニエルが惹かれてもおかしくなかった。
なぜだろう、胸にちくりと針が刺さったような痛みを感じる。
「私たち、幼馴染なの。ダニエルは両親や妹さんを亡くしたとき、まだ6歳だった。父がそんなダニエルを不憫に思って、2階においてあげたの。私、お兄さんができたみたいで、嬉しくて、毎日遊びに誘ったわ。」
サーラは懐かしそうな目をして話し出す。
私は食い入るように、彼女の話を聞いている。
「でも、ダニエルは24時間働いていて、あまり遊べる時間がなかったんだけど。でも、時々は遊んでもらえて嬉しかった。18歳の時に告白をして、婚約をした。嬉しすぎて、絶叫しちゃったわ。」
「なぜ、婚約解消した?」
私は動悸する鼓動を感じながら、口にした。
「ダニエルは、結婚をしても、まずは反乱軍のことが大切だから、家庭を1番にできないと言われたの。私、我儘なの、彼の1番はすべて私であってほしかったの。考え方が食い違ってしまって、終わってしまったの。」
「そうなのか。」
なぜか安堵感が心を満たしていた。
「でも、まだ、未練があるの。だから、盗らないでね。ダニエルのこと。」
サーラはぺろっと舌をだして、さらりと言った。
「・・・なぜ、私が?」
「さあ、なんとなく、女の感。あなた、ダニエルのタイプだしね。」
サーラはそう言うと、それ以上は私に口を出させずに、
「さあ、話は終わり。戻りましょう。」
と言って、またぱちっと灯りを消し、階段を上っていく。
一方的に話し始め、一方的に話を遮断される。
彼女が我儘と自分のことを言ったのが、わかるようだった。
でも、なぜ私はサーラとダニエルの婚約が解消されたと聞いて、安堵したのだろう。
胸が張り裂けるように、苦しい。
私は、ダニエルに惹かれているのかもしれない。
その日のうちに、「反乱軍に入りたい」とダニエルに伝えると、彼は私の手を握り、喜び勇んだ。
「これで、反乱軍の未来も明るくなったよ!ありがとう、シャーロット!」
ダニエルの笑顔は、子供のように眩しく輝いている。
心にぐっと入ってくるのを止めることができない。
「部屋が決まるまで、2階の部屋を使っていいから。あと、仲間たちを紹介したいから、反乱軍の決起集会に出てもらってもいいかい?」
「決起集会?」
「そう、もう町の現状はこのまま放っておけない状態だ。せめて、食料と薬を王宮の備蓄庫から開放させないと、町は全滅してしまう。王宮への反乱の日を急がなければいけない。」
ダニエルは真顔になって言った。
確かに、今の状態は荒み過ぎている。早急に手を打たなければいけない状態だ。
「わかった、いつ集会はあるの?」
「大体、その日の夜にやっている。実はこのオルハウスが、建前は酒場だけど、反乱軍の集会所になっているんだ。そして、武器の貯蔵庫にもなっている。詳しくは後で話すね。」
私はこくりと頷くしかできなかった。
その日の夜、20人ほどの人が1階の酒場に集まった。
私は皆に紹介され、拍手喝采を受ける。
「頼りにしてるぜ!」
などと言われたら、悪い気はしなかった。
「シャーロットには、皆に、剣術や銃の訓練と、王宮への戦略を考えてもらう。大切な役割だ。」
「訓練をするのか?」
「ああ、もう時間がないが、まだ銃の打ち方もわからない者もいる。今日集まった者はそれぞれ、10名ほどの反乱軍に共感している市民たちのリーダーになっている。飢えている者や、病にかかっている者もいる。騎兵団に比べると、兵としては弱いだろう。」
「わかった。決起の日は?」
「もう時間がない。こうしている間にも、飢えた人々が、一人、一人と死んでいっている。1か月後を予定している。やるしかないんだ。」
やるしかない、という言葉に力が込められていた。
1か月で銃や剣の扱いを教えるのは大変だろうが、やるしかないのだ。
その日は皆と握手をして、ささやかだがビールを少し飲んだ。
武器がどこにあるのか聞いてみると、
「そうだ、紹介するよ、彼女はサーラ=カマドーラ。この酒場の娘だ。それは表の顔で、裏では武器を密輸入して、反乱軍の決起日に備えてくれている。」
ダニエルはサーラを呼んだ。
「よろしく、シャーロット。」
サーラは笑って握手を求めてきた。
サーラは、ボブカットで笑うとえくぼができる。くりくりとした目が可愛く、愛嬌があった。
可愛らしい人なのに、武器を任せているなんて、人は見かけによらない。
「よろしく、サーラ。」
私はサーラの握手に応じて言った。
サーラは、すぐに地下の武器庫を案内してくれた。
1階のカウンター下に秘密の階段があった。
「こんなところがったなんて、すごいな。」
地下に続く階段を下りながら感嘆する。
「いつ、誰に襲われるかわからないからね。」
サーラはそう言って、地下の灯りをつけた。暗い地下に灯りがつくと、自分の目を疑った。
棚がいくつも連なり、棚には多数の銃や剣などが保管されていた。
「3千はあると思う。これを集めるのに、何年かかったかしら。外国から来ている密輸入組織の情報が入ったら、喜び勇んで買い付けに行ったわ。これでも語学が得意なの。」
サーラは得意そうに羅列されている剣を、1本1本触りながら言った。
「私さ、実はダニエルと婚約していたの。」
愛しそうに剣をさすりながら、サーラは不意に言葉を発した。
「婚約?」
サーラは素敵な女性なので、ダニエルが惹かれてもおかしくなかった。
なぜだろう、胸にちくりと針が刺さったような痛みを感じる。
「私たち、幼馴染なの。ダニエルは両親や妹さんを亡くしたとき、まだ6歳だった。父がそんなダニエルを不憫に思って、2階においてあげたの。私、お兄さんができたみたいで、嬉しくて、毎日遊びに誘ったわ。」
サーラは懐かしそうな目をして話し出す。
私は食い入るように、彼女の話を聞いている。
「でも、ダニエルは24時間働いていて、あまり遊べる時間がなかったんだけど。でも、時々は遊んでもらえて嬉しかった。18歳の時に告白をして、婚約をした。嬉しすぎて、絶叫しちゃったわ。」
「なぜ、婚約解消した?」
私は動悸する鼓動を感じながら、口にした。
「ダニエルは、結婚をしても、まずは反乱軍のことが大切だから、家庭を1番にできないと言われたの。私、我儘なの、彼の1番はすべて私であってほしかったの。考え方が食い違ってしまって、終わってしまったの。」
「そうなのか。」
なぜか安堵感が心を満たしていた。
「でも、まだ、未練があるの。だから、盗らないでね。ダニエルのこと。」
サーラはぺろっと舌をだして、さらりと言った。
「・・・なぜ、私が?」
「さあ、なんとなく、女の感。あなた、ダニエルのタイプだしね。」
サーラはそう言うと、それ以上は私に口を出させずに、
「さあ、話は終わり。戻りましょう。」
と言って、またぱちっと灯りを消し、階段を上っていく。
一方的に話し始め、一方的に話を遮断される。
彼女が我儘と自分のことを言ったのが、わかるようだった。
でも、なぜ私はサーラとダニエルの婚約が解消されたと聞いて、安堵したのだろう。
胸が張り裂けるように、苦しい。
私は、ダニエルに惹かれているのかもしれない。
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